七帝とは旧制の帝国大学七校、つまり北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学のこと。この小説は、その七大学大会に文字通り命を懸ける体育会柔道部の青年たちを描く、熱すぎる青春ドラマなのです。 著者は『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』で一躍出版界の寵児となっている増田俊也さん。増田さん自身が北大柔道部出身で、部活引退後さっさと中退してしまったという経歴の持ち主。これは、著者の自伝でもあるのですね。 七帝大のみの大会というと、エリート感丸出しの排他的な集まりと思う人もいるかもしれません。しかしさにあらず、講道館柔道が世界ルールとなり、実践的な高専柔道が廃れるのを惜しみ、帝大だけでも伝統を守ろうとして開催されたのが発端だそうです。投げ技で勝負が決まる講道館ルールでは体格や才能で予め勝負が決まってしまいますが、寝技で勝負が決まる高専柔道では練習量で勝負が決まると