「革命はいかにしてなされてはいけないか」。かつてアナキストの大杉栄は、ロシアの共産党政権を批判してこういった。 聖書よろしく教義となったマルクスのおしえ。労働者はこうやって苦しんでいて、こうやって革命をおこして、こうやって救済されることをのぞんでいる。マルクスをまなんだ少数の知識人だけがそれをしっている。ほとんどの労働者が革命など求めていなくても、それはまだ真の自分の意思に気づいていないだけだ。 だから、すでに覚醒した知識人たちは共産党を結成して、みんなを正しく指導していかなくてはならない。いいかえれば、党の指導者は全労働者の意思を代表している。なにをやってもみんなのため。それに逆らおうものならみんなの敵だ。そんな党が政権を掌握してしまうのだ。独裁的な権力がふるわれる。異をとなえるものが処刑され、さらに党内部で粛清のあらし。 さて、本書は戦後日本のマルクス主義の歴史をたどったものだ。日本共