セックスワーク－「セックスというお仕事」と自己決定権 - 内田樹の研究室

２０年ほど前に性についての倫理を主題にした論集に「セックスワーク」についての寄稿を求められた。まったく不得手な論件だったけれども、苦心して書いた。なんという本だったか忘れてしまった。たしか岩波書店から出た論集だと思うけれども、もう手元にない。 考えていることは昔と変わらない。今はもうこんなにきつい書き方はしないと思うけれど。 はじめに 最初に正直に申し上げるが、私自身は、セックスワークについて専門的に考究したこともないし、ぜひとも具申したいような個人的意見があるわけでもない。ときどき、それに関する文章を読むが、数頁（場合によっては数行）読んだだけで気持ちが沈んできて、本を閉じてしまう。困ったものではあるが、私を蝕むこの疲労感は、必ずしも個人的なものとは思われない。 私の見るところ、この問題については、どなたの言っていることにも「一理」ある。ただし、「一理しかない」。異論と折り合い、より広範

[yujimi-daifuku-2222]

道徳と言えないばかりに身体の尊厳なる概念を持ち出すのは無理があると思うよ。それは結局内田がそう考えるという話で、彼の言を借りるなら、その理論的な根拠はないのだから。

[anatadehanai]

所々いいことも言っていたが、後半、「身体が求めるのは……」と勝手に身体を代弁し始めたのに萎えた。身体ほど個別的なものはなく、隣の身体も永遠の謎なのに。そして結局「体に悪いからやめときなさい」なのかと。

[qyosshy]

そもそも、身体を売ってはいけないという価値観がまず破棄すべきなんだよなあ。女が男に売るのも男が女に売るのも同性に売るのも認めるべき。法改正しようぜ。

[PEH01404]

内田樹の真骨頂。倫理と論理の齟齬を解きほぐすことに関してはやはりスゴイ

[by-king]

身体性の話をするなら、売春に限らず世の中には正規な労働として苛烈で不快な肉体労働が数多ある。文中のセックスワーカーは売春をこれらと同じように管理された労働としてくれ、と求めているのであろう。

[wuzuki]

私が大好きだった頃のウチダ節だ。/ 最後の「身体性」のところに批判的な意見多いけど、私はすごく納得いったよ。そしてこういう、理屈ではないところをこのような言葉遣いで描くところこそが彼らしい部分だと思う。

[Ingunial]

身体の尊厳が売春で侵されるとか考えるのは一種の宗教だろ。その宗教を信じる人がいるから、売春婦を下に見たり、人権がなくていいっていう考えにつながるんじゃねーの？

[adchange]

めちゃくちゃ分かりやすいし面白かった。結局、差別してはならないけど、自分の子供がやりたがったら止める、という矛盾したことになっちゃう。

[KKElichika]

小田島追悼文に続き、こう短期間に内田樹の書くものが腑に落ちる僥倖に恵まれるとは。ここで内田が使っている「身体」は、「肉体」とは少し違う概念だと思う。モヤっとした反応も分かるけど、私は割と腑に落ちた。

[pqw]

樹さん。こんな感じで各論並べて各者を尊重しながら自分の意見を述べるという素晴らしい姿勢を、なぜ他の話ではできないんですかね…

[takahiro_kihara]

"身体は「金」を求めない。"／"私にとって、精神科は魂に悪かったけれど、売春は魂に良かった"／"身体には固有の尊厳があると私は考えている。"／"現実が整合的でない"

[stranger2ex]

“他人を軽蔑することで優越感を得ようと望むものは、つねに「自分より卑しい人間が安定的かつ大量に供給されるような場所」への移動を繰り返す他ない。”極端の不幸。。。ためらいの倫理。中庸の徳。

[fu_kak]

腑に落ちる

[ebmgsd1235]

身体は脳の道具として徹底的に政治利用されるけど解放の契機でもある。発言権を認めなくとも岩は叫ぶし距離は飛び越えられてしまう。尊厳と言うより脆さ、性的身体が金や学歴への固着を破壊する。レヴィナスの顔は？

[Midas]

そうではなくもっと単純な話。ポイントは「性行為という本来は『性的エクスタシー』と呼ばれる『自己を失う』愚行権ともみなされかねないアクティビティが『自己決定(自由意志』と根本的に相容れないとこ」にある

[tsutsumi154]

詳しくないといいつついつもより筆致がなめらかな気が

[kuzudokuzu]

このブコメ群の中に並ぶ賞賛は、国家における「喫緊の諸問題を解決する能力および方法」という身体性に欠けた「私が同意するのだから正しい」という超人性なんじゃないの。ブクマカとは「社会に利しない者」である。

[yatimasan]

この論でいくと、暴力団員ですら法的保護すべきというところに行き着きそうな気はするが、そのへんどうなんすかね。違法なままで、しかし個人には保護を与えるというのは良さそうな気もするが

[p-4]

いつになく切れ味が悪いなぁ、自分で金集めて貧困層へ施しをすればいいんでない？ってとこを折り合いませんの文体で延々と潰してる気がする。

[d346prt]

上野千鶴子の政治的な正しさは尊敬するが好きになれない部分がこれで、そこを上手に言語化してくれている。ホント昔の内田樹は問題の切り分けるのに長けていた。

[rlight]

売春制度の即時廃絶ではないが、緩やかな廃絶につながる主張であると思った。

[gonzales66]

https://b.hatena.ne.jp/entry/blog.tatsuru.com/2013/05/29_0836.html 　"2003年に『岩波応用倫理学講義』（金井淑子編、岩波書店）に書いたものである。"

[astefalcon]

死の危険性がある仕事は山ほど存在するが、セックスワークに従事して死んだり手足が欠損したという話はまずない。少なくとも林業よりは安全な仕事だろう。

[amebacore]

少なくとも2つはほとんどの国が同意していることでは？ "それは「金」と「教養」と「処女性」に高い値札をつける父権制の価値観の少なくとも一部には同意したということを意味している。"

[addiition]

id:air77et1980 体への侵襲性が大きいという理由で正式に仕事として認められないなら、原発で仕事している人も仕事として認められないという話になってくるし、仮に危険な仕事なら尚更社会保障で手厚く保護すべきかと。

[cinefuk]

"「セックスワーク」という言葉は価値中立的な語ではなく、それ自体明確な主張を伴った術語である（と思う）。『セックスワーク』というタイトルの売春従事者たちの証言を集めた本が93年に刊行されて以後の"

[kagerou_ts]

いろんな立場のいろんな意見はおいといて「身体をいたわんなさい」って感じに思えた。こういう話でその視点はあまり見なかった気がする。

[aox]

物心つく前に子宮を男性に移植しましょう

[nao_cw2]

ブコメは何を反発してるんだ／＞それが徹底的に「社会的・秩序的」なもの、現実の社会関係の「矮小な陰画」に他ならないと思うからである

[Seitekisyoujyo]

身体は脳の道具として徹底的に政治的に利用されるべきであるのが嫌いというなら、彼は世のあらゆる仕事が嫌いであると言えそうなのだが。自分は売春婦の人権と売春を選ぶ自由が保障されてればそれでいい。

[technocutzero]

どんだけエクスキューズつけようが机の前で頭捻ってるだけで分かった風な口を叩くって相当な下品さだと思うんだぜ

[jankoto]

“彼女たちもまた男たちが永遠に愚劣な存在のままであり続けることを切望している。それは言い換えれば、父権制社会とその支配的な性イデオロギーの永続を切望するということである。”

[dltlt]

セックスワークの中身を「奉仕型」と「被侵襲型」とに分類しなくていいのだろうか？ 他の肉体労働に、後者はないだろう。（セックスワークでない「殴られ屋」とかあるのかな？）

[hom_functor]

「嫌なものだ」という個人の感想は自由だけど、それを正当化するために身体の尊厳という新概念を持ち出したら、前半で否定している抑圧者との差がない

[koo-sokzeshky]

身体性の話、哲学の文脈では普通にありそうだしポッと出の新概念というわけではないかと。まあ近現代へのカウンターなので、当事者含めあまり同意されないのも自然、でも単純化の歯止めとして無価値ではないと思う

[chintaro3]

やっかいな感染症や耐性菌の温床になってるからセックスワークを廃絶しよう、でいいんじゃなかろうか。

[quick_past]

ぶっちゃけセックスワーカーの問題を「自己責任」でくくるなら、あまたあるブラック体質な企業なんて、体質改善を求めるほうがおかしいって話になるし、そこで食い物にされてる労働者なんてなおさら。ってことに

[tikani_nemuru_M]

自己決定論に対して身体性がカウンターになりえるかというのは難しい。自己決定論は観念的であるが、対抗言論が困難／家父長制は売春を必要とする側面と排除する側面がある。売春擁護も否定も家父長制となりうる。

[natu3kan]

運送業や介護やタクシードライバーなんか、長い事続けてたら重量物で腰や関節を不可逆に壊す(母も頸椎と腕を介護業で壊した)けど、代替するほどの賃金が貰えない。あと障害者なだけで性のアクセスが困難になる理不尽