■薬草を探し、父と各地を放浪 17世紀のヨーロッパを舞台にしながら、現実とはちょっと違う世界を描くファンタジー作品。テーマは一風変わっていて、植物だ。薬草となる植物を探し集めることが生業の「プランツハンター」の主人公が、父と2人で各地を放浪し、毎回不思議な植物たちと出合い、巻き起こるドラマが描かれる。 ともに旅をする父は、実はすでに死んでいる。「妖精の草」と呼ばれる植物が体内に入り込み、父の身体に新たな生命を吹き込んでいるため、それに支えられて生き永らえているのだ。しかし以前の父とはちがって無表情で、言葉を発することもなく、時に見せる表情らしきものも、植物の意思なのか、父のものであるか、定かではない。優れたプランツハンターだった父の過去の謎を追いながら、物語は徐々に大きな展開を見せはじめ、先行きに期待が高まる。 飾り気のない、親しみやすいタッチの絵ながら、描き出される世界は個性的で、独特の