2024年1月21日。過激なパフォーマンス集団「電撃ネットワーク」のリーダー、南部虎弾(とらた)の訃報が、朝から新聞やテレビで大きく取り上げられていた。私はその頃、電撃ネットワークのメンバーや妻の由紀さんと共に、南部の遺体がある都内の病院の霊安室に座っていた。 【画像】南部虎弾と妻・由紀さんの仲睦まじい様子 ふと見ると、由紀さんが私に歩み寄ってくるのが見えた。 「私が『テレビには映りたくない』『家の中もイヤ』と言うと、頭を下げて何度も頼みに来るんですよ。『これが最後のテレビになるかもしれないから』って。あんなに一生懸命な南部は見たことなかったんです…」 由紀さんはそれだけ言うと、声を上げて泣き崩れた。 南部が由紀さんに掛けた言葉は現実になってしまった。しかし、由紀さんの泣き崩れる姿を見て、私は「南部虎弾の最後の日々が記録された取材映像で、この夫婦の物語を紡ごう」と心に決めた。 妻は夫に自分