『なぜ、人間は蛇が嫌いか』(正高信男著 光文社)という、 このご質問ズバリのタイトルの本があります。 高等動物がヘビを恐れることが、本能による性質なのか、 それとも学習に由来するのかという問題については、 十九世紀より激しい論争が繰り広げられてきたのだった。 かつては、本能派のほうに分があるとされていた。 それというのも、動物園に長年にわたり飼育されていて、 もうずいぶんとヘビに出会っていない動物でさえ、 実験してみると強烈な恐怖を刺激として提示されたヘビに示すからであった。(中略) ところが、実験室で誕生し、以来ヘビと遭遇した経験が皆無であることが、 確証されている動物というのを厳選して実験してみると、 なんと全然ヘビを怖がらないことが判明した。(『なぜ、人間は蛇が嫌いか』より) ようするに、サルなどの高等哺乳類に限っていえば、 ヘビ嫌いは本能ではなく、後天的な学習の結果であるということ