米国アラスカ州ホーマーのボートハーバーで暮らすラッコ。(PHOTOGRAPH BY PAUL NICKLEN, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE) 古生物学者にとっては、驚くべき発見がもたらされた。600万年前に北米大陸に生息していたカワウソの歯の化石が、メキシコ中央部の砂漠で見つかったのだ。 注目すべきは、発見された場所が海からおよそ200キロも離れている点である。今回の化石は、太古の海辺の哺乳類が米大陸の太平洋岸と大西洋岸の間を移動したルートについて、まったく新しい見方をもたらすものだ。この発見は6月14日付けの科学誌「Biology Letters」に発表された。(参考記事:「川の王者 カワウソ」) 論文の主要筆者である米ニューヨーク州立大学バッファロー校のジャック・ツェン氏によれば、歯は絶滅したカワウソの一種Enhydritherium terraenova