たとえクローザーを任されたとしても、また多くの人たちに賞賛を浴びたとしても、三嶋一輝の心のなかの“飢え”は決して満たされることはない――。 不調に苦しむ守護神・山崎康晃に代わって、7月終盤からプロ野球人生で初めてクローザーを任され、順調にセーブを重ねているDeNAの三嶋は、冷静に自分自身の立ち位置を見つめている。 「正直言って特別な思い入れがある場所だとはまだ感じられないんですよ。ただ、中継ぎピッチャーのひとりとして9回を投げている。それぐらいの気持ちでないといけないと思うんです。『俺がクローザーだ』という意識は必要なくて、勝っている試合の最後かもしれないけど、大切なのは気持ちと姿勢を見せることだけ。だから、今までとやることは変わらないんです」 クローザーであって、クローザーにあらず。三嶋はただひとりのピッチャーとして、これ以上ないしびれる場面で登場し躍動している。 「9回は、おまえで行く