小説の設定(プロット)、日記、今日の買い物、落書きやイラスト。 僕のノートは、一貫したテーマもなく、思いついたことを適当に書きつけている。 昔の「自由帳」を読み返していると、書き方の違いを感じるようになった。 まるで虫に食われたかのように、文章が断片的になり、空白が目立っているのだ。 その「ノートにない部分」は、テキスト形式のデータで保存していたり、 ホームページに書かれていたりしている。 作業の環境も変わった。高校時代は、本を作るときにくらいしか、 ワープロを叩かなかった。(漢字だって思うように出てきてくれなかったのだ!) 今は、いつもの「落書きメモ帳」が手元になければ、迷わずテキストエディタで ちょこちょこと書く。仕事場でなら、自分宛にメールとして送っておいて、 家に帰ってから印刷して、まさに「*カットアンドペースト」、メモ帳に ぺたりとはりつける。 確かにかなりの文書が電子的(デジタ
人間ひとりが一生の中で出会う『人間』の数は、それほど多くないらしい。 テレビに出ている芸能人も、見ている僕らを一人一人知っているわけじゃ ない。普段いろいろと会話したり、ましてや大事なことをうち明けられる 人間の数は、みんなだいたい同じくらい、らしい。 それじゃあ僕らは限られた時の流れの中で、出会った人たちとの間に、 どれだけ鮮烈な--あざやかな思い出を作ることができるだろうか? 僕が『おもいで』を書き始めたきっかけは、これだった。 今日の詩を、卒業式の日に先生が黒板に書いたり、読んだりしてくれた。 ひとつひとつ薄紙をはさみこんで、『おもいで』の本を作った。 大学のネットで、みんなが読めるようにファイルをアップロードした。 『おもいで』のおもいでは、僕の人生にとって、大切な思い出となっている。 そして、今日から始まる『おもいで』も……。 僕はこれからしばらくの間、詩を贈り続ける。 それらは
カンジョウ線を何千周として使い古された「イチマルニ系」の通勤車両が、まだ朝日を見ない『ひまわり台駅』2番ホームから、きしみ動き出した。 より早く、より快適に。 コクテツ電気鉄道株式会社は、大型団地が立ち並ぶベッドタウン地帯『ニュータウン駅』から都心のオフィス街『オオサカセンター駅』間を、劇的ともいえる29分で結ぶ、超新快速電車「ニイニイイチ系」を主力路線に投入した。 さらにこの春から、両駅間を27分で走破できる「ニイニイサン系」も加わり、周辺の電車・バス各社から乗客を奪い取る結果となった。 その一方で、採算のとれない路線には、今ゆっくりと『ニュータウン駅』に向かっている「イチマルニ系」のような車両を使ったりしていた。 鉄道事業は、飛行機事業などと同じく、参入する時にばく大な投資を必要とする。 そして、一度周辺住民の『足』となってしまえば、そうそう簡単に廃線にすることはできない。 自分の通勤
人間ひとりが一生の中で出会う『人間』の数は、それほど多くないらしい。 テレビに出ている芸能人も、見ている僕らを一人一人知っているわけじゃ ない。普段いろいろと会話したり、ましてや大事なことをうち明けられる 人間の数は、みんなだいたい同じくらい、らしい。 それじゃあ僕らは限られた時の流れの中で、出会った人たちとの間に、 どれだけ鮮烈な--あざやかな思い出を作ることができるだろうか? 僕が『おもいで』を書き始めたきっかけは、これだった。 今日の詩を、卒業式の日に先生が黒板に書いたり、読んだりしてくれた。 ひとつひとつ薄紙をはさみこんで、『おもいで』の本を作った。 大学のネットで、みんなが読めるようにファイルをアップロードした。 『おもいで』のおもいでは、僕の人生にとって、大切な思い出となっている。 そして、今日から始まる『おもいで』も……。 僕はこれからしばらくの間、詩を贈り続ける。 それらは
改札を通って、すぐ右手のエスカレーターには乗らない。疲れきった同類にまぎれたくないし、それに、カフェオレの缶を買うからだ。 京都駅の0番ホームは、特急に乗る旅行客か出張風の姿が多い。少し歩けば喫煙コーナーがあって、やにくさい人も混ざっている。手前の方は二、三人が寄ってたかってどれにするか決めていたので、ひとつ向こう側に回ることにした。 用意していた120円を入れて、茶色の缶のボタンに触れようとしたら――ばたばたばたと右側から女性が走ってきた。 「ロイヤルミルクティで!」 「……はい?」 たしかにその女の人は、ふたつ左にある青白い缶の名を告げた。勢いでそっちを押してしまう。ガタンとこぼれた音をきいて、「ありがとう向井(むかい)君」とほほえみかけてきたのは、庶務の泉水(いずみ)さんだった。 「よく僕だってわかりましたね」 すごい、と言いかけると、さっと小さなポーチを出して振られた。 「タバコ吸
『海のおっちゃんになったぼく』、このお話が生まれて、育って、そして6月5日ころ、書店でみなさんの前に現れるまでを、書いておきたいと思います。 *『海のおっちゃんになったぼく』 作:なみかわ みさき 絵:黒井 健 発行:クレヨンハウス 2006年6月発売予定ではありますが、このお話は、14歳です。つまり14年前、1992年にはじめて、原稿用紙に書かれて、読売新聞社などが主催していた『海のメルヘン大賞』という海をテーマにした童話賞に応募したものなのです。 『海のおっちゃんになったぼく』は、泉州のことば(言い回し)で書かれています。泉州とは、大阪府の南のほうです。関西空港から南、になるでしょうか。 僕のおばあちゃんが泉州、岬町に住んでいて、子どもの頃はほとんどの夏休みや冬休みをここで過ごしました。--お気づきの方がいるかもしれませんが、僕のペンネーム「みさき」は本名で、漢字が違うんですけれども、
空と地面がぐるり、と反対になって、戻った。 どしん、と、ぼきり、という音が聞こえた。 痛い、痛い、体中が痛くて、わんわん泣いた。 いつもは通り過ぎるだけの救急車が、ボクの前で止まって、サイレンを消した。 「ボク、大丈夫だよ、さあ病院へ行こうな」 大きな、おじさんの手が、ボクを『たんか』に乗せて、車の中へと運ぶ。 後ろのとびらが閉まるちょっと前に、ボクの自転車が--前カゴがぐちゃぐちゃになっ て、まがってしまったボクの自転車が見えた。あっ、ワールドバトラーズのカード! 全部、拾ってくれるの? 「バタン」 * * * ボクは曲がり角を「左」に行こうとして、右から来る車に気がつかなかった。その車を 追い越したバイクが目の前を通って、ボクがびっくりしてハンドルをふらふらさせた時 に、車があらわれて……ぶつかってしまった、というわけだ。 ボクは救急車で、市民病院に運ばれて、右腕にぐるぐる包帯を巻かれ
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