新型コロナウイルスの猛威は衰えを知らず、第2波、第3波の到来も危惧される状況が続く。この時勢、パンデミック客船「ダイヤモンド・プリンセス」の実態を告発した神戸大学医学部附属病院感染症内科・岩田健太郎教授が提言する「病の存在」は、まさに今議論されるべき事柄と言えるだろう。本連載は、岩田健太郎氏の著書『感染症は実在しない』(集英社インターナショナル)から一部を抜粋した原稿です。 漢方は、「病名」ではなく「症状」に薬を処方する 私は漢方の専門家ではありませんが、いろいろな理由で漢方薬を使います。風邪の患者さん、お腹がはっている、疲れがとれない、のどがいがらっぽい……いろいろな患者さんに用います。漢方薬を飲んでよくなったとおっしゃる患者さんもいますし、あまりぱっとしないと言われる方もいます。 漢方薬の使い方の特徴としては、病名に対してではなく、症状に対して薬を出すことが 挙げられます。つまり、「C