スクリーンに映し出される男女の情事。「手と足を使って…」「切なくあえいでいます」-。吐息交じりの女性の声が、艶っぽく情感たっぷりに場面を解説する。 「エロティック・バリアフリー・ムービー」。略して“エロバリ”。字幕や音声がつき、視覚や聴覚に障害のある人たちが楽しめる工夫が凝らされたポルノ映画だ。制作を手がけるのは、映画プロデューサーで映画制作会社「シグロ」(東京)社長の山上徹二郎さんと、「もう頬づえはつかない」「サード」などで知られる映画監督の東陽一さん。 エロチックな作品を見たいと思うのは、障害者も健常者と同じ。映画制作の背景には、そうした障害者の需要に対し、供給が極めて貧弱だという現状がある。エロバリは、正面切って論じられることの少ない福祉の課題を浮き彫りにしている。(大津支局 小川勝也)需要と供給のギャップ 障害者のニーズに関してこんなデータがある。 読書をしたい目の不自由な人たちの