美術館で目にする名画はどれも個性的だ。セザンヌならリンゴ、ピカソなら女性(美女?)とお決まりのモチーフが複数の作品に繰り返し登場する。単に写実的かという観点から見ると、素人目には必ずしも上手いとは言いがたいものも見受けられる。 言わば「ヘタウマ」の彼らの作品だが、決して他人は真似できない。そして、じっと見ているとなぜか感銘を受けてしまう。一体その感動の源泉は何か、「絵画の構図」を鍵にその謎を解き明かしてくれるのが本書だ。 一度目にしたら忘れられないほど衝撃的な作品と言えば、ピカソの『ゲルニカ』とムンクの『叫び』。どちらも「叫んでいる」人物が画面に登場するという点では似た主題の絵と言える。 『ゲルニカ』に描かれているのは戦争の場面。ナチスの空軍がスペインの小さな町ゲルニカで、無差別に民間人を殺戮している光景が描かれている。ゲルニカ空爆のニュースをパリで知ったピカソは強い衝撃に駆られ、怒りを爆