3月9~15日に韓国のソウルで、100万ドルを懸けて人間対人工知能の囲碁対局が行われた。結果は人工知能「AlphaGo(アルファ碁)」が、韓国人プロ棋士イ・セドル九段に対し4勝1敗で勝ち越し、囲碁界のみならず各方面に大きな衝撃が走った。アルファ碁とそれを育てた学習アルゴリズム「DQN」(Deep Q-Network)について、グーグル日本法人元社長・辻野晃一郎さんが解説する。 ◇アルファ碁を開発したベンチャーの実力 この対局の前にも、昨年10月、アルファ碁は欧州チャンピオンで中国出身のファン・フイ氏と対戦し、5戦全勝した。ファン氏は中国で二段の腕前なのに対し、イ九段は文句なしの世界トップクラス棋士だ。「魔王」とも呼ばれ、定石にとらわれない独創的かつ攻撃的な棋風で知られている。そのイ氏が、「無力な姿を見せて申し訳ない」と肩を落とした。 アルファ碁を開発したのは、2011年に設立された英