ポートレイトを撮影するために会場内に足を踏み入れた瞬間、来場者からどよめきが起こる──。 デザイナーという仕事は比較的“黒子”に近い存在なのだが、日本はおろか世界中のメディアを賑わしている佐藤オオキは、まぎれもなく今年を代表するスターデザイナーであろう。それを証明するように、彼が代表を務めるデザインオフィス「nendo」がミラノサローネの巨大ホールで開催したイベント「nendo : forms of movement」の会場前には長蛇の列ができていた。 「私がミラノサローネに行き始めたころは“家具の見本市”であり商談がメインでしたが、年々情報発信の場へと変化してきました。ここ数年は自動車メーカーやファッションブランドの参加が目立っており、ブランディングをしながらモノに触れ、世界観をリアルに体験する場所になっています。素材や技術がどんどん進化していく中で、他社との違いを表現する“接着材”とし