天才とうたわれながら不遇のうちにこの世を去った明治の洋画家・青木繁。代表作「海の幸」誕生の地である千葉県館山市布良(めら)や郷里の福岡県久留米市がゆかりの地としてよく知られていますが、佐賀も青木繁と深い縁がありました。晩年を過ごした土地・佐賀へ、青木を感じに行きました。 青木繁の常設展示室がある河村美術館(唐津市)。 青木繁は久留米市に生まれ17歳で上京。東京美術学校西洋画科に入学し、卒業後、22歳で「海の幸」を制作。その年の画壇の話題を一手にさらい天才の名声を欲しいままにしました。ところがその3年後、東京府勧業博覧会に出品した自信作「わだつみのいろこの宮」が、ちまたの評判は良かったものの審査評が低く、三等末席という結果に。加えて久留米の実家で父が亡くなり家族と衝突。追い込まれた状況の中で恋人、そしてその間にできた自らの子とも会うことはできないまま、九州を流浪する日々が始まり、そのうちに病