記事:明石書店 『黙々――聞かれなかった声とともに歩く哲学』(高秉權著、影本剛訳、明石書店) 書籍情報はこちら 現代の民主主義社会は、ある種の人々から声を奪うことで成立している。入所施設や精神科病院で長期収容されている障害者の存在は忘れられている。生活保護の受給者が声を上げるだけで、世間からバッシングを受ける。性被害者、難民、失業者たちの声は抑圧され、黙らされる。抑圧され、排除された者たちのほとんどは、無念の思いを抱き、沈黙するしかない。 世間からは見向きされないその無念、沈黙。 押しつけられ積もっているが吐き出されない思い。 本書はまさにその無念や沈黙に耳を傾け、その声を聞くことで本当の意味での民主主義の息吹を見出す本だ。 「研究空間スユ+ノモ」と「ノドゥル障害者夜学」 著者高秉權(コ・ビョングォン)氏は、韓国では著名な在野の哲学者であり言論人だ。2000年代には「研究空間スユ+ノモ」と