福島第1原発事故を受けて策定された原発の新規制基準には、テロや航空機衝突への対応が盛り込まれている。実は30年以上前、政府は国内の原発が攻撃を受けた際の被害予測を極秘に研究していた。当時の「警告」はどこまで生かされているのか。 被害予測は、外務省が外郭団体「日本国際問題研究所」に委託し、1984年に報告書にまとめられた。81年、イスラエル空軍がイラクの研究用原子炉施設を爆撃し、原発攻撃の脅威が注目されていた時期だ。 原発の核燃料は、厚さ2メートル近い鉄筋コンクリートの格納容器の壁などで保護されている。報告書は特定の原発名には触れずに100万キロワット級と想定。爆弾の貫通力を高めれば格納容器の壁は破壊されると指摘する。 その上で、電気系統と冷却機能を失った場合、放射性物質が周辺の都市部に拡散。緊急避難しなければ最大1万8千人、5時間以内に避難した場合でも同8200人が急死すると予測した。長期