コンピュータ産業史上、最大の国際企業間紛争であった「IBM-富士通紛争」の当事者が四半世紀ぶりに沈黙を破り、紛争の内幕を事実上明らかにする。富士通の交渉役であったキーパーソン中のキーパーソンが、IBMと秘密契約を締結するに至る厳しい交渉経緯を小説『雲を掴め 富士通・IBM秘密交渉』(発行・日本経済新聞出版社)として発表するものだ。 IBM-富士通紛争については1年前、当サイトにおける特別連載「初めて明かす『IBM-富士通紛争』徹底報道の舞台裏」において、日経コンピュータの松崎稔・元編集長が詳しく論じている。ただし、守秘義務という厚い壁に阻まれ、IBM関係者も富士通関係者も、紛争発生後四半世紀を経た今日まで、この歴史的大事件の詳細を自ら語ったことは無かった。 『雲を掴め』の筆者は「伊集院丈」と名乗る人物である。著者略歴欄においても「作家」とだけ記しているという。だが、伊集院丈はペンネームであ