人口減問題について語る人たちは、マンパワーの不足やマーケットのシュリンクや年金や医療制度の持続可能性について話すけれど、ほんとうにシリアスなのは「高齢期に入って社会的に孤立化したシングルのアンダークラス化」にある。本書はそのタブーを正面から取り上げた例外的な仕事である。 「アンダークラス」というのは「ワーキングクラス」のさらに下に位置する、生活保護なしでは暮らしていけない最貧困層のことである。差別と排除の対象となり、社会の底辺に吹き溜まる閉鎖集団である。 日本でも「高齢者アンダークラス」がこれから大量に出現する可能性がある。政治家も官僚もメディアもこの問題から目を背けてきたが、高い確率でこれからの日本社会はそういう集団を抱え込むことになる。いまミドル期(35歳~64歳)にあるシングルたちは遠からず高齢期シングルとなる。今のまま何の対策も講じずに放置しておけば、いずれ日本社会は貧しく、孤独で