10代のときに“ヌーヴェル・ヴァーグの金字塔”という触れ込みだった『勝手にしやがれ』や『気狂いピエロ』を観たのが、ゴダール初体験。その衝撃度は圧倒的で、とくに『気狂いピエロ』のラディカルさにはド肝を抜かれ、数日間、熱に浮かされたようにフラフラした高揚感に支配されてしまったことをいまでもよく覚えている。映画作法も刺激的だが、彼のミューズだったアンナ・カリーナにも夢中になった。だから、時代によってさまざまなテーマを撮ってきたゴダール映画においても“MY FAVORITE”といえば、アンナの魅力が輝く初期の『女と男のいる舗道』とか、『はなればなれに』をハズせない。 『女と男のいる舗道』は、ゴダールとアンナの黄金コンビの第三弾。子どもをおいて家を出た女優志望のナナが、生活に貧窮して娼婦に堕ちていく。冒頭から衝撃のラストまで、アンナ・カリーナの魅力が満載で、まさにゴダールとアンナの愛の結晶。ちなみに