花園中学は、頭がお花畑の人間が通う中学ではない。花園という地域に存在している、まともな中学校だ。その花園中の文芸部には、エロスとバイオレンスが共存した者たちが集まっている。そして日々、男泣きに泣いて暮らしている。 かくいう僕も、そういった朝日を見ながら涙を流す系の人間だ。名前は榊祐介。学年は二年生で、厨二病まっさかりのお年頃。そんな僕が、部室でいそしんでいるのは、備品のパソコンでネットを巡回して、何の役にも立たないネットスラングを調べて喜ぶことだ。 そんな、涙も枯れ果てんとする面々の文芸部にも、満たされた心の人が一人だけいます。筋骨隆々としたハンサムガイの世界に紛れ込んだ、のんびりとした女子中学生。それが、僕が愛してやまない、三年生の雪村楓先輩です。楓先輩は、三つ編み姿で眼鏡をかけている文学少女。家にはテレビもなく、活字だけを食べて育ったという、純粋培養の美少女さんです。 「サカキく~ん。