「名目金利差と実質金利差から為替レートをどう考えればいいですか?」――。 最近、若手社員からこのような質問を受けました。今年に入り、新聞報道などで米長期金利の上昇が為替相場の円安ドル高に影響していることが指摘されていますが、名目金利で説明したり、実質金利で説明したりと、頭が混乱している人がいるかもしれません。 新型コロナウイルス感染拡大前後の動向 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、2020年3月13日に米国では非常事態が宣言されました。FRBもまた、大幅利下げに加え量的緩和を再開し、大規模な国債購入に踏み切りました。 図1は2019年7月以降のドル円レートと、名目長期金利・実質長期金利の日米格差の推移を表したものです。実質金利は、物価連動国債の利回りとしています。 日銀もパンデミックに対応して一段の金融緩和を実施したものの、変化の大きさの点でFRBの方が顕著であり、長期金利は名