「トランプ王国」熱狂のあと 3年後のラストベルト:1 今晩は、どのバーに入ろうか。 午後も3時を回ると、そんなことばかり考えながらハンドルを握る。私はニューヨーク・マンハッタンをレンタカーで出発し、アパラチア山地を西に進んでいた。見知らぬ街を旅する中で、もっとも地元民に近づけそうな場所。外国人記者の私にとって、それがバーだ。 時速40~50マイルで車を走らせながら、過ぎ去る飲食店の看板や雰囲気に目をこらす。街の観察の一環だ。 最初に立ち寄った街は、ペンシルベニア州北東部のルザーン郡。2012年の大統領選で民主党オバマが勝ったのに、その4年後に共和党トランプが勝ったことで米国ではちょっとした話題になった地域だ。私は今回が初めての訪問だ。 トランプがひっくり返した郡は、地図に赤色で示されている。全米では下のように広がっている。トランプの勝利はこれらの積み重ねの結果でもある。 こうして全米規模で