ブックマーク / natrom.hatenablog.com (97)

  • 因果関係も不明なのに「ワクチンの副反応が出やすい素因」を特定できるはずがない - NATROMのブログ

    2023年8月からX(旧Twitter)にて、元杏林大学保健学部准教授の平岡厚さんと対話を続けています。平岡さんは「HPVワクチンの深刻な副反応・薬害としての自己免疫性脳症が、相当規模で存在していると推測」しておられます。具体的にはワクチン接種者の「数千人に1人」が「POTS, CRPS, ME/CFS, 繊維筋痛症などの症状が入れかわり立ちかわり現れ、認知障害なども絡む」症状を呈するとしています。 平岡さんの主張の一つに、「接種を受けると副反応が出やすい素因」を持つ人をワクチン接種対象から外すことで問題解決が可能になるというものがあります。 →接種を受けると副反応が出やすい素因を持つ人がいることが分かるので、そういう人を接種対象から外す方向で、問題解決が可能になるのではと思います。私は、「HPVワクチンを接種すると重篤な副反応が出やすい素因を持つ人が接種を受けたことに起因する現象が起きて

    因果関係も不明なのに「ワクチンの副反応が出やすい素因」を特定できるはずがない - NATROMのブログ
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    counterfactual 2024/04/30
    疫学、因果推論の入門書を紹介してあげては?
  • HLA(ヒト白血球抗原)とHPVワクチン「副作用」の関連は確認されていない - NATROMのブログ

    HLA(ヒト白血球抗原)は免疫系に関係する遺伝子で、白血球をはじめとして多くの細胞に発現しています。多型に富み、自己免疫性疾患を中心にさまざまな疾患との関連することが知られています。2015年から2016年にかけて、HPVワクチン副作用疑い患者集団において特定のHLAの対立遺伝子(DPB1*05:01)を持っている人が多い、という信州大学医学部池田修一教授(当時)の研究班の報告および報道がありましたが、その後の研究では再現性は確認されていません。HPVワクチン副作用疑いとHLAとの関連は無いか、あったとしても弱いと言えます。 予備的な研究で統計学的有意差が見つかっても、サンプルサイズを増やすと有意差が消えてしまうことはよくあります*1。副作用疑いとHLAとの関連を調べることは病態の解明のための第一歩となりえた、まっとうな研究手法です。結果的には空振りに終わったけれども、研究自体は何も問題は

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    counterfactual 2024/04/02
    池田先生、今何してるんだろうなあ。
  • 撤回された論文は根拠にならない - NATROMのブログ

    2023年8月からX(旧Twitter)にて、元杏林大学保健学部准教授の平岡厚さんと対話を続けています。HPVワクチンは安全で効果的というのが世界中の専門家のコンセンサスですが、平岡さんはHPVワクチンの深刻な副反応・薬害が相当規模で存在すると主張しています。 HPVワクチン接種の有無にかかわらず血液脳関門の異常で害が起きるのは当然 平岡さんが提示する仮説の一つは「日常的に抗体値を高くさせられている人は、血液脳関門に異常が生じた場合、通常なら中枢神経系に入らない物質が侵入して悪さをするのでは」というものです*1。しかし、私のみるところでは平岡仮説はとくに根拠がない思い付きに過ぎないように思われました。 「日常的に抗体値を高く」するのはHPVワクチンだけでなく、他のワクチンだって同じです。B型肝炎ワクチンはHBs抗体価を高くしますし、麻疹ワクチンは麻疹ウイルス抗体価を高くします。なんならワク

    撤回された論文は根拠にならない - NATROMのブログ
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    counterfactual 2024/01/31
    可能性の話ならば、可能性はある。 っていうか、どんな突拍子もない御説でも可能性はある。 人類が異星人に創造された可能性もある。
  • 適切な比較がなくては因果関係の推論はできない - NATROMのブログ

    2023年8月からX(旧Twitter)にて、元杏林大学保健学部准教授の平岡厚さんと対話を続けています。HPVワクチンは安全で効果的というのが世界中の専門家のコンセンサスですが、平岡さんは「HPVワクチンの深刻な副反応・薬害としての自己免疫性脳症が、相当規模で存在していると推測」しておられます。 HPVワクチンが原因で自己免疫性脳症が相当規模で生じているとしたら、HPVワクチンを接種した集団では、ワクチンを接種していない集団と比較して、自己免疫性脳症の増加が観察できるはずです。しかし、平岡さんはそのような証拠を提示していません。その代わりに、免疫吸着やステロイドで副作用疑い患者の症状が改善したことや、髄液中の自己抗体の出現が根拠になると主張しています。しかし、いずれもHPVワクチンと諸症状の因果関係の証拠にはなりません。 免疫吸着やステロイドで副作用疑い患者の症状が改善したことは証拠になら

    適切な比較がなくては因果関係の推論はできない - NATROMのブログ
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    counterfactual 2023/12/29
    平岡氏は、まず因果推論の初歩を学ぶべきだな
  • 線虫がん検査についてポスト(ツイート)するアカウントをご紹介します - NATROMのブログ

    線虫によるがん検査「N-NOSE」を提供する株式会社HIROTSUバイオサイエンスが、N-NOSEに批判的な記事を掲載したNewsPicksについて、仮処分命令申立書を東京地方裁判所に提出したとのことです*1 ■株式会社ユーザベースを被告とした民事訴訟について 無症状の人に対する線虫がん検査は、がん死亡率の減少といった利益が証明されておらず、がん検診を受ける集団という一つの集団を対象にした感度・特異度も不明であり、偽陽性のときに多くの精密検査を受けることになりかねないことから、医学的にはお勧めできません。一方で、名誉棄損等の問題があれば司法の場で公正に争うのは当然の権利だと考えます。ことの推移について興味を持って見守っています。 それはそれとして、私は以前より、線虫がん検査がどのように言及されているのか調べるため、X(旧ツイッター)にて「線虫 がん検査」というワードで検索をしていました。N

    線虫がん検査についてポスト(ツイート)するアカウントをご紹介します - NATROMのブログ
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    counterfactual 2023/10/03
    興味深いです
  • 線虫がん検査の『HIROTSUバイオサイエンス』の神経芽腫マススクリーニングに関する誤り - NATROMのブログ

    線虫を利用したがん検査「N-NOSE」の疑惑を報じた■NewsPicksの記事に対し、HIROTSUバイオサイエンスが反論として■「一部メディアでの報道および内容の解説について」というプレスリリースを出しました。このプレスリリースにはさまざまな問題点がありますが、ここでは主に神経芽腫マススクリーニングに関する誤りについて焦点を当てます。線虫検査の有効性や性能とは直接は関係しませんが、HIROTSUバイオサイエンス側のがん検診の疫学についての理解の程度や科学的事実に対する誠実さについて、何某かの示唆を与えるものだと考えます。 誤:神経芽腫マススクリーニングの有効性は今や専門家の間では知られている。 正:神経芽腫マススクリーニングの有効性は現在も専門家の間では認められていない。 小児神経芽腫(神経芽細胞腫)は神経の細胞ががん化する小児がんの一種です。尿中に排泄されたがん細胞が分泌したカテコラミ

    線虫がん検査の『HIROTSUバイオサイエンス』の神経芽腫マススクリーニングに関する誤り - NATROMのブログ
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    counterfactual 2023/09/26
    早期発見したらがんが治るわけではない。
  • 「宝くじの誤り」 - NATROMのブログ

    宝くじの誤り」とは、「中には大きな利益を得る人もいるかもしれない」という理由で利益が害よりも大きいことが証明されていない医療行為を容認する考え方を表すために私が提案したい言葉である。医療行為には不確実性がある。公的に推奨されている医療行為でも利益はなく害だけを被る人もいるが、集団全体では害よりも利益が大きいとされている。害よりも利益が大きいと十分に証明されていなかったり、逆に利益よりも害が大きいと証明された医療行為は推奨はされていない。 宝くじを購入する行為の金額の期待値はマイナス*1であり、宝くじを買った集団全体では損の方が利益より大きい。しかし、少数ながら、きわめて大きな利益を得る人もいる。宝くじを買う人たちのほとんどはそうしたことを承知の上で宝くじを買うのだろう。ならば、集団においては害が大きくてもきわめて大きな利益を得る可能性があるなら、推奨されていない医療行為を受ける自由だって

    「宝くじの誤り」 - NATROMのブログ
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    counterfactual 2023/07/05
    nagaya氏は、期待値を理解できてない。 また、これは宝くじではなくて、当たりくじを引くと一億円が強制差し押さえされる、貧乏くじね。
  • 「ファーストペンギン」って海に突き落とされる奴じゃないんだ… - NATROMのブログ

    最近、「ファーストペンギン」という言葉をよく聞く。ペンギンの群れの中で、天敵がいるかもしれない海の中に最初に飛び込む個体のことで、リスクをとって挑戦する勇敢な行為を称えるポジティブな意味合いを持つ。だが、私はファーストペンギンという言葉からは異なる意味を連想してしまうのだ。 イギリスの生物学者、リチャード・ドーキンスは、「利己的な遺伝子」という著作において、生存競争に勝って生き残る遺伝子の性質は利己的であることを論じている。個体レベルの行動は利己的なこともあれば利他的こともあるが、利己的な行動の一例として、ドーキンスは海に飛び込むのをためらうペンギンの例を挙げている。 南極のコウテイペンギンで報告されているひきょうな行動についてなら、おそらくだれでも[利己的な行動だと]ただちに同意できるであろう。このペンギンたちは、アザラシにべられる危険があるため、水際に立ってとびこむのをためらっている

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    counterfactual 2023/03/29
    桜井幸子さん・・・何もかもみな懐かしい
  • ABO式血液型の遺伝様式をめぐる2つの仮説 - NATROMのブログ

    オーストリアのカール・ラントシュタイナーによってABO式血液型が発見され、輸血医学の基礎が築かれたことは有名だ。1930年にラントシュタイナーはノーベル医学・生理学賞を受賞した。輸血の歴史については ■「血液は生理塩水で代用できるから輸血は必要ない…」そんな荒唐無稽なデマの裏事情を医師が解説 動物の血を輸血した昔から、人の血を安全に輸血できるようになった今まで | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン) に書いた。輸血とは直接は関係ないが、ABO式血液型の遺伝様式が決定された歴史も興味深い。私は、もう20年以上も前、大学院生のころにはじめて知ったのだが、じつにエレガントに問題を解決しており、いつかこの話を書きたいと思っていた。数式がたくさん出てくるこの話は難解だが、個人ブログだし、少しぐらい難しくてもいいだろう。細かい数式はわからなくてもなんとなく雰囲気を感じていただ

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    counterfactual 2023/02/10
    "父親の誤認"  いや誤認じゃない、托卵だ。
  • 「線虫がん検査」の感度・特異度は過大評価されている - NATROMのブログ

    上部消化管内視鏡やCT検査など、がんの検査には一定の苦痛やリスクを伴うものが多いです。もし、微量の血液や尿でがん検査ができれば素晴らしいことです。すでに商業化されている検査法の一つに尿1滴で15種類のがんリスクがわかると称されているがん線虫検査(N-NOSE)があります。 線虫ががん患者の尿に反応すること自体は事実だとみなしていいでしょう。科学的には興味深い現象で、研究が進むことを願っています。ですが、臨床の現場におけるがん検査の使用に耐えうるほどの性能があるかどうかはわかっていません。とくに、がん検診、つまり無症状の人たちを対象に使用するのは時期尚早です。 まず第一に、がん線虫検査を受けると、受けない場合と比較して、がん死亡率が減少するかどうか検証されていません。付け加えて、がん検診を受けるような集団における検査の性能もわかっていません。検査の性能は、感度や特異度で表されます。感度はがん

    「線虫がん検査」の感度・特異度は過大評価されている - NATROMのブログ
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    counterfactual 2023/01/30
    早期発見の難しいがん、というのはあるが、それは早期発見したら治せるということではない。
  • WHOのがん統計グラフデータベースの使い方解説 - NATROMのブログ

    WHOのがん統計のグラフデータベースがリニューアルされました。これを機会に使い方を解説します。「がん死亡数が増え続けているのは先進国では日だけ」なんてデマを検証できますし、他国を含めてさまざまながんの統計を知るのは楽しいものです。リニューアル以前は、こういうグラフでした。 リニューアル以前・がん死亡者数の推移(日、全がん、全年齢) リニューアル後はこんな感じです。 リニューアル後・がん死亡者数の推移(日、全がん・非メラノーマ皮膚がんを除く、全年齢)以下、グラフの引用はすべて■Cancer Over Timeから、日語の赤字は引用者によります。 WHOのサイトにアクセスして、がん統計の推移(Trends)のグラフをつくろう WHOの下部組織のIARC(国際がん研究機関)は世界中の国のがんの統計情報を集め、データベースとして公開しています。さっそく、アクセスしてみましょう。 ■Canc

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    counterfactual 2022/12/01
    わくわくしますね
  • 乳がん検診と子宮頸がん検診が毎年ではなく2年に1回なのはなぜか? - NATROMのブログ

    名古屋市会議員の塚つよし氏が、子宮頸がん検診と乳がん検診の検診間隔が2年に1回の隔年であり、毎年がダメな理由についての説明を求めるツイートをしておられました。よい質問だと思います。ツイッターでもお答えしましたが、ブログでも解説いたします。 https://t.co/ChBE8Ph1fK 名古屋市の #がん検診 推進事業において #乳がん と #子宮がん は検診回数を「2年に1回」の隔年に制限されています。厚生労働省の委員会指針が根拠で職員の方と電話で話しましたが「毎年がダメな理由」が判然としない。 だれか説明できませんか?#塚つよし#名古屋市中区— 塚つよし 名古屋市会議員 (中区選出)立憲民主党 (@1192mizuho) July 29, 2022 端的に言えば現在の日で行われている子宮頸がん検診と乳がん検診は、毎年の検診を行っても、隔年の検診と比べて、検診による害が大きくなる

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    counterfactual 2022/08/31
    毎年でも隔年でも利益が同じだからということですね。
  • 「がん死亡数が増え続けているのは先進国では日本だけ」は誤り - NATROMのブログ

    がんに関する不正確な情報の一つに「がん死亡数が増え続けているのは先進国では日だけ」「がん死亡数は欧米では減っているが日だけ増加し続けている」というものがある。「抗がん剤は害しかない」「がん検診は無駄だ」「残留農薬や添加物が多い事が原因だ」とかいったニセ医学的な主張と同時に言われていることもしばしばだ*1。 日のがん死亡数増加の主因は高齢化である。他の要因が変わらなくても高齢者の人口が増えれば、がんで死亡する人の数は増える。生活習慣や公衆衛生、医療環境が改善され、他の病気でなかなか死ななくなる一方で少子化が進み、人口全体が高齢化すると、相対的にがんの死亡数や粗死亡率*2は増える。 一方、高齢化の影響を補正した年齢調整死亡率は、他の先進国と同じく、日でも減少している。ただ、「がん死亡数が増え続けているのは先進国では日だけ」というデマに対抗して高齢化の影響を持ちだすと、「他の先進国で

    「がん死亡数が増え続けているのは先進国では日本だけ」は誤り - NATROMのブログ
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    counterfactual 2022/06/27
    ”東京大学医学部附属病院放射線科総合放射線腫瘍学講座特任教授” 名刺作るの大変だろうな。
  • TMHKさんと名取宏(NATROM)との会話。主に甲状腺がんの過剰診断について。 - NATROMのブログ

    Twitterにおいて、TMHKさんと議論になりました。お返事が長くなり、またTwitterの仕様上、やり取りがわかりにくくなりますので、詳細にはついてここでお答えいたします。まずは、TMHKさんと名取宏(NATROM)の会話をTogetterでまとめました。漏れがないようにはしていますが、もし、漏れがありましたらご指摘ください。 ■TMHKさんと名取宏の対話。主に過剰診断について。 - Togetter 以下、斜体はTMHKさんのご発言からの引用です。TMHKさんは以下に示すように独自用語を使い、また、しばしば何を言っているのかわからず、建設的な議論が難しいため、今後、逐一のお返事はしないかもしれません。ご質問や異論がある方は、コメント欄に書き込んでくださってかまいません。他の方々にも参考になるように、重要な部分は強調いたしました。 >知見が不十分な状況下では過剰治療が存在する。その場合

    TMHKさんと名取宏(NATROM)との会話。主に甲状腺がんの過剰診断について。 - NATROMのブログ
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    counterfactual 2022/02/15
    過剰診断による被害を受けている可能性が高いというのが、被害者を貶めることとはこれ如何に? 検査を主導した医師は、被爆の影響とは考えられないと、東電や政府側についているんだぜ? よく信用できるもんだ
  • 食塩さんと名取宏(NATROM)との会話。主に甲状腺がんの過剰診断について。 - NATROMのブログ

    Twitterにおいて、塩(tableSalt0117)さんと議論になりました。お返事が長くなり、またTwitterの仕様上、やり取りがわかりにくくなりますので、詳細にはついてここでお答えいたします。まずは、塩さんと名取宏(NATROM)の会話をTogetterでまとめました。漏れがないようにはしていますが、もし、漏れがありましたらご指摘ください。 ■塩さんと名取宏の対話。主に過剰診断について。 - Togetter 以下、斜体は塩さんのご発言からの引用です。塩さんは、ここのコメント欄でもTwitterでも、どちらでお返事をなさってもかまいません。また、塩さん以外の方でも、ご質問がある方は、コメント欄に書き込んでくださってかまいません(できればコメント欄のほうがありがたいです)。他の方々にも参考になるように、重要な部分は強調いたしました。 >「エビデンスはある」とおっしゃるんで

    食塩さんと名取宏(NATROM)との会話。主に甲状腺がんの過剰診断について。 - NATROMのブログ
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    counterfactual 2022/02/14
    辛い語り口だな。食塩だけに/ "当然、福島県外にも自覚症状を呈して発見された進行の早い小児甲状腺がんが多発しているはずです。" 被曝が原因なら 福島だけが突出している合理的な説明はできない。
  • 「万能薬」ができるわけ - NATROMのブログ

    ニセ医学の多くは効果が特定の疾患に限定されず、きわめて多様な疾患に効くと吹聴されている。例を挙げれば、血液クレンジングは慢性疲労・肩こり・冷え性、頭痛、不妊症、更年期障害、高脂血症、高血圧、花粉症、アトピー性皮膚炎、認知症・脳血管障害の予防、美肌効果、気管支喘息、動脈硬化・狭心症・心筋梗塞の予防、がん、悪性リンパ腫、白血病、インフルエンザ、肝炎、HIVに適応があると称されている*1。まさしく「万能薬」と言っていい。 「こすぎレディースクリニック」のウェブサイトにあるオゾン療法(血液クレンジング)の適応(一部)。「stage IVの非小細胞肺がんに効果がある」などと適応を絞ったニセ医学はあまりない。万能を謳う理由の一つは潜在的な顧客(カモ)の数であろう。商売をするなら顧客が多いほうがいいので、がんにもアトピーにもアンチエイジングにも効くと称しておくほうが都合がいい。 ニセ医学の適応が広い理由

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    counterfactual 2021/11/30
    無知の善意は地獄へ導く
  • 過剰診断が多いほど検診から恩恵を受けたと感じる人が多くなる「ポピュラリティパラドクス」 - NATROMのブログ

    乳がん検診はがん死を減らすが過剰診断も生じる マンモグラフィーによる乳がん検診は乳がん死を減らす一方で過剰診断も生じる。つまり検診がなければ生涯無症状で乳がんと診断されなかったはずの人も乳がんだと診断してしまう。乳がん検診は複数のランダム化比較試験が行われており、過剰診断の割合はおおむねわかっている。以前、ある研究に基づいた『■検診で乳がんが発見された人が100人いたとして』という記事において、検診で乳がんと診断された人のうち過剰診断は約29%だという数字を紹介した。検診のおかげで乳がん死を免れる人は約3%、検診で乳がんが発見されても乳がんで亡くなる人も約3%、残りの約65%は検診を受けなくてもいずれ症状が出て乳がんと診断されるが、診断されてから治療しても乳がん死しない人である*1。 この記事の感想に「私は運よく検診で乳がん死を免れた3%であったのだろう」というものがあった。この感想を述べ

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    counterfactual 2021/11/01
    占いみたいなもんね
  • 裁判事例から学ぶ健康情報の読み方 - NATROMのブログ

    はじめに サプリメントや健康品を摂取している患者さんはたくさんいらっしゃいます。サプリメントや健康品は肝障害などの副作用がまれながら生じることもある上に、多くは効果があるかどうかわかっていませんので、臨床医としてはあまりお勧めできません。一方で、安心感が得られるといったメリットもありますので、臨床の現場ではあまりに高価でないものは消極的に容認されているといったところです。 サプリメント・健康品は医薬品ではありませんので、効果効能を謳って販売することは法律に触れます。しかし、あからさまに効果効能を謳うことなく、しかしあたかも効果効能があるかのように消費者に誤認させる宣伝方法がしばしば使われています。そうした宣伝に対して、専門家が「科学的に効能が実証されたとは言えない」とメディアで注意を促すことは有用だと私は考えます。 ところが、ある企業が販売している飲料水(仮に「A飲料水」としましょう

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    counterfactual 2021/09/21
    アカデミック・マーケティングの一例
  • ワクチン接種割合からワクチンの効果を評価するときに気をつけること - NATROMのブログ

    新型コロナによる重症者や死亡者中に占めるワクチン接種者の割合についての報道が増えてきた。たとえば、 ■その数字がワクチン接種を促すか──6月に死亡した米コロナ患者の「ワクチン未接種率」が明らかに(クーリエ・ジャポン) - Yahoo!ニュース という記事によれば、「(アメリカ合衆国)国内で6月に新型コロナウイルスによって死亡した人の99.2%はワクチンを接種していなかった」とある。もちろん99.2%という数字だけではあまり意味がなく、比較の対照が必要だ。仮に死亡しなかった人でも99.2%がワクチンを接種していなかったとしたら、新型コロナによる死亡とワクチン接種には関連があるとは言えない。 記事では「18歳以上のアメリカ人成人の67%が少なくとも1度目のワクチンを打ち終えており、58%が2度目の接種も終えた」という数字も紹介してある。集団中においてワクチン未接種者の割合は30%強であるのに対

    ワクチン接種割合からワクチンの効果を評価するときに気をつけること - NATROMのブログ
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    counterfactual 2021/07/30
    乳がんになった人のち、80%が朝食がパン食だった、みたいな。
  • イソジンうがいで新型コロナの重症化予防という話はどうなったか追いかけてみた - NATROMのブログ

    2020年8月の会見「うそみたいな当の話」 新型コロナウイルス感染症の第四波の真っ最中で、とくに大阪府は厳しい状況だ。大阪と言えば、昨年2020年8月に大阪府吉村洋文知事が会見で「うそみたいな当の話をさせていただきたい。ポビドンヨードを使ったうがい薬、目の前に複数種類ありますが、このうがい薬を使って、うがいをすることでコロナの陽性者が減っていく」と述べた。また、接待を伴う飲店の従業員や医療介護者・介護従事者などに「ポビドンヨードうがい薬によるうがいを励行」を勧めた*1。ポビドンヨードを使ったうがい薬の代表的な商品がイソジンうがい薬である。会見はテレビで放送され、うがい薬の売り切れが続出したという。 ポビドンヨードに新型コロナウイルスを不活化する作用があるのは事実だ。ただ、それは試験管内、実験室内の話で、実地臨床の場において感染予防効果や重症化予防効果があるかどうかは別問題である。

    イソジンうがいで新型コロナの重症化予防という話はどうなったか追いかけてみた - NATROMのブログ
    counterfactual
    counterfactual 2021/04/15
    "意外とちゃんとしている"