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書評に関するfumiruiのブックマーク (89)

  • 書評 「人類の祖先はヨーロッパで進化した」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    人類の祖先はヨーロッパで進化した 作者:デイヴィッド・R・ビガン発売日: 2017/09/08メディア: Kindle版 題名だけから見るとサピエンスアフリカ起源説への異説のような印象だが,そうではない.書は中新世の類人猿の専門家であるデイヴィッド・ビガンによる(チンパンジーとヒトとの共通祖先より前の段階についての)類人猿の進化仮説を扱ったになる.書の中心となる主張は「中新世の1700万年前からヨーロッパで繁栄していた類人猿が寒冷化・乾燥化を受けて1000万年前頃にアフリカに移動したものがアフリカ類人猿(ゴリラ,チンパンジー,ボノボ,ヒト)の祖先であり,そこから人類も生まれた」というものであり,「アフリカ類人猿は中新世からずっとアフリカで進化したもので,ヨーロッパの中新世の類人猿はアフリカから移動し子孫を残さずに絶滅した側枝である」という通説と対立している.書は丁寧に類人猿化石を

    書評 「人類の祖先はヨーロッパで進化した」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
  • 訳書情報 「ヒトは〈家畜化〉して進化した:私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか 」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    ヒトは〈家畜化〉して進化した―私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか 作者:ブライアン・ヘア,ヴァネッサ・ウッズ白揚社Amazon 以前私が書評したブライアン・ヘアとヴァネッサ・ウッズ夫による「Survival of the Friendliest」が「ヒトは〈家畜化〉して進化した」という邦題で邦訳出版された. 書はヒトの同種個体に対する友好性そして協調性が「自己家畜化」を経由して進化したものであることを説得力を持って解説している好著だ.特にトマセロやランガムの元での経験談や家畜化について知るためにシベリアのベリァーエフのキツネ飼育実験場まで赴いた話などは臨場感たっぷりで楽しい.後半はそのような同種個体への友好性を持つヒトがなぜ戦争やジェノサイドを引き起こすのかについて,外集団に向けた敵意も自己家畜化の一側面であり,それが相手の<非ヒト化>を通じて強化されるという議論を行っている.

    訳書情報 「ヒトは〈家畜化〉して進化した:私たちはなぜ寛容で残酷な生き物になったのか 」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
  • ツイッター映画ライターが豊崎由美氏と栗原裕一郎氏のtiktok批判に思う『推す批評』と『斬る批評』、かつて小沢健二を批判したあるロキノン女性ライター、そして広瀬すずはなぜ李相日監督を信じるのかという話|CDBと七紙草子

    詳細は上のリンクを読んでいただくとだいたいわかると思います。有名書評家である豊崎由美氏が、アマチュアTikTokアカウントを貶し、「そんなものでが売れたからどうした」「この人に書評書けるんですか」と言った。この件について誰もが思うことでしょうが、あまりに筋が悪い。書評書けるも何も、相手は一介のアマチュアです。出版産業の屋台骨が揺らいでいる時に無料で若い世代に小説をすすめ、しかも実際に若い世代に影響を与えて売り上げが上がるという結果を出している貴重な存在です。言うまでもなく炎上しました。引用RT1000超えというのは、めちゃくちゃに批判されていることの表れです。アルファアカウント、ベストセラー作家も次々と豊崎氏批判の側で声をあげ、賛否両論というより事実上ワンサイドの炎上になりました。 そんな中で、個人的には評論家である栗原裕一郎氏のツイートが心にとまりました。 原稿のネタにしようと虎視眈々

    ツイッター映画ライターが豊崎由美氏と栗原裕一郎氏のtiktok批判に思う『推す批評』と『斬る批評』、かつて小沢健二を批判したあるロキノン女性ライター、そして広瀬すずはなぜ李相日監督を信じるのかという話|CDBと七紙草子
  • 機龍警察白骨街道 - 現代のインパール作戦 - シミルボン

    機龍警察白骨街道 / 月村 了衛 についてのレビュー。近接戦闘兵器である機甲兵装を擁する警視庁特捜部の活躍を描いた『機龍警察』はシリーズもので、今までに長編が5冊、短編集が1冊発行されており、作は長編第6弾にあたる。私はこのシリーズのいい読者ではなくて、今までに短編集の『機龍警察 火宅』しか読んでいないが、どの短編も切れ味鋭く、一貫して硬質で冷たい書きぶりの作品という印象が残っている。作はシリーズものの一作といっても、単独作としてまったく問題なく

  • 大木毅書評:芝健介著『ヒトラー 虚像の独裁者』

    ──書評:芝健介著『ヒトラー──虚像の独裁者』岩波新書 大木 毅 若いころ、聖書についで、史上ナンバー・ツゥの部数を誇っているのはナポレオンの伝記だと聞いたことがある。もとより真偽をたしかめるすべもないが、東西のさまざまな国々で出版されたナポレオン伝の数を思い浮かべれば、なるほど説得力のある話ではあった。しかし、21世紀も四分の一近くが過ぎ去った今となっては、別の歴史的個性が、あるいはナポレオンへの関心を抜いたかとも思われる。それがヒトラーであることはいうまでもない。 このナチス・ドイツの独裁者については、ジャーナリスティックな読み物から学術研究に至るまで、ただごとでない量の文献が刊行されてきた。主たるものだけでも、コンラート・ハイデン、ヒュー・トレヴァ=ローパー、アラン・ブロック、ヨアヒム・フェスト、ジョン・トーランド、イアン・カーショーら、戦後それぞれの時代の花形ジャーナリストや代表的

    大木毅書評:芝健介著『ヒトラー 虚像の独裁者』
  • [読書]スタニスワフ・レムによる『ストーカー』(ストルガツキー兄弟) 論 - ゴールデンレトリバー撫でたい

    (※諸事情で再公開です) 裏世界ピクニックのアニメやってますね。僕はまだ観てないけど元ネタのストルガツキー兄弟の『ストーカー』は読んだ。 ストーカー (ハヤカワ文庫SF) 作者:アルカジイ ストルガツキイ,ボリス ストルガツキイ 発売日: 2018/01/31 メディア: Kindle版 ストーカーについても特に書きたいこともないけど、そういえばこれはスタニスワフ・レム大先生が短い評論を書いてたのを思い出した。レムについては一度書いときたかったのでちょうどいいかな。 これに収録されています。 高い城・文学エッセイ (スタニスワフ・レム コレクション) 作者:スタニスワフ レム 発売日: 2004/12/01 メディア: 単行 1. 僕がレムを初めて知ったのは哲学関係ので、フッサールの現象学における意識の考え方について書かれていた部分で『ソラリス』が引かれていたことがきっかけだった。実際

    [読書]スタニスワフ・レムによる『ストーカー』(ストルガツキー兄弟) 論 - ゴールデンレトリバー撫でたい
  • 『見えない手 中国共産党は世界をどう作り変えるか』の3つの謎に迫る! - 黒色中国BLOG

    ▲クライブ・ハミルトン教授の新刊、『見えない手 中国共産党は世界をどう作り変えるか』の日語版が日届きました!\(^o^)/ ▲前作の『目に見えぬ侵略 中国のオーストラリア支配計画』の時も、「買いました!」のブログ記事を書きましたが、今回も「読む前に書くブックレビュー」をいたします。 今回の『見えない手』は、発売前に監訳者が漏らしていた「問題」がありまして、まずはその点を確認せねばなりません。そして書には他にも「2つの謎」がありまして、読み始める前にこれらの「3つの謎」を解き明かしておこう!と思っていたのでした。 購入を検討している皆さんの参考になれば幸いです。 1つ目の謎:「薄い疑惑」 ▲こちらの動画の42分20秒あたりから、『見えない手』の話になるのですが、44分40秒から、監訳者の奥山真司さんが、書の問題について取り上げています。 「問題はですね、『サイレント・インベージョン

    『見えない手 中国共産党は世界をどう作り変えるか』の3つの謎に迫る! - 黒色中国BLOG
  • 書評『「色のふしぎ」と不思議な社会 ――2020年代の「色覚」原論』 - NATROMのブログ

    「色のふしぎ」と不思議な社会 ――2020年代の「色覚」原論 (単行) 献御礼。タイトルの通り、色覚についての自然科学、および、「色覚異常」*1と社会との関わりについて書かれただ。サイエンスの部分(第2部)も興味深いが*2、その部分の書評は他の方に任せて、社会との関わり、とくに医師が関わる部分について述べる。 かつて学校で先天性色覚異常の検査が行われていた。私も小学生のころ学校で色覚検査を受けたことがある。2003年に学校での色覚検査は学校健診の必須項目から削除されたそうだが、検査に使う石原式色覚異常検査表を見たことがある人は多いだろう。その後、私は医学部に入学したが、当時、色覚異常でも受験資格があったどうかは記憶にない。当事者でなければ気にせずにいられたわけだ。医学部では眼科学は学ぶが色覚異常はさほど深くは学ばない。むしろ遺伝学に関連して、ヒトの伴性遺伝の例として学んだことをよく覚

    書評『「色のふしぎ」と不思議な社会 ――2020年代の「色覚」原論』 - NATROMのブログ
  • 2020年上半期に読んで面白かった本5選 - 本しゃぶり

    いつの間にか2020年も半分が過ぎている。 上半期に読んだ中からおすすめの5冊を紹介する。 【目次】 2020年上半期に読んだ 『140字の戦争』 『僕らはそれに抵抗できない』 『欠乏の行動経済学』 『21 Lessons』 『サーチ・インサイド・ユアセルフ』 終わりに 2019年に読んでおすすめの 2020年上半期に読んだ 今週のお題「2020年上半期」ということなので、タイトル通り2020年上半期に読み終えた中から良かったを5冊紹介する。去年は後で書こうと思っていたら、結局今年の3月まで書かずにいた。散髪と同じで半年に1回くらいがちょうどいいのかもしれない。 2020年上半期に読み終えたは41冊。去年は年間で101冊なので遅いペースだ。 2020年上半期の読了数推移 言い訳をするならば、1月上旬は体調不良、5月・6月は引っ越しで忙しかったせいだ。多く読めばいいというものではな

    2020年上半期に読んで面白かった本5選 - 本しゃぶり
  • 『ギルガメシュ叙事詩』から『叛逆航路』まで、神話、SF、幻想、ファンタジィ中心の最高のブックガイド!──『世界物語大事典』 - 基本読書

    世界物語大事典 作者: ローラミラー,巽孝之,Laura Miller,越前敏弥出版社/メーカー: 三省堂発売日: 2019/10/11メディア: 単行この商品を含むブログを見るこの『世界物語大事典』はすごいだ! この世界には様々なが存在するが、その中でも「僅かなりとも現実から離れた」、つまり神話とかSFとか幻想、ファンタジィを中心に、太古の『ギルガメシュ叙事詩』から現代の『ハンガー・ゲーム』まで、幅広く紹介していく一冊である。 文字数的には1500〜4500ぐらいに収まり、深く解説しないものも多い。そうはいっても英語圏のみならず中国、日小説(『1Q84』とか)取り揃え、ざっとした内容紹介からその小説が当時どのように受け入れられたのか、どのような歴史的意義があるのかを解説していってくれるので、一言でいえばたいへん勉強になる一冊だ。 たとえば、叙事詩『ベオウルフ』とか「なんかベオウ

    『ギルガメシュ叙事詩』から『叛逆航路』まで、神話、SF、幻想、ファンタジィ中心の最高のブックガイド!──『世界物語大事典』 - 基本読書
  • 『火星の人』を、無双系web小説として読んだ - シロクマの屑籠

    働きすぎて元気の出ない日には、砂糖菓子のように甘いweb小説を読みたくなる。 でも今は『小説家になろう』にアクセスする気にはなれない。お目当ての作品を探すのにやたら時間がかかるからだ。 そんな折、さる方面から「『火星の人』は無双系web小説」という素晴らしい情報を耳にした。 火星の人 作者: アンディウィアー出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2014/09/30メディア: Kindle版この商品を含むブログ (21件) を見る ネットで検索しなおすと、togetterでも映画版*1に対して「最強なろう作家?」というタイトルのついたまとめを見かける。 togetter.com これ、俺が読むために生まれてきた小説なのでは!? 『火星の人』はハリウッド映画化しているぐらいだから、必ずクオリティの高い作品のはずだ。wikipediaで調べてみると、2011年に自費出版されたのが作なのだとい

    『火星の人』を、無双系web小説として読んだ - シロクマの屑籠
  • 書評 - オイカワ丸の湿地帯中毒

    ウラケン・ボルボックス(絵と文)・五箇公一(監修)「侵略!外来いきもの図鑑 もてあそばれた者たちの逆襲」PARCO出版 publishing.parco.jp 侵略性のある外来種は生態系のみならず、農林水産業や公衆衛生、文化財などあらゆる分野に問題を与えており、現在の日においても多くの「害」を引き起こしています。したがって、外来種問題は国内において早急に対策・解決すべき社会的な重要課題の一つと言えます。しかしながら外来生物法ができたのが2005年、生態系被害防止外来種リストと外来種被害防止行動計画ができたのが2015年ということで、社会的課題として認識されたのがごく最近ということもあり、まだまだ正しい知識の普及が不足しており誤解も蔓延している状況にあります。加えて、即刻人命に悪影響を及ぼすという類の問題ではないこと(一部そういう外来種もいますが)、また課題解決にはその生き物を「駆除」する

    書評 - オイカワ丸の湿地帯中毒
  • 大西巷一「乙女戦争」を読んで感じた、「個人」として生きることを選べる現代の幸福とか不幸とか。 - うさるの厨二病な読書日記

    *この記事にはネタバレが含まれています。未読の方はご注意ください。 大西巷一の「乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ」を既刊9卷まで読んだ。 乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ(1) (アクションコミックス(月刊アクション)) posted with ヨメレバ 大西 巷一 双葉社 2014-01-10 Amazon Kindle このを読んで一番強く感じたのは「現代は、『個人』として生きることを選べる幸福な時代なんだろうけれど、共同体の一員として生きなければならない幸福は失っているのかもしれないな」ということだ。 現代の日社会というのは、比較的「個人」というものが重要視される時代だと思う。共同体の価値観よりも個人の価値観が重んじられて、法律の枠内であれば個人の価値観が尊重される。 結婚や出産、祖先の墓を守るかどうかなど、従来は「当たり前」とされていた価値観が疑問視され、「それは個人の選択

    大西巷一「乙女戦争」を読んで感じた、「個人」として生きることを選べる現代の幸福とか不幸とか。 - うさるの厨二病な読書日記
  • 更科功『絶滅の人類史―なぜ「私たち」が生き延びたのか』 - logical cypher scape2

    人類700万年の進化史について書かれた 読む前は、ホモ属の話だと思っていたが、サヘラントロプスから始まっていた。まあ、分量的には、ホモ属の話が多いけど。 最近は、人類史関係の新発見も色々とあって、断片的には色々と読んだりしているのだけど、全体の流れを通しで読む機会が個人的にあまりなかったので、よかった。自分の中で古い知識がアップデートされていなかった箇所も見つけられたし。 また、進化論的説明の仕方についての考え方みたいなものが分かるように書かれている感じがして、よかった。 進化においては、とにかく「子どもを多く残した」ものが生き残っていくのだ、ということが繰り返し述べられているし、また進化的な説明について、単に「スジが通っている」だけでは十分ではないということにも何度か触れられている。その上で、書の中で肯定的に紹介されているシナリオについて、間接的証拠があって蓋然性の高いものなのか、単

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  • 新井紀子教授はAIの専門家ではない 『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』 - 学校の勉強しかできないあなたへ

    新井紀子教授のAIやコンピュータに関する知識は素人に毛が生えた程度 新井紀子教授の『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』というが大変売れているようです。 私もを購入し精読させていただきました。 一言で感想を言うと、新井紀子教授のAI技術に関する知識はせいぜいAI関連ニュースに詳しい人レベルであり、そのベースであるコンピュータに関する知識もほぼ素人だということがわかりました。 『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』で彼女が描く未来のビジョンに共感するかどうかは読者それぞれの自由ですが、彼女のことをAI技術に関する専門家だと勘違いしている方が多いのは問題があると私は考え、こちらの記事を書くことにしました。 『コンピュータはすべて数学で出来ている』という勘違い 『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』からの引用です。 コンピュータはすべて数学でできています。AIは単なるソフト

    新井紀子教授はAIの専門家ではない 『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』 - 学校の勉強しかできないあなたへ
  • 『すごい廃炉 福島第1原発・工事秘録<2011~17年>』一般メディアが語らない前代未聞の巨大な"現場" - HONZ

    新国立競技場の建設が佳境に入った。2月からは屋根工事もはじまり、20基もの大型クレーンが同時に動き回る様子は壮観だ。敷地面積11万3000平米、総工費1500億円を超える巨大現場である。完成すると6万8000人の観客を飲み込むという。 いっぽう、福島県双葉町・大熊町ではそれをはるかに凌ぐ規模の工事が進んでいる。敷地面積は30倍の350万平米、総工費は50倍の8兆円。完了まで30〜40年かかると見積もられている福島第1原発廃炉工事だ。 新国立競技場を47都道府県それぞれに建設するような規模なのだが、その全貌が一般のメディアで語られることはない。あまりに専門的すぎるからだ。 書は土木専門誌「日経コンストラクション」に不定期掲載されている巨大現場のレポートのまとめである。それゆえに、文は土木関係者向きのお硬い内容になっている。 そもそも前代未聞の現場である。放射能に汚染されたガレキの撤去や無

    『すごい廃炉 福島第1原発・工事秘録<2011~17年>』一般メディアが語らない前代未聞の巨大な"現場" - HONZ
  • 世界をディストピアに変えてしまった時間航行士の奮闘を描く時間SF──『時空のゆりかご』 - 基本読書

    時空のゆりかご (ハヤカワ文庫SF) 作者: エラン・マスタイ,金子浩出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/02/06メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る書『時空のゆりかご』は著者エラン・マスタイのデビュー作にして、”ユートピアだった世界”を”くそみたいな世界”──我々が暮らすこの世界のことだが──に変えてしまった時間航行士の、時空を超えた奮闘を描くスマートな時間SFだ。過去を変えることで未来も変わってしまうという使い古された時間SFのアイディアを扱いながらも新しい道、読み味を開拓しており、驚くほど新鮮に読める作品である。 デビュー作とはいえ、著者は『アローン・イン・ザ・ダーク』や『もしも君に恋したら。』などの脚を手がける手練の脚家。書も時間SFにありがちなそこそこ複雑な構造・構成をとり、メタ的な要素までありながらも抜群に読みやすく、ネタ的には格的なS

    世界をディストピアに変えてしまった時間航行士の奮闘を描く時間SF──『時空のゆりかご』 - 基本読書
  • 本読み河出スタッフが選んだ、2017年の本(他社本もあるよ!)|Web河出

    担当者より 単行 - その他 読み河出スタッフが選んだ、2017年の(他社もあるよ!) 2017.12.30 年も河出書房新社のをご愛顧いただき、誠にありがとうございました。 の会社の人は、やっぱりみんなが好き。「今年どんな読んだ?」と聞いてみたら、熱い感想がたくさん。みんないっぱい読んでいました。 年の瀬に、自社・他社問わず、河出のスタッフが大いに感銘を受けた今年のをご紹介いたします。 来年も張り切って、皆さんに手に取っていただけるようなをつくってまいりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。 ではどうぞ! 【河出スタッフが選ぶ2017年の】 『NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる――最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方』フローレンス・ウィリアムズ著/栗木さつき・森嶋マリ訳(NHK出版) 今年のフランクフルト・ブックフェアで欧米の出版社の間で話題に

    本読み河出スタッフが選んだ、2017年の本(他社本もあるよ!)|Web河出
  • 危険な読書: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる

    読書は毒書だ。読前読後で変わらないなら、読む意味がない。ヒマつぶしなら、もっと有用なのがあるだろ? わざわざ時間とアタマ使うくらいだから、響いたり刺さったりしないと。 BRUTUS「危険な読書」の特集を読んだ。イイのを選んでいるライターさんもいるのだが、全体的にぬるい。というか甘い。わずかに夏目房之介・島田一志の対談と、町田康のインタビューが良い感じで、あとは表紙のいかがわしさに値しない狗肉が並んでいる。ファッション誌である所以、読書を「ファッション」として見なすビギナー向けなのかも。 もっと「読んだことを後悔するような劇薬小説」とか、「世界観を絨毯爆撃するようなマンガ」とか無いの? 一読したら、二度と立ち直れないような作品が欲しいのに。カフカは言った。どんなでも、僕たちの内の凍った海を砕く斧でなければならないと。当に「危険な読書」とは、脳天への一撃となるなのだ。 ここでは、そんな「

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  • [書評] 隷属なき道(ルトガー・ブレグマン): 極東ブログ

    ブログが長く休止状態だった昨年だが、その休止を挟む10月22日に実施された衆院選挙に関連して、私はポリタスに『たぶんあなたは採用しない「3つの投票方法」』(参照)という寄稿をした。この寄稿には自分ではいくつかのモチーフがあった。一つには、日風のリベラルと保守の対立は党派的すぎて、もし来のリベラリズムがあるのなら、ごく簡単な原則を基的な要素として重視するはずだという指摘がしたかった。これに実質的にはアイロニカルな含みが生じるのはわかっていた。いわゆるリベラル派が党派性のために来のリベラリズムを二次的なものにしていることへの批評である。 しかしこうした私の主張は、批評的アイロニーの想定内であるように、あまり顧みられることはなかった。私としては、リベラリズムの倒錯的な状況よりも、もっと来のリベラリズムが何を主張すべきなのかという指標を描くことが重要だと思っていた。そのとき、おそらく指標