多様な働き方を実現する政府の労働改革関連法案が停滞していることに、経済界が懸念を強めている。各国が労働改革に着手するなかで日本の国際競争力の地盤沈下がさらに進むためだ。仕事の成果で給与を決める「脱時間給制度」は、与野党の政争に翻弄されてきた歴史。今回も同じ轍(てつ)を踏みかねないと不安の声が広がる。裁量労働制は労使であらかじめ決めた「みなし労働時間」を働いた時間とする制度。同じ仕事でも短時間で
-略- 塩崎恭久前厚労相は2015年7月の衆院厚労委、17年2月の衆院予算委でそれぞれ、〈厚生労働省自身の調査によりますと、裁量労働制で働く方の労働時間の長さは、平均的な方で比べますと一般労働者よりも短いというデータもございまして、例えば一般の平均的な方が9時間37分働いていらっしゃいますが、企画業務型の裁量労働制の方は9時間16分ということで、約20分短いというデータもございます〉と答弁していた。 -略- と、3年前の国会審議から、一貫して同じデータが引用されていた点を指摘している。 ともあれ、3年間にわたって引用され、議論の基礎となってきたデータ自体が「捏造」とは言わないまでも、明らかな「誤用」ではあったわけで、とすると、これまで積み上げてきた議論の前提自体が崩れてしまう事態は避けられない。 前述のリンクにある日刊ゲンダイの記事では、 《-略- 野党6党が国会内で開いた合同会議では、厚
ついに高度プロフェッショナル制度(=高プロ)を含む「働き方改革」関連法案が一気に強行採決される可能性が高まってきた。 「成果に応じた賃金がもらえる制度」や「柔軟な働き方が可能になる」といった美辞麗句から、「年収1075万円以上の労働者が対応」と、さも一般のサラリーマンには無関係かのような報道が多かったせいで、いまだに誤解している人が多いが、この「高プロ制」、サラリーマンとして働く人ならば誰もが適用範囲になり、今までは労働基準法で規制されてきたさまざまな「労働者保護」がすべて無視して、経営者のやり放題で馬車馬のようにこき使えるようになる極めて危険な制度であることがまったく認識されていない。 ブラック企業被害対策弁護団代表として、常に労働者側にたった弁護活動を行っている弁護士の佐々木亮氏(Twitter ID:@ssk_ryo)に話を聞いた。 「法案の中身を見てもらえば一目瞭然なのですが、この
裁量労働制に関する厚生労働省のデータを巡り、問題となっている「2013年度労働時間等総合実態調査」に、同じ人の残業時間が1週間よりも1カ月の方が短いなど、異常な数値が新たに87事業場で117件見つかった。立憲民主党の長妻昭代表代行が厚労省の資料を精査して発見し、21日の野党の会合で厚労省幹部が報告した。安倍晋三首相は国会で「データを撤回するとは言っていない」と答弁したが、データの信ぴょう性がさらに揺らいでいる。 また、これまで厚労省が「ない」と説明していたデータの基となる調査票が、20日に厚労省本庁舎の地下倉庫から見つかったことも判明。野党の指摘を受けて調べたところ発見されたといい、問題発覚後の調査の甘さが浮かんだ。
加藤勝信厚生労働相は五日の参院予算委員会で、「働き方」関連法案から削除する裁量労働制の拡大に関し、労働者保護につながる規制強化策も削除する考えを示した。裁量労働制は現行でも不適切な運用が問題となっており、野党からは法案に規制強化策を盛り込むよう求める声が上がっている。 検討されていた規制強化策では、自分の裁量で仕事をすることが難しい新入社員らに適用させないよう要件として「勤続三年以上」を追加。裁量制で働く人が出退勤の時間を自由に決められることも明確にする内容を盛り込む予定だった。 さらに、裁量労働制が長時間労働につながりやすいとの指摘を踏まえ「健康確保措置」の充実も明記する方針だった。具体的には、(1)終業から始業までの時間の確保(インターバル規制)(2)労働時間が一定量を超えないようにするための措置(3)有給休暇の付与(4)健康診断の実施-のうち、一つ以上を行うよう企業側に義務付ける内容
働き方改革関連法が参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立したことを受け、安倍晋三首相は29日、「70年ぶりの大改革だ。長時間労働を是正し、非正規という言葉を一掃していく」と首相官邸で記者団に語った。 首相の発言は、長時間労働を抑制するため、成立した法律が残業時間の罰則付き上限規制を設けたことを念頭に置いたものだが、野党が過労死を招きかねないと批判し続けた「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」も2019年4月から導入される。 この制度をめぐっては、年収1075万円以上の一部専門職について労働時間に関する保護から外されることから、働き過ぎにつながる懸念が繰り返し指摘された。首相は記者団に「国会で様々なご議論があったことを受け止めながら改革を進めていきたい」とも述べた。
自民、働き方法案、了承見送り=残業上限「中小企業除外を」 自民党は3日の総務会で、「働き方改革」関連法案の了承を見送った。罰則付きの残業時間の上限規制について、中小企業を対象から外すよう求める意見が出席者から出たためで、次回会合で改めて議論する。政府は6日の閣議決定を目指しており、竹下亘総務会長は臨時総務会の開催も検討する方針だ。 加藤厚労相、東京労働局長の処分検討=発言「甚だ不適切」 会合後、木村義雄参院議員は記者団に「中小企業は人手不足の中で、どうしても残業時間を増やさざるを得ない。どうやって乗り切るのか配慮すべきだ」と強調した。(2018/04/03-16:56) 【政治記事一覧へ】 【アクセスランキング】
<要旨> ●4月17日の東京新聞「こちら特報部」が、働き方改革関連法案に含まれる大胆な規制緩和策である高度プロフェッショナル制度(高プロ)の審議過程に、大きな問題があったことを指摘した。 ●2014年の労働政策審議会に提示されたアンケート調査結果は、「新たな労働時間制度」(高プロ)へのニーズがあることを示すものとして事務局から提示されたが、「今のままでよい」「変えたほうがよい」の二択という不自然なものだった。 ●「変えたほうがよい」の割合が規制緩和を支持しているものと見ることはできない。二択という尋ね方そのものが、高プロの「導入ありき」の審議に沿ったアンケート調査結果を出せるように、意図的にゆがめられたものだったと考えられる。 ●裁量労働制は労働政策審議会に提示したデータに問題があったことによって法案からの撤回に至ったが、高プロも審議過程に問題があったことが明らかになった。 ●「ニーズに応
時間外労働に上限規制を設ける一方、高収入の一部専門職を労働時間の規制から外す制度の導入などを盛り込んだ、働き方改革関連法案について、自民党の総務会で法案審査が行われましたが、中小企業への配慮を求める意見が出され、了承は見送られました。 3日、自民党の総務会で法案の審査が行われ、一部の出席者が「時間外労働に上限規制を設けることは、人手不足の中小企業にとっては脅威であり、配慮が足りない」として、法案の対象から中小企業を外すよう強く主張しました。 これを受けて総務会は、法案を3日了承するのは見送り、改めて議論することになりました。 このあと、竹下総務会長は記者会見で「働き方改革そのものに反対だという意見はなく、必ず議論を収束させなければならない。今週中に法案を国会に提出するには、今週6日に閣議決定することが必要になるので、その前のどこかで総務会ができるかどうかも含めて検討したい」と述べました。
(※この記事執筆後に公開された「労働時間等総合実態調査」電子データを分析したところ、この記事の主要な主張である「一般労働者の1日の労働時間は、階級わけされた法定時間外労働時間数の表に階級値をあてはめて計算したものである」との推理ははずれていたことがわかりました。記事末尾の追記をごらんください。(2018-02-24)) 厚生労働省「労働時間等総合実態調査」(2013) データとされる「1日の法定時間外労働の実績 (一般労働者) (平均的な者)」の表が国会で使われている問題について。 2月9日の国会 (衆議院予算委員会) で質問した山井和則代議士 (希望の党) のツイートで当該表の写真が公開されている。 今日の予算委員会で、長妻議員、今井議員が指摘した疑惑の厚労省調査のデータ(添付)。裁量労働制のほうが一般の労働者より労働時間が短い、と安倍総理が答弁した調査では、1日に平均23時間超、働いて
衆議院で来週にも採決の可能性がある「働き方改革関連法案」。このうち、少なくとも「高度プロフェッショナル制度(高プロ制)」については過労死を増やすため、法案から削除すべきだとして、過労死遺族らが5月16日、厚労省記者クラブで会見を開いた。 全国過労死を考える家族の会の寺西笑子代表は、「過労死遺族は、裁判の中で大変な苦労をして、地獄のような苦しみを味わってきた。こうした悲しみ、苦しみを誰にも味わわせたくない」と語った。 ●労災認定や使用者の責任を問うのが困難になる恐れ 高プロ制は、金融ディーラーやアナリストなど、年収1075万円以上の専門職を、労働時間規制から外すもの。野党や労働者側は「スーパー裁量労働制」や「過労死促進法」などと非難している。 批判が多い「裁量労働制」の場合でも、労働者には仕事の進め方についての裁量があるとされる。また、深夜や休日の割増があることから、使用者側にも労働時間を把
1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。主な業績は、『逆説の地政学』(晃洋書房)。 上久保誠人のクリティカル・アナリティクス 国際関係、国内政治で起きているさまざまな出来事を、通説に捉われず批判的思考を持ち、人間の合理的行動や、その背景の歴史、文化、構造、慣習などさまざまな枠組を使い分析する。 バックナンバー一覧 安倍晋三政権が今国会の最重要法案と位置付けている「働き方改革関連法案」を巡り、国会が紛糾している。「裁量労働制」について首相が「一般労働者よりも労働時間が短いというデータもある」と答弁した。しかし、この答弁の根拠となった、厚労省提出の比較データが不適切だと判明し、首相が答弁を撤回し、謝罪する事態となった。その後、データの中に不自然な値が多数見つ
<はじめに> 裁量労働制の労働者と一般の労働者の労働時間の比較をめぐるデータの問題が国会で大きく展開を見せている。 筆者は2月21日の衆議院予算委員会の中央公聴会で公述人意見陳述を行い、この問題が政策立案や国会審議をめぐる問題でもあると指摘した。 公述の原稿と国会での配布資料は、立憲民主党のホームページに掲載いただいた。 ●立憲民主党【衆院予算委】「裁量労働制の拡大と高度プロフェッショナル制度の創設は一括法案から外す決断を」上西公述人 筆者はこのYahoo! ニュース 個人の記事で問題を追及してきたので、こちらにも本日の公述人意見陳述の原稿を掲載しておきたい。議事録へのリンクや参照図表などはおいおい追加することとして、まずは原稿を以下に掲載しておく。 なお、公述は20分であるが、その後の質疑の中身も聞いていただければと思う。全体の内容は、衆議院インターネット審議中継から、録画でご確認いただ
過労死遺族らが5月22日13時半から首相官邸前で、今週採決される見通しの「働き方改革関連法案」、とりわけ「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)に反対する座り込みを始めた。安倍晋三首相への面談を求めている。気象庁によると、この日の東京都心の最高気温は27度で、7月上旬並だった。 高プロは、年収1075万円以上の一部専門職を労働時間規制から除外するもの。「全国過労死を考える家族の会」代表の寺西笑子さんは、高プロの導入により過労死が増えるとして、「強行採決はしてはならない」と強い口調で訴えた。 ●労働者が求めているかのような説明に憤り 寺西さんの夫は飲食店の店長で、1996年に過労自殺した。会社からは当初、「店長には裁量がある。勝手に働いて、勝手に死んだ」と言われたという。 寺西さんには、会社の暴言と政府の説明がダブって見える。「政府は、未だに『多様な働き方』など労働者が求めているかのような説
自民党厚生労働部会は29日、安倍政権が今国会の目玉法案と位置づける働き方改革関連法案を了承した。政府は与党内の手続きを経て、4月上旬にも法案を閣議決定し、今国会での成立を目指す。 政府は当初、2月中の閣議決定を目指していたが、法案の根拠となる労働時間の不適切データ問題を受けて裁量労働制への疑念が深まり、裁量労働制の対象拡大を法案から全面削除する事態に追い込まれた。 野党は調査データの不備を結束して追及。労働時間のデータに「異常値」が相次いで見つかり、厚生労働省は対応に追われた。さらに、残業時間の罰則付き上限規制の対象から中小企業を外すよう求める声が自民党内から出て意見集約が難航。中小企業の実態に配慮した助言・指導をするとの付則を労働基準法改正案に加え、ようやく了承にこぎつけた。 法案は、残業時間の上限規制と、非正社員の待遇改善を図る「同一労働同一賃金」が柱だが、年収の高い人を労働時間規制か
高収入の専門職を労働時間規制の対象から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」創設が盛り込まれた「働き方改革」関連法案が衆院厚生労働委員会で、与党などの賛成多数で可決した25日、過労死の遺族らは「数の力による強行採決は許せない」「命を奪う法律を作るな」などと反発を強めた。 全国過労死を考える家族の会の寺西笑子代表(69)らは、亡くなった夫らの遺影を掲げて厚労委を傍聴。閉会後もしばらく座ったまま、沈痛な面持ちで委員室を見詰めていた。 終了後、寺西代表は記者団に「悔しい限りだ。あんな暴挙はない」と怒りをあらわにした。高プロ創設に関し、「過労死が増えることは目に見えている。(政府や与党などは)財界の意見しか聴いておらず、遺族の声は届いていない」と批判。家族の会は今月、安倍晋三首相への面会を要請して断られたが、参院での審議に向けて「今後も求めていく」と語った。 NHK記者だった娘が過労死した佐
安倍政権が「最重要」と位置づける働き方改革関連法案について、与党は23日にも衆院厚生労働委員会で採決に踏み切る。主要野党も加わり、本格審議が始まってまだ2週間ほど。働く人の多くに影響する法案は、論戦が深まらぬまま衆院を通ろうとしている。 「限られた時間のなかで一定の議論が尽きれば、採決をするのは当然だ」。自民党の萩生田光一幹事長代行は20日、NHKの討論番組で働き方改革関連法案などに関してこう述べ、野党の反対があっても採決に踏みきることを示唆した。 法案は、労働者側が求める規制強化と、経済界が求める規制緩和の抱き合わせ。内容の最大の対立点が高年収の一部専門職を労働時間規制から完全に外す、高度プロフェッショナル制度(高プロ)の導入だ。 規制から外れれば、企業は、働かせ過ぎを防ぐ仕組みである深夜・休日労働の割増賃金も払わなくてよくなる。政府は審議で、企業が「夜型」の人の労働時間を気にしなくてよ
裁量労働制の対象拡大など、規制を緩和する部分を「働き方改革」法案から切り離す。現場の実態を調べ、国民が納得できる制度を練り上げる。 政府はそう決断するべきだ。急がねばならないのは、残業の上限規制など働き過ぎの防止策である。 あらかじめ定めた時間を働いたとみなす裁量労働の対象拡大について、野党が国会で追及を続けている。安倍首相が答弁を撤回するなど守勢の政府は、裁量労働拡大の実施を予定より1年遅らせ、20年4月にすることを検討し始めた。 専門職で年収の高い人を労働時間規制から外す高度プロフェッショナル制度の創設も、合わせて1年遅らせるという。 典型的な問題のすりかえであり、論外だ。問われているのは、大きな政策変更を拙速に進める政府の姿勢である。 国会審議では、法改正を議論した労働政策審議会(労政審)に提供された基礎資料のうち、一般労働者の残業時間に関する一部で間違いがあることもわかった。野党は
安倍政権が掲げる働き方改革について主要企業約百社に尋ねたところ、一部専門職を労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ制度)」に賛成する企業は28%で、裁量労働制の対象拡大も支持が35%にとどまったことが七日、共同通信のアンケートで分かった。いずれについても約六~七割の企業が「どちらとも言えない」と賛否を保留した。 裁量制はデータ不備の影響で、六日に国会提出された「働き方」関連法案から削除されたが、政府は今後も裁量制拡大を目指す方針。残業代ゼロ制度は法案の柱で後半国会の最大の焦点となる。経済界が強く求めてきた経緯があるが、政府の説明不足で内容が見えにくいことや国会での混乱が影響し企業が慎重姿勢に傾いていることがうかがえる。 アンケートは二月下旬から三月下旬にかけ百十二社を対象に実施。残業代ゼロ制度について回答した百社のうち賛成は二十八社、反対は一社で、保留は七十一社。十
政府・与党が最重要法案と位置づける働き方改革関連法案について、所管する衆議院の委員会で先行する法案の審議が進んでいないことなどから、与党内では「今の国会の会期内に成立させるのは厳しくなってきた」という見方が強まっています。 しかし、法案を所管する衆議院厚生労働委員会では、裁量労働制の不正適用を理由とした野村不動産の社長に対する特別指導の経緯が明らかにされていないなどと野党側が反発し、11日の開会が見送られるなど先行する法案の審議が進んでおらず、審議入りの環境が整っていません。 また、野党側は「高度プロフェッショナル制度」の導入などに反対する姿勢を明確にしていて、与野党の対決法案となる見通しです。 このため党内では「野党側に理解を求めるため、十分な審議時間を確保する必要性を考慮すると、6月20日までの今の国会の会期内に成立させるのは厳しくなってきた」という見方が強まっています。
政府は6日、今国会の最重要法案と位置づけている働き方改革関連法案を閣議決定した。当初は2月に閣議決定する方針だったが、法案の根拠となる労働時間データが不適切だった問題で裁量労働制の対象拡大の削除に追い込まれ、大幅にずれ込んだ。審議日程は窮屈になり、政府の公文書管理問題などで野党が対決姿勢を強める中、成立は見通しにくくなっている。 法案は、残業時間の罰則付き上限規制などの規制強化と、専門職で年収が高い人を労働時間の規制から外す「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)の新設という規制緩和の抱き合わせだ。労働基準法改正案など8本を束ねており、非正社員の待遇改善を図る「同一労働同一賃金」も柱だ。 施行日は企業の準備不足への懸念に配慮し、残業時間の上限規制の中小企業への適用を当初予定の2019年4月から1年延期。同一労働同一賃金は大企業が19年4月、中小企業は20年4月としていた施行時期をそれぞれ1
「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」の法案からの削除を求め、過労死遺族や日本労働弁護団のメンバーらが6月27日夜、東京都のJR新橋駅前で「労働者を守る労働基準法が壊れてしまう」などと訴えた。 高プロを含む、「働き方改革一括法案」をめぐっては、与党が6月28日の参院厚生労働委員会で採決し、翌29日の参院本会議での成立を目指している。 ●「働き方改革は働く人のための改革ではなかったのですか」 法政大の上西充子教授は、「過労死が増える可能性は十分」と強調した。政府は「柔軟な働き方」が可能になるかのように説明するが、高プロ導入にあたり、労働者の裁量は要件になっていないからだ。 法案では、月(4週)4日の休みを与えれば良いとされており、48日連続で24時間働かせることも理論上は可能だ。もちろん、そんな働き方が常態化することは考えづらいが、過労死ラインが残業月100時間、2〜6カ月平均80時間とさ
衆院厚生労働委員会の参考人質疑で働き方改革関連法案について意見を述べる、全国過労死を考える家族の会代表世話人の寺西笑子さん。左手前は連合の神津里季生会長=国会内で2018年5月22日午前9時24分、川田雅浩撮影 働き方改革関連法案を審議する衆院厚生労働委員会は22日、参考人の意見陳述と質疑を行った。法案の焦点となっている、高所得の一部専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)について、「全国過労死を考える家族の会」の寺西笑子代表世話人は「長時間労働に陥り過労死の発生を促進する危険性が非常に高い。過労死をしても自己責任になる仕組みになっている」と批判した。 寺西さんは「(雇用側に)労働時間の把握義務がなくなるので、過労死しても労災認定がほとんど無理になる。泣き寝入りし、路頭に迷う遺族が増えることになる」とも指摘し、法案からの高プロ削除を求めた。
2018年5月22日(火)13時半~17時、23日(水)13時~17時、「全国過労死を考える家族の会」が首相官邸前で座り込みを実施します。 高プロ制度については、5月23日に衆院厚労委員会で採決強行、5月24日に本会議で採決強行との筋書きが目論まれているようです。 今回の座り込みは、安倍首相に対し、過労死家族の会に直接話を聞くよう求める行動です。 過労死家族の会は、過労死を増やすことにつながる高度プロフェッショナル制度の導入に反対しています。 当事者の声を聞かずに強行採決をすることは許されません。 ご支援をよろしくお願いします。 現場に応援に来られる方には、もし可能であれば黄色か白の花を一輪でもお持ちいただいて家族の会への連帯を示していただけると嬉しいです。 メディア関係者の皆さまには、取材をお願いいたします。
6日に国会に提出された働き方改革関連法案。柱の一つとなった「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)には野党や過労死遺族から批判が相次ぐ。国会を揺るがす問題の発覚が相次ぐなか、審議日程も窮屈になっており、政権が「最重要」と位置づける法案の今国会の成立には黄信号がともっている。 法案には労働時間規制の緩和策として、高プロのほか、実際に働いた時間にかかわらず一定時間働いたとみなす「裁量労働制」の対象を法人営業職の一部などに広げる内容が盛り込まれるはずだった。だが、根拠となったデータが不適切だったことが発覚して全面削除され、高プロだけが残った。アナリストなどの専門職で、年収が約1千万円以上と高い人を労働時間規制そのものから外す内容だ。 裁量労働制は、残業時間が一定とみなされることはあっても、深夜・休日労働をした場合は割増賃金が必要になる。一方、高プロの場合は労働時間と賃金の関係が一切、切れるため、
3月16日、日本労働弁護団の主催により、「働き方改革」一括法案の問題点を考える院内集会が開催された。 ●「働き方改革」一括法案の問題点を考える院内集会声明 筆者も登壇し、裁量労働制をめぐる「データ問題」を追及した立場から、高度プロフェッショナル制度(高プロ)の導入も断念すべきことをスピーチした。 当日のスピーチ原稿を下記に掲載しておきたい。 *** 法政大学の上西です。「データ問題」について、安倍首相の国会答弁にヤフーの記事で疑義を呈した者です。その疑問点を引き継いで、国会で野党の皆さんが追及を深めてくれました。 それによって、働き方改革関連法案において言及が避けられてきた裁量労働制の拡大に世の中の注目があつまり、報道によって、裁量労働制が「みなし労働時間」分だけ残業代を払えばよい制度であること、そのため長時間労働を助長する危険があることを、多くの方が知るところとなり、法案から裁量労働制の
衆院厚生労働委員会は13日、野村不動産への特別指導に関する集中審議をした。加藤勝信厚労相は、同社社員の過労死が労災認定されていたことを3月5日に初めて報告を受けたと改めて説明した。特別指導は過去2例目で公表は初めてという異例の対応だったが、そのきっかけになった過労死の労災認定を事務方から知らされずに国会答弁していたことになる。 野党は、加藤氏が国会で都合の悪い過労死を伏せた上で裁量労働制の乱用を取り締まった例としてこの特別指導に触れたのではとみている。さらに、労災認定の報告を受けていれば答弁内容が変わっていた可能性もあるとして、「厚労省が国民をだましていた」と批判を強めている。今後も集中審議を求めていく構えだ。 政府は4月6日に国会に提出した働き方改革関連法案に、裁量労働制の対象拡大を盛り込む予定だった。加藤氏は2月の国会答弁で、野党側から過労死を招くとの批判を受けてこの特別指導に言及した
後半国会の焦点になる働き方改革関連法案が6日、閣議決定された。与野党の対立軸となるのは、高収入の一部専門職を労働時間規制の対象から外す「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)。財務省の決裁文書改ざん問題や、防衛省の日報問題などへの追及が強まる中、法案の行方は見通しづらくなっている。 「働かされるだけ働かされて、つぶされるのではないか」。企業でコンサルタント業務を担う首都圏の40代男性は、高プロの導入に危機感を抱く。コンサルタント業界では長時間労働が常態化しているという。男性は多忙な時期に睡眠が1~2時間の日が続き、過労で倒れた経験がある。 高プロの対象として政府が想定するのは、年収が1075万円以上で専門性が高い金融ディーラーやコンサルタントなど一部の働き手。労働基準法上の労働時間規制から外れ、残業や休日労働をしても、その分の賃金は支払われない。男性は「会社は常に『プロなんだから』と成果を
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