“感染”した時間｜斎藤環（精神科医）

花々を見て、煙のまとわりつく木々を見て、のぼっては下るカラスの群れを見て立ちつくすわたしに、ピーターが何か言った。「野菜に囲まれて物思いかい」だったかしら。「おれはカリフラワーより人間がいいぞ」だったかしら。ある朝、朝食どき、テラスでのことだった。ピーター・ウォルシュ……もうすぐインドから戻る。六月？七月？どちらだか忘れた。だって、あの人の手紙は恐ろしく退屈なんですもの。覚えているのは語られた言葉、あの眼差し、ポケットナイフ、笑い顔、不機嫌。何百万の物事が何もかも消え失せて、残ったのがカリフラワーについての二言三言だなんて、とても不思議。 （バージニア・ウルフ著、土屋政雄訳『ダロウェイ夫人』光文社） 被災した時間 大規模な災厄は、人間の時間意識を変える。 そのことを最初に意識したのは9年前、東日本大震災の直後だった。震災は時間の流れを分断し複線化した。列島は複数の時制へと引き裂かれた。目前

[songsfordrella]

「解離」かどうかはわからないが、引きこもり状態がいちばんキツかった頃、食べ物全部が蝋細工のように思えて、リンゴを食べても上手いとも不味いとも思わずただ「リンゴだね」としか思えなかったことを思い出す。

[soitan]

“日常のリアリティを支えていたのも、重畳し輻輳する無数のカイロス時間の束なのではないだろうか。”面白い。

[screwflysolver]

「世界はいわば「コロナ時計」のもとに強制同期させられている」これはちょっとわかる。

[mutevox]

“震災は時間を分断したが、コロナは時間を均質化するのではないか”

[makoto1410]

「いったい3月に、4月に、自分は何をしていただろうか。フワフワして手応えがなく、のっぺりとして立体感がない。サイクルはあるがリズムがない。」学生からサラリーマンになったときの感覚に似てる。

[kash06]

過去の仕事を思い出す時、工程表の時間と記憶の強弱に差異がある、あの「強」が抜け落ちて工程表を生きているという事なのか。そういえば、3月14日の雪を強く覚えているのに、4月を測り損ねている。

[Heavylug]

"このおびただしいカイロス時間群こそが、時間の経験と記憶の連続性とパースペクティブを可能にする当のものだったのだ"感覚的にはよくわかる。これらが生のリズムを作り出しているというか。

[mmsuzuki]

“世界はいわば「コロナ時計」のもとに強制同期させられている／国ごとに、地域ごとに流れる固有の時間は消滅しつつある。”

[tomisyura]

"無数のカイロス時間が人々の記憶の遠近感を担保していたが、今や世界中がカイロス時間が溶融し均質化したコロナ時計に強制同期させられている。内向きの不要不急の充足こそが時間線の回復につながるのではないか"

[arajin]

「外向きの不要不急を控えざるを得ない今こそ、内向きの不要不急を充実させる必要があるのだ」

[p_shirokuma]

斎藤環先生。やっぱり面白い文章書かれるなぁ。そしてこういう面白さに二十年前の自分は憧れ、二十年のうちに自分には永遠に書くことができないと悟った。

[knok]

「人類が克服したはずの「感染症」が、まるで「弱いくせに超しつこいチンピラ」のように回帰してくる」知識としては「致死性の強いウイルスはそれほど広がらない」とわかっていたつもりだったが…

[ryuzi_kambe]

アナタハソコニイマスカ？

[kisuke1234]

新型コロナが世界の日常をアイロンで伸すように均質化してしまった。私達の生活が均質化してこなかったのは「不要不急」によってリズムが作られていたから。この均質化で私達の意識も変容した。新しいことに文字数

[wa_kanou]

「解離とは意識の狭窄だ」ああ…そうかも。広げる努力をしなくてはいけないんだな。

[endo_5501]

“スラムとハイパーテクノロジーが同居する、サイバーパンクな未来はもう来ない。理由は単に「不潔」だから”