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早川書房の検索結果1 - 40 件 / 1989件

  • 最初の一歩を踏み出すという汎用的な技術 - 本しゃぶり

    新しいことを始めるのは難しい。 特に最初の一歩を踏み出すことが。 それは技法を知らないためだ。 独学大全のジレンマ ようやく『独学大全』を読み進めている。 独学大全――絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法 作者:読書猿ダイヤモンド社Amazon 発売してから連日のようにおすすめツイートが流れ*1、2020年みんながオススメしたスゴ本でも堂々たる1位に輝いただけはあって、確かに良い本だ。前著『アイデア大全』『問題解決大全』も読んでいたので、評判だけということはないだろうと思っていたが、読み始めてみたら前2冊より面白い。もうちょっと早く読み始めても良かったな、というのが正直なところだ。 なぜ高い評判を得ているのに、俺は手を出すのが遅れたのか。それは「厚さ」のせいである。ソフトカバー版は788ページ*2、紹介文で「独学の百科事典」と謳うだけのことはある。しかも『独学大全』は実

      最初の一歩を踏み出すという汎用的な技術 - 本しゃぶり
    • 中国だけで2100万部、話題性と本物のおもしろさを兼ね揃えたバケモノ級の中国SF──『三体』 - 基本読書

      三体 作者:劉 慈欣発売日: 2019/07/04メディア: ハードカバー『三体』とは! 中国の作家劉慈欣によって書かれたSF三部作の第一部目にして、中国国内だけで三部作累計2100万部を刊行し、さらに日本でも人気のケン・リュウによる翻訳によってアメリカの歴史あるヒューゴー賞を受賞した傑作である。ヒューゴー賞受賞の何が凄いかと言うと、翻訳書としてははじめてのの受賞になるのだ。 それぐらい作品の内容が圧倒していたともいえる。で、あまりSFとは縁のなさそうなオバマやザッカーバーグも絶賛していたりとか、アニメ化が決定したりとか話題は尽きないんだけれども、とにもかくにもこれだけは覚えて帰ってもらいたいのは、この『三体』は、話題先行の内容はまあおもしろいね、いうほどじゃないけど的な軟弱な態度で読み終わる作品ではなく、その肥大化しきっているともいえる話題性に劣らない、圧倒的なおもしろさのある、純粋にお

        中国だけで2100万部、話題性と本物のおもしろさを兼ね揃えたバケモノ級の中国SF──『三体』 - 基本読書
      • 共感格差

        21世紀の格差は、他者からの共感の格差をめぐるものになるだろう。 この記事で言いたいこと (社会的)共感は政治的・社会的リソースである。 物理的資産がリソースであるのと同様だ。 共感はアイデンティティごとに分配される(女性黒人LGBT,労働者階級,白人子供etc)。 共感は物理的資産と同じく分配に差がある。 共感の分配は主にマスメディアによってなされる。 トランプ大統領が当選する以前、労働者階級に関するメディアのツイートは60件、同性愛 LGBTに関するツイートは、9664件であった。 ツイートの比率は、労働者階級 60 対 LGBT 9664 で 161倍だ。 ツイートの差を共感の差だとみなせば、労働者階級とLGBTで大きな格差がある。 共感の格差を放置すれば、そこはポピュリストにつけこまれる。 もしあなたがポピュリストになりたければ、次のターゲットを狙うと良い。 ある程度人口ボリューム

          共感格差
        • 今年に読んでよかった「ニンゲンの不合理と付き合う」ための本まとめ (今年じゃないのもちょっとあり) - フジイユウジ::ドットネット

          本をよく積みます。よく読むではなく、ともかく積んでいます。 俺たちの本積むスピードには誰も追いつけない(読んでない本、まだまだあるのにまた本を買ってしまう) pic.twitter.com/RxrHrRl8KX — フジイユウジ (@fujii_yuji) 2021年12月17日 毎週土曜の朝から積読を強制的に消化する会というのをオンラインでやってまして、「誰か来るだろうから起きて読まなくては……」と強制力が働くことで本を少しずつ読むことができています。参加者のみなさん本当にありがとう。 時期によって人が増えたり減ったりして、ここ最近は数人しかいない状態なので新規参加者を募集しております。誰でも参加できるので参加してみたい方は連絡くださいな。 というわけで、今日は読んでよかった本をまとめて紹介していきたいと思います(今年じゃないのもちょっとあり)。 まとめてみたらニンゲン的な原理や不合理と

            今年に読んでよかった「ニンゲンの不合理と付き合う」ための本まとめ (今年じゃないのもちょっとあり) - フジイユウジ::ドットネット
          • 早川書房の1500作品が50%割引の大型電子書籍セールがきたのでオススメを紹介する - 基本読書

            三体Ⅱ 黒暗森林(上) 作者:劉 慈欣早川書房Amazon早川書房の1500作品が最大50%割引という大型の電子書籍セールが来たので、僕が読了済みのものからオススメの作品を一部紹介してみよう。早川書房は定期的に電子書籍セールをやるが、前回の大規模なものは確か2020年3月頃の1000点セールだったので、セール対象は増えていることになる。なんと、先日完結したばかりの『三体』も、さすがに完結巻は対象ではないけれども第二部までがセール対象。 amzn.to まずはSFから紹介する。 三体 作者:劉 慈欣早川書房Amazonまずは早川といえばSFということで、SFから紹介してみよう。目を引くのはやっぱり『三体』である。先日三部作全体の紹介を書いたばかりだが、文化大革命からはじまり異種知性とのファースト・コンタクトが描かれる比較的現実路線の一巻。ファースト・コンタクト後、人類最高峰の知性が異種知性に

              早川書房の1500作品が50%割引の大型電子書籍セールがきたのでオススメを紹介する - 基本読書
            • 「チ。―地球の運動について―」感想。〜歪で不誠実で不愉快なこの傑作漫画について〜 - 銀河孤児亭

              はいどーも あでのい です! いやー、とうとう完結ですよ劇場版Gのレコンギスタ! この人類史上に残る一大事を目前にして、このブログ、直近記事が刃牙シリーズ、麻雀漫画、シン・ウルトラマンですよ? 一体何のためのブログだと思ってんすかね本当。忘れてる人のために言っときますが、このブログは元々Gレコ感想用ブログです。忘れないように! という訳で今日は漫画『チ。-地球の運動について-』の感想です。 チ。―地球の運動について―(1) (ビッグコミックス) 作者:魚豊 小学館 Amazon この度最終巻の発売に加えてアニメ化も決まったとのことでめでたい限りですね。全8巻できれいにまとまってるのもおすすめしやすいポイントです。 でまあ、なんですけど、今日はちょっとこの大人気漫画の『チ。』を、私の持てる限りの全身全霊をもってして可能な限りボコボコにしてやりたいと思います。 やー、遂に書いちゃったよ作品批判

                「チ。―地球の運動について―」感想。〜歪で不誠実で不愉快なこの傑作漫画について〜 - 銀河孤児亭
              • SF小説好き1480名に聞いた「絶対に読んどけ」っていうSF小説ランキング - 俺だってヒーローになりてえよ

                どうも、読書中毒ブロガーの ひろたつです。一生寝てたいタイプです。 今回は界隈が大盛りあがりだった企画。 いらん前置き まだ続くいらん前置き SFが生み出す“熱” 集計の概要 40位    4票 39位    5票 38位    6票 37位    7票 36位    8票 35位    9票 34位    10票 33位    11票 32位    12票 31位  13票 30位    14票 29位    15票 28位    16票 27位    17票 26位    18票 25位    19票 24位    20票 23位    21票 22位    22票 21位    24票 20位    25票 19位    26票 18位 29票 17位    31票 16位    34票 15位    35票 14位    39票 13位    42票 12位    49票 11位 

                  SF小説好き1480名に聞いた「絶対に読んどけ」っていうSF小説ランキング - 俺だってヒーローになりてえよ
                • プライムデーのKindle本から使い勝手の良い6冊 - 本しゃぶり

                  プライムデーのセール対象Kindle本を眺めていたら、馴染みのある本が結構ある。 そこで本しゃぶりで実績のある本を紹介することにした。 どれも使い勝手が良いので読むといい。 プライムデー [プライムデー]Kindle本最大70%OFF 「こいついっつもセールしているな」 タイムセール祭りのたびにそう言いたくなるが、やはりプライムデーは他のセールよりお得感が大きい。ポイントアップキャンペーンもいつもより還元率が高い。最近は合計2万円以上でやっとポイント付与なんてものあるが、今回は1万円以上でよく、最大10%の還元となる。 ポイントアップキャンペーン とはいえ安さやポイントに釣られて不要なものを買っても仕方ない。だから俺はセールでKindle本を買うことにしている。本ならそのうち役に立ちやすいし、Kindleならば場所をとらない。加えて本ならば金銭感覚がガバガバになるので、1万円も簡単に達成で

                    プライムデーのKindle本から使い勝手の良い6冊 - 本しゃぶり
                  • 「いったいホストに何千万もつぎ込む売春女のどこが貧困なんだよ(笑)」「ここです」。 - Something Orange

                    「ホス狂い」という言葉をご存知だろうか。 主に女性をあいてにする遊興施設であるホストクラブに通いつめ、何百万、何千万という大金を浪費して「ホスト遊び」に夢中になる女性たちを指す俗語だ。 そういった女性たちのなかには、違法な売春を行ってそのカネをホストに貢ぐ人物が少なくないことが知られており、社会問題化している。 ホス狂い ~歌舞伎町ネバーランドで女たちは今日も踊る~(小学館新書) 作者:宇都宮直子 小学館 Amazon ホス狂い 作者:大泉りか 鉄人社 Amazon メイド喫茶で働いてお金貯めて整形してコスプレイヤーになってホス狂いしてAV女優になった話 hilia TALK 作者:高嶋 めいみ 主婦の友社 Amazon そうでなくても一般に「ホス狂い」は社会的逸脱として見られる行動であり、社会が彼女たちを見る目は冷たい。 もちろんインターネットでもそうで、ツイッターを検索すると、そのよう

                      「いったいホストに何千万もつぎ込む売春女のどこが貧困なんだよ(笑)」「ここです」。 - Something Orange
                    • ジャニー喜多川 - Archive of STARTO

                      ジャニー喜多川(ジャニー きたがわ、日本名での本名:喜多川 擴 〔きたがわ ひろむ〕、米国名での本名:John Hiromu Kitagawa 〔ジョン・ヒロム・キタガワ〕、作詞時の別名義:JOHNNY.K、1931年〔昭和6年〕10月23日 - 2019年〔令和元年〕7月9日)は、日本の元・実業家、芸能プロモーター。 ジャニーズ事務所、および関連会社のジャニーズ出版、ヤングコミュニケーション、ユニゾン、つづきスタジオの旧代表取締役社長。 ジャニーズアイランド旧代表取締役会長。 ジェイ・ドリームの旧代表取締役社長 (名義だけの幽霊社長)。 元・CIA工作員、米国軍人、外交官。 同性愛者 (真性の小児性愛者、少年性愛者)、性嗜好異常者 (パラフィリア)、魂の殺人者。 ロサンゼルス生まれの日系二世 (両親共に日本人)。 身長:153cm。 血液型:AB型。 87歳没。 姉はメリー喜多川。 なお

                      • 行動経済学の『ずる』は予想以上に不合理 - 本しゃぶり

                        ダン・アリエリーの論文の一つに再現性が無い。 調査の結果、データが全部捏造されたものだという。 どうしてこうなった。 ダン・アリエリーへの疑い ベストセラーとなった行動経済学の本に『予想どおりに不合理』がある。このブログでも何度かお勧めしている本で、読んだ人も多いだろう。 予想どおりに不合理  行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 作者:ダン アリエリー早川書房Amazon 本書の著者、ダン・アリエリーが共著者である論文について、データ捏造の疑いがかけられ話題となっている。 実験の主導者であるアリエリーは、「データが捏造されていること」については同意しているが、問題のデータは研究パートナーの「保険会社からもらったもの」であり、自分および共同執筆者たちはプライバシーの観点からデータ収集・データ入力・データのマージには関与していないと言っている*1。 本件はデータの不正を暴く過程が面白

                          行動経済学の『ずる』は予想以上に不合理 - 本しゃぶり
                        • 自分事を他人事として捉える思考法 - 本しゃぶり

                          人はエゴや感情によって判断を誤る。 他人のことならば冷静に判断しやすい。 徳に従うならば物事を他人事として捉えよ。 2023年にやりたいこと 今年は何をやるか。真っ先に挙げることは「歯医者に行く」である。 歯医者のイメージ / Memeplex.appで作成 別に何か問題があるのではない。歯科健診を受けようというのだ。そのうち行こうと思いつつ、ずっと後回しにしてきた。それで気がついたら10年以上も歯医者に行っていなかった。 行こうと思ったきっかけは、先月に「定期的な歯科検診を受けるべき」という記事を偶然読んだからである*1。歯に限った話ではないが、問題は早期発見して対処したほうが軽く済む。予防できればもっと良い。そして歯の状態はQOLに直結するので、きちんと管理したほうが幸福度は増すのだ、と。 そこで俺は考えた。歯科検診に行かない理由はあるか、と。睡眠*2や体重管理*3 などと健康に関する

                            自分事を他人事として捉える思考法 - 本しゃぶり
                          • 充実した休日を過ごすタスク管理術 - 本しゃぶり

                            タスク管理の第一歩は、タスクを登録することである。 だから登録のコストを下げることに注力している。 それが充実した休日を過ごすことにつながる。 マシュマロが飛んできた どんな感じにタスク管理をしているかというマシュマロが来た。 Link ということでこれに回答するが、今回はプライベートでのタスク管理を中心に話す。仕事でのタスク管理は未だに最適解がみつかっておらず*1、他人に解説できる状態ではないからである。とはいえ今回紹介するのは特殊なものではないため、仕事のタスク管理をする上でも参考になるとは思う。 タスク登録できたら勝ち プライベートの場合、裁量権が最大限に与えられているので、タスクを把握さえできれば掌握したも同然である。しかし人は物事を簡単に忘れてしまう。プライベートでのタスク管理の失敗は、大半が「忘れた」ではないかと思う。 忘却はリマインダーやカレンダーなどのツールを使えば簡単に防

                              充実した休日を過ごすタスク管理術 - 本しゃぶり
                            • 予想通りに不合理なワニの炎上 - 本しゃぶり

                              なぜワニは死後に炎上したのか。 それは生前と死後で世界が異なったからである。 行動経済学の観点で騒動を解き明かす。 死後の祭り 例のワニが死後に燃えている。もはや《火葬》。再生できないかは不明。 直接の要因は怒涛の商業展開。「電通」の二文字は火力を増大させるに至ったが*1、それは炎上が始まってから判明したこと。俺が見ていた範囲では、書籍化のニュースで燻り始め*2、ワニの死後に商業展開告知が出たところで炎上が始まった。 商業展開は多々あるが、特に目立つのは「100日後に死ぬワニ追悼 POP UP SHOP in ロフト」だ。追悼にしてはポップすぎるデザインであるのに加え、商品数が笑っちゃうほど多い。ページをスクショするとこうなる。 100日後に死ぬワニ追悼 POP UP SHOP in ロフト https://loft.100wani.com/ それにしても何が人々の怒りをここまで掻き立てた

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                              • 面白い世界史の本を3人で2時間お薦めしあった中から厳選した12冊(前編)

                                お薦めの世界史の本について、3人で2時間語り合った。 世界史を学びなおす最適な入門書や、ニュースの見方が変わってしまうような一冊、さらには、歴史を語る意味や方法といったメタ歴史まで、脚本家タケハルさん、文学系Youtuberスケザネさん、そして私ことDainが、熱く語り合った。 全文はyoutubeで公開しているが、2時間超となんせ長い。なのでここでは、そこから厳選して紹介する。 因果関係を補完する『詳説 世界史研究』 スケザネ:大学生、あるいは社会人の方々にも、世界史を学ぶには、まず真っ先に「高校世界史」をオススメしたいです。世界の歴史を幅広く知るという観点から、高校世界史はベストだと思います。 代表的な高校世界史の教科書は、山川出版社の『詳説 世界史B』。世界史の概観が400ページぐらいにまとめられてて良い本なんですが、これだけだと記述が簡素で、理解するには少ししんどい。 実際、自分が

                                  面白い世界史の本を3人で2時間お薦めしあった中から厳選した12冊(前編)
                                • ChatGPTのヤバさは、論理処理が必要と思ったことが確率処理でできるとわかったこと - きしだのHatena

                                  ChatGPTのヤバいところは、論理処理が必要だと思っていたことが、じつは多数のデータを学習させた確率処理で解決可能だと示したことだと思います。 たとえば、このように正規表現にマッチする文字列を生成するには、特別に専用の論理処理が必要だと思っていました。 前のブログのときには特殊処理が必要だと考えてましたね。 ウソはウソと見抜ける人じゃないとChatGPTを使うのは難しい - きしだのHatena けど、123_45678world.mdはマッチするのにマッチしないと言っているので、そのような誤りが入ることを考えると、どうも確率処理だけでやっているようです。 考えてみると、3層以上のニューラルネットであれば論理素子を再現できるので、ディープラーニングで論理処理を模倣することは可能なんですよね。 バックプロパゲーションでニューラルネットの学習 - きしだのHatena そもそも論理は、多数の

                                    ChatGPTのヤバさは、論理処理が必要と思ったことが確率処理でできるとわかったこと - きしだのHatena
                                  • この本がスゴい!2019

                                    人生は短く、読む本は多い。 毎年この時期、自分のリストを振り返るのだが、読みたい本が尽きることはない。読むほどに、知るほどに、知識と理解と表現の不足を痛感する。 それでも読むし、ここに書く。読むことで豊かになり、書くことで確かになるというのは本当で、読んでいるときに何を知りどう考えていたかは、書くことでハッキリする。 つまり、自分で分かるために書いているのだ。フランシス・ベーコンは、話すことで機敏になるとも言ったが、わたしの場合、話すことで世界が変わった。[スゴ本オフ]や読書会、[冬木さんとのSF対談]や、読書猿さんとの知をめぐる対談[1][2][3]で、世界の見え方が変わった。 読書会や対談は今後もしていくが、そこで紹介された本や、2019年に出会った本の中から、わたしにとってのベストを選んだ。これが、あなたにとってのスゴ本となれば嬉しい。そして、このリストを目にしたあなたが、「それがス

                                      この本がスゴい!2019
                                    • ヒューゴー、ネビュラ、ローカスと主要SF賞を総なめにした、エモーショナルな往復書簡時間SF──『こうしてあなたたちは時間戦争に負ける』 - 基本読書

                                      こうしてあなたたちは時間戦争に負ける (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 作者:アマル・エル=モータル,マックス・グラッドストン早川書房Amazonこの『こうしてあなたたちは時間戦争に負ける』は、アマル・エル=モータル、マックス・グラッドスト二人の共作による、詩的な時間SFである。英語圏における小説の長さの基準的にはノヴェラ(中編)で、本書も240ページほどとコンパクトだ。 エモエモ往復書簡時間SF 本作がぱっと見で凄いのは、ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞、英国SF協会賞と賞的な評価が異様に高いところにある。賞の評価がどれほど高かろうが作品の中身の質の保証にはならないわけだけれども、それなりに期待して読み始めたら、これがたしかにおもしろかった。あらすじとしては、《エージェンシー》と《ガーデン》という二大勢力が時空の覇権をかけて争う──といった感じで、何の新鮮味もない。 だが、実際には本

                                        ヒューゴー、ネビュラ、ローカスと主要SF賞を総なめにした、エモーショナルな往復書簡時間SF──『こうしてあなたたちは時間戦争に負ける』 - 基本読書
                                      • SFマニアからビギナーまであらゆる層を満足させる、オールタイム・ベスト級の傑作SF短篇集──『なめらかな世界と、その敵』 - 基本読書

                                        なめらかな世界と、その敵 作者: 伴名練,赤坂アカ出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/08/20メディア: 単行本この商品を含むブログを見るこの『なめらかな世界と、その敵』を端的に紹介すれば、SFマニアからビギナーまであらゆる層を満足させる、オールタイム・ベスト級の傑作SF短篇集である。とはいえ著者伴名練の名は、SFファン以外は聞いたことはないだろう。既刊行作は『少女禁区』という約10年前に刊行された中短篇集一冊のみで、その後も企画物のアンソロジーに散発的に短篇を発表しるのみだったから、普通は知る機会は多くはない。 だが、SFファンの間では、本書の刊行前から伴名練の名は異常なほどの熱気でもって知られていた。というのも、商業発表作こそ少ないものの、同人誌に毎年のように新作短篇を発表しており、その作品の出来がまた凄まじかったからだ。それまでのSFの先行作を緻密かつ複雑に折り込み、舞

                                          SFマニアからビギナーまであらゆる層を満足させる、オールタイム・ベスト級の傑作SF短篇集──『なめらかな世界と、その敵』 - 基本読書
                                        • 今までの人生で脳汁が出たコンテンツ62本 - シロクマの屑籠

                                          今までの人生で脳汁がでるほど嵌ったコンテンツ125 +α本 - orangestarの雑記 数日前に、小島アジコさんが「今までの人生で脳汁がでるほど嵌ったコンテンツ125 +α本」という長ったらしい文章をブログに書いておられた。あの滅茶苦茶な長文は、不特定多数が読むことを度外視した、ふた昔ほど前のブログの文章、というよりウェブサイトの文章のようだった。 で、読んでいるうちに自分も同じことをやってみたくなった。そうすることで、私と小島アジコさんの嗜好の違いや来歴の違いだけでなく、「脳汁が出るほどハマッたものの定義の違い」みたいなものも詳らかになる気がしたからだ。このブログの常連読者さんでない人には読む価値の無い文章なので、それでも読みたい人だけ付き合ってやってください。 小学校低学年まで 小学校低学年だったのは昭和56年~59年ぐらい、ファミコンはまだ普及していなかったしビデオ録画もできなか

                                            今までの人生で脳汁が出たコンテンツ62本 - シロクマの屑籠
                                          • 今年(2023年)おもしろかった本を一気に紹介する。 - 基本読書

                                            今年おもしろかった本を一気に紹介します。大きめの書店が次々閉店し、人手不足や配送の問題もあって出版的には厳しい時期が続くがおもしろい本は依然として絶えない。あとゲームもいっぱいやったので、本だけでなくゲームも合わせて振り返っていこう。いつもは長くても5000文字ぐらいだが、今回は試しに合計1万文字以上書いてみたので、よかったら目次から興味あるやつにとんで読んでみてください。 SFを紹介する キム・スタンリー・ロビンスン『未来省』 N・K・ジェミシン『輝石の空』 ローラン・ビネ『文明交錯』 シーラン・ジェイ・ジャオ『鋼鉄紅女』 ジョン・スコルジー『怪獣保護協会』 『宇宙の果ての本屋』 ジョン・スラデック『チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク』 酉島伝法『奏で手のヌフレツン』 川端裕人『ドードー鳥と孤独鳥』 斜線

                                              今年(2023年)おもしろかった本を一気に紹介する。 - 基本読書
                                            • 【なるべく意識を低く保て】 書けないと悩む人のための、原稿の書き方 : 〜雑誌原稿を実例に〜|ふくろう

                                              この記事は、執筆業を15年(専業5年/副業10年)ほど続けている人間が、どのように原稿を書いているかを解説する、執筆メイキング記事です。 私が2年、寄稿していた『本の雑誌』新刊レビュー原稿を例として、初稿から完成稿までどのようにバージョンを重ねているか、説明します。 ◆【前置き】この記事を書いた背景◇想定読者想定読者は、「原稿をなかなか書き出せない人」「原稿を書くのに時間がかかる人」「原稿を思うように書けずに苦悶している人」です。 ◇きっかけもともと本稿は、執筆に悩む家族のために書いた、家庭内閲覧用の文書です。 家族(執筆の専業経験なし)は、たまに専門領域の記事や書籍の執筆依頼を受けて書いています。執筆するたびに「書けぬ……書けぬ……もうだめだ……」とうめきつつ、どうにか書き上げるのが風物詩でしたが、今とりかかっている原稿はとりわけ難産らしく、毎日「何の成果も!得られませんでした!!」状態

                                                【なるべく意識を低く保て】 書けないと悩む人のための、原稿の書き方 : 〜雑誌原稿を実例に〜|ふくろう
                                              • 今年も早川書房1500作品が50%割引の超大型電子書籍セールがきたので、SF・ノンフィクション中心にオススメを紹介する - 基本読書

                                                早川書房の1500作品が最大50%割引という大型の電子書籍セールが来たので、僕が読了済みのものからオススメを紹介しよう。早川書房は定期的にセールをやるが、1500点級のセールを前回やったのは去年の6月頭なので、年に一回のセールとなる。これ以上安くなることはないと思われるので、この機会に買っておくといいだろう。 https://amzn.to/3n4rZ2Famzn.to 上が対象作品のリストになる。最初は、SFとノンフィクションを中心に、前回のセールには含まれていなかった新作&おもしろかったものを中心に紹介していこう。 まずは目玉商品といえるSF作品から プロジェクト・ヘイル・メアリー 上 作者:アンディ ウィアー早川書房Amazonまずは目玉商品から行くが、なんといっても『火星の人』(映画版は『オデッセイ』)の著者であるアンディ・ウィアーによる『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(本邦では

                                                  今年も早川書房1500作品が50%割引の超大型電子書籍セールがきたので、SF・ノンフィクション中心にオススメを紹介する - 基本読書
                                                • 最高にエッチな画像が遺伝的アルゴリズムで生み出される様子を見て反省する日々 - 本しゃぶり

                                                  「なぜ見抜けなかったのか」 画像の選択を迫られるたびに俺は自問する。 進化の筋道を正しく予測するのは難しい。 遺伝的アルゴリズムの活用 2021年から、新たに習慣となった行為はあるだろうか。俺はある。PCの前に座り、二つの画像のうち、どっちの方がエッチかを選ぶ。これがモーニングルーティンとなっている。もちろんこれの話だ。 遺伝的アルゴリズムで最高にエッチな画像を作ろう! これまで何度も話題になっていたし、直近でも関連ツイートがバズっていたので、本記事を読む人の大半は知っているだろう。名前の通り、遺伝的アルゴリズムでエッチな画像を作るシステムである。人が画像を選択することで、よりエッチな画像が生き残り、高みへと一歩近づく。最初はノイズのようなモザイク画だったが、10,000世代を超えた現在では「女性の裸体」と認識できるものに仕上がっている。 0世代と10,000世代 現状について「最高にエッ

                                                    最高にエッチな画像が遺伝的アルゴリズムで生み出される様子を見て反省する日々 - 本しゃぶり
                                                  • 2020年上半期に読んで面白かった本5選 - 本しゃぶり

                                                    いつの間にか2020年も半分が過ぎている。 上半期に読んだ中からおすすめの5冊を紹介する。 【目次】 2020年上半期に読んだ本 『140字の戦争』 『僕らはそれに抵抗できない』 『欠乏の行動経済学』 『21 Lessons』 『サーチ・インサイド・ユアセルフ』 終わりに 2019年に読んでおすすめの本 2020年上半期に読んだ本 今週のお題「2020年上半期」ということなので、タイトル通り2020年上半期に読み終えた中から良かった本を5冊紹介する。去年は後で書こうと思っていたら、結局今年の3月まで書かずにいた。散髪と同じで半年に1回くらいがちょうどいいのかもしれない。 2020年上半期に読み終えた本は41冊。去年は年間で101冊なので遅いペースだ。 2020年上半期の読了数推移 言い訳をするならば、1月上旬は体調不良、5月・6月は引っ越しで忙しかったせいだ。多く読めばいいというものではな

                                                      2020年上半期に読んで面白かった本5選 - 本しゃぶり
                                                    • スマートホーム化したら俺自身もシステムの一部になった - 本しゃぶり

                                                      スマートホーム化する価値とは、家が賢くなることではない。 住居者が愚かでなくなることだ。 システムの一部になることが快適な生活を送るカギである。 使って初めて分かる価値 Amazonのスマートスピーカー、Echo Dotを使い始めて約10ヶ月が経つ。 Echo Dot (エコードット)第3世代 - スマートスピーカー with Alexa、チャコール AmazonAmazon 買う前は音声コントロールに対して疑問を持ってた。今のAIの賢さで本当に便利なのかと。しかし今は違う。スマート化されていない生活など考えられないし、何より俺の行動が変わった。日常生活で生じるささいなミスが減ったのである。 やっていること自体に新鮮味は無いが、実際に使っているからこそ語れるというものはある。ただスマートスピーカーの紹介をするのではなく、俺の考え方がどのように変化したか書いていきたい。 キッチンの照明を消す

                                                        スマートホーム化したら俺自身もシステムの一部になった - 本しゃぶり
                                                      • 面白かった本2021 - phaの日記

                                                        毎年書いている、今年読んで面白かった本のまとめです。 今年はブックガイド本『人生の土台となる読書』を出したので、その関連の読書が多かったかも。マンガは『このマンガがすごい!2022』でも審査員として選んでいるので、そちらもよかったら見てみてください。 では行きます。 をのひなお『明日、私は誰かのカノジョ』 星来『ガチ恋粘着獣 ~ネット配信者の彼女になりたくて~』 増村十七『バクちゃん』 ネルノダイスキ『いえめぐり』 上野千鶴子・鈴木涼美『往復書簡 限界から始まる』 荻原魚雷『中年の本棚』 TVOD『ポスト・サブカル焼け跡派』 植本一子『ある日突然、目が覚めて』 最果タヒ『パパララレレルル』 三田三郎『鬼と踊る』 佐藤文香『菊は雪』 松村圭一郎他『働くことの人類学【活字版】』 ユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・デウス』 江永泉、木澤佐登志、 ひでシス、役所暁『闇の自己啓発』 劉慈欣『三体』三部作

                                                          面白かった本2021 - phaの日記
                                                        • 『鬼滅の刃』大ヒットの理由が見つかることは無い - 本しゃぶり

                                                          誰もが知りたい『鬼滅の刃』大ヒットの理由。 これはどれほど丹念に作品と向き合っても答えは得られない。 なぜなら人の繋がりから生じる偶然の結果だからだ。 なぜ大ヒットしたのかという疑問 この『鬼滅の刃』解説記事に対する反応が興味深い。 このnoteは『鬼滅の刃』の導入を解説したものだ。どうやって読者を1ページ目から引き込むか、その「技術」と「困難」について書かれている。これに対し、ブコメはほぼ批判一色となった。 書いてある内容は決して間違っていないし、かなり細かく説明されている。なのになぜ批判が多いのか。コメントの内容は主に以下の2点となる。 『鬼滅の刃』に限った話ではない 長い 先に後者についてだが、「長い」ということは必ずしも悪ではない。スクロールバーが点になるような記事でも、好意的なコメントが多いこともある。結局のところ「長い」という批判が意味することは、自分の知りたいことが書かれてい

                                                            『鬼滅の刃』大ヒットの理由が見つかることは無い - 本しゃぶり
                                                          • 画像対応ChatGPTで設計図からコードの世界が実現しててやばい - きしだのHatena

                                                            アマチュア驚き屋のきしだです。 ChatGPTが画像入力に対応するよという話があって、来週くらいに使えるようになるかなーと思ったら、もう使えるようになってました。 で、写真から「カレー食べてる男の人です」くらいを言えるイメージで試してたら、なんかふつうに画面設計やクラス図からコードを書いていてびっくりしてしまいました。 まあ、起きたらこういうのが来てたわけですね。 で、まあ試してみて「あぁ、いままでのマルチモーダルよりちゃんと画像認識してるなー」くらいに思ったわけです。 で、NetBeansでの画面設計を読ませてみたらこう。 こういうコードが生成されました。 import javax.swing.*; import java.awt.*; public class SimpleForm { public static void main(String[] args) { JFrame fr

                                                              画像対応ChatGPTで設計図からコードの世界が実現しててやばい - きしだのHatena
                                                            • 東京私立中学御三家のSAPIXシェア5割、東京公立中高一貫校のenaシェア55% - 斗比主閲子の姑日記

                                                              以前に中学受験の記事を書きました。 なぜ「中学受験は親の受験」と言われるのか - 斗比主閲子の姑日記 日本の中学受験についてほぼ書き切ったつもりでしたが、一つ書き忘れていたことがありました。それは、公立の中高一貫校、特に東京の公立中高一貫校でも塾に通っている児童の割合が高いという現象です。 東京は高偏差値帯の私立中学でSAPIXが5割ぐらいの合格者数を出していることは有名ですが、実は公立中高一貫校ではさらに異常事態になっているんですよね。株式会社学究社が運営するena(エナ)という塾が一人勝ちしています。2022年度受験では占有率55%です。 ※合格実績 | 公式・進学塾のena|中学・高校受験を中心に大学受験まで対応より 公立中高一貫校は、どこの地域でも報告書(通知表とは別のもの)で一定(大体20-30%)の評価をしつつも、おおよそ適性検査という試験で評価しています。適性検査は私立の試験

                                                                東京私立中学御三家のSAPIXシェア5割、東京公立中高一貫校のenaシェア55% - 斗比主閲子の姑日記
                                                              • ぼっちを救うためのストア哲学 - 本しゃぶり

                                                                なぜぼっちは恵まれているのに苦しむのか。 それは心像に負けているからである。 幸福になりたければストア哲学を実践しろ。 暗く狭い場所にて 『ぼっち・ざ・ろっく!』の人気が凄い。 1話の時点からクオリティが高いなと思っていたが、回を増すごとにどんどん人気が高まっている。最近はTwitterを開くたびにファンアートが流れている印象がある。 もちろん俺も楽しんで見ているわけだが、つい思ってしまうことがある。本作の主人公、ぼっちこと後藤ひとりに対して、「こいつ、持っているな」と。 『ぼっち・ざ・ろっく!』第1話 感受性。創造力。優れた容姿。生まれの良さ。練習を持続する意志。アリストテレスならば、彼女のことを「外的な善を持ち合わせている」と評するだろう。 だが何よりもぼっちは、卓越した演奏技術、すなわちギタリストの徳(アレテー)を持っている。これほど素晴らしいことがあるだろうか。 しかし当のぼっちは

                                                                  ぼっちを救うためのストア哲学 - 本しゃぶり
                                                                • プロダクトマネジメントを学ぶための推しの書籍

                                                                  プロダクトマネジメントを学びたい人、プロダクトマネージャーにおすすめの書籍です。 以下、記載した書籍のリストです ## Product Management ### プロダクトマネジメントを広く理解する 「プロダクトマネジメント ―ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける」オライリージャパン (2020/10/26) https://www.amazon.co.jp/dp/4873119251/ 「プロダクトマネジメントのすべて 事業戦略・IT開発・UXデザイン・マーケティングからチーム・組織運営まで」翔泳社 (2021/3/3) https://www.amazon.co.jp/dp/4798166391/ 「INSPIRED 熱狂させる製品を生み出すプロダクトマネジメント」日本能率協会マネジメントセンター (2019/11/1) https://www.amazon.co.jp/dp/4

                                                                    プロダクトマネジメントを学ぶための推しの書籍
                                                                  • 面白かった本2022 - phaの日記

                                                                    毎年年末に書いている、今年面白かった本を紹介する恒例の記事です。 去年の11月に『人生の土台となる読書』というブックガイドの本を出したんですが、去年はその本を書くために大量の本を読みまくってたせいで、書き終わったあと、しばらく反動で「本を全然読みたくない……」という状態に陥っていました。 その時期が11月くらいまで続いていたので、ちょっと今回は少なめです。漫画はあいかわらず読んでいたので漫画を多めにしました。あと文章が読めない時期も短歌は読めたので、歌集もいくつか。そんな感じでお送りします。 漫画 縞野やえ『服を着るならこんなふうに』 カレー沢薫『ひとりでしにたい』 あちゅむち『エロティック×アナボリック』 入江喜和『ゆりあ先生の赤い糸』 安島薮太『クマ撃ちの女』 うすくらふみ『絶滅動物物語』 高橋ツトム『JUMBO MAX』 香山哲『プロジェクト発酵記』 エッセイ、ノンフィクションなど

                                                                      面白かった本2022 - phaの日記
                                                                    • 『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』という本を刊行します。 - 基本読書

                                                                      「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門 作者:冬木 糸一ダイヤモンド社Amazonこのブログ「基本読書」を書いている冬木糸一です。3月1日に、『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』という本をダイヤモンド社から刊行することになったので、その告知文を下記につらつらと書いていきます。このブログの読者にはまず楽しんでもらえる内容なので、ぜひ告知分だけでも読んでいってください。 本の外観。440ページ超えなのでけっこう分厚い SF超入門とは何なのか 「SF超入門」と銘打っているわけなので、当然SFに入門するための本になる。歴史や作家など入門といっても無数の入り口があるわけだけれども、今回はいわゆるSF小説のガイド的な内容になっている。ただ、「SF初心者はこれを読め!」といって初心者向けを語る、ガイド記事を拡張した内容とは異なるアプローチで本を選んでいる。 たとえば

                                                                        『「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門』という本を刊行します。 - 基本読書
                                                                      • 面白かった本2020 - phaの日記

                                                                        毎年まとめているコーナー、もう7年目です。 面白かった本2019 - phaの日記 面白かった本2018 - phaの日記 面白かった本2017 - phaの日記 面白かった本2016 - phaの日記 面白かった本2015 - phaの日記 面白かった本2014 - phaの日記 2020年は少し前の小説とかを多く読んでいて最近のをそんなに読んでなかったかもしれない。大体12冊くらいを紹介しようと思います。それでは行きます。 武田砂鉄/大石トロンボ/山下賢二/小国貴司/Z/佐藤晋/馬場幸治/島田潤一郎/横須賀拓『ブックオフ大学ぶらぶら学部』 大原扁理『いま、台湾で隠居してます』 能町みね子『結婚の奴』 春日武彦『鬱屈精神科医、占いにすがる』 たみふる『付き合ってあげてもいいかな』 長田悠幸・町田一八『SHIORI EXPERIENCE ジミなわたしとヘンなおじさん』 絲山秋子『イッツ・オ

                                                                          面白かった本2020 - phaの日記
                                                                        • 早川書房の2700作品が50%割引の大型電子書籍セールがきたので、SF・ノンフィクションの新作を中心にオススメを紹介する - 基本読書

                                                                          早川書房の2700作品が最大50%割引という電子書籍セールが来たので、僕が読了済みのものからオススメを紹介しよう。早川書房は定期的にこの規模のセールをやることで知られているが、そのたびにラインナップが異なる。特に、前回のセール時には対象ではなかった最新の作品なども今回は多数セールに入っているので、今回は主に2022年10月〜23年4月頃に刊行された新作を中心にオススメを紹介していこう。 今回はざっと見ていたがセール対象の作品数も多いし、23年4月のまだ新刊ほやほやといえる作品までセールラインナップだしで充実した内容になっている。そのため、いつもより文字数&作品数増量で紹介しよう。下記はリスト。 amzn.to まずはSFから 三体0【ゼロ】 球状閃電 作者:劉 慈欣早川書房AmazonまずSFの目玉といえるのが劉慈欣の伝説的な中国SF三部作《三体》の前日譚長篇である『三体0 球状閃電』。前

                                                                            早川書房の2700作品が50%割引の大型電子書籍セールがきたので、SF・ノンフィクションの新作を中心にオススメを紹介する - 基本読書
                                                                          • 「1000円の作品を60000円で売った」高校生の件について - 頭の上にミカンをのせる

                                                                            ※批判多かったのでタイトル修正しました。 追記1:本当に限定100部だったのか?という疑問について実際にこの本を入手された人から情報いただきました 例の高校生が「1000円で買って60000円で売れた」商品をチェックしてみたら、単なる転売ヤーなだけじゃなくて組織的に買い占めをやってたっぽい - 頭の上にミカンをのせる[炎上] 該当の本の一部を始発組で手に入れた人間ですが、一瞬100冊限定と噂が流れたものの途中でデマだと判明したし、現地では数百人並んでいても買えたのでそこは訂正したい / あとプロメアの監督が出した本で二次ではない2021/10/12 14:34 転売してた高校生の発言の一部に虚偽があったようです。以下の記事はこの情報を念頭に読んでください。また、頒布の際に「1人1冊限定」であったことについては確認が取れました。 追記2:「絶対この高校生素人じゃない。普段から転売的なものに触

                                                                              「1000円の作品を60000円で売った」高校生の件について - 頭の上にミカンをのせる
                                                                            • mRNAワクチンを接種した人全員に読んでもらいたい、ワクチン開発の奮闘を描き出す一気読み必至のノンフィクション──『mRNAワクチンの衝撃 コロナ制圧と医療の未来』 - 基本読書

                                                                              mRNAワクチンの衝撃 コロナ制圧と医療の未来 作者:ジョー ミラー,エズレム テュレジ,ウール シャヒン早川書房Amazon日本政府によると、日本の新型コロナウイルスワクチン接種回数は1億9800万回、2回の接種を完了した人は総人口の77%と数字が出ているが、本書『mRNAワクチンの衝撃』はそうしたワクチンの中でもビオンテック・ファイザー社によるワクチンがどのように開発され、世界に行き渡ったのかを描き出す迫真のドキュメントだ。 まだワクチンが出回り始めて十分な期間があるわけでもなく、これほどの速度で刊行される(原書も刊行されたばかり)本は中身が速度の犠牲になっていることも多いので読み始めはそこまで期待していたわけではなかったのだが、本書はまるで何年も準備をしてきたかのように中身が詰まっている。面白すぎて一気読みしてしまった。 ビオンテックはまだ多くの人が新型コロナウイルスの危険性を認識し

                                                                                mRNAワクチンを接種した人全員に読んでもらいたい、ワクチン開発の奮闘を描き出す一気読み必至のノンフィクション──『mRNAワクチンの衝撃 コロナ制圧と医療の未来』 - 基本読書
                                                                              • 直近3年に読んだKindle本からブラックフライデーのおすすめ - 本しゃぶり

                                                                                ブラックフライデーには何を買うべきか。 最もおすすめなのはKindle本である。 俺が近年に読んだ中からセール対象のKindle本を紹介しよう。 セールまで待つ人へ 俺はことあるごとに本を紹介しているわけだが、クリック数の割に買われないなと思うことがある。なぜこんなことが起きるのか。 俺は役立つか面白い本しか紹介していないわけだから、まさか購入ページまで行って「やっぱ止めるか」となるのは考えにくい。となれば理由はただ一つ。「安くなったら買おう」と考え、欲しい物リストに入れる人が多いのだ。俺がそういう動きをしているのだから当然だ。 そんな人に朗報である。Amazonブラックフライデーで、様々なKindle本が大幅に値下げしている。その中には俺が紹介した本も多い。ということで今まさにセール対象でおすすめの本を紹介することにした。ポイントアップキャンペーンは11/22 (水) の買い物から対象と

                                                                                  直近3年に読んだKindle本からブラックフライデーのおすすめ - 本しゃぶり
                                                                                • 空前絶後の傑作SF「三体」3部作を読んだ。 - ぜぜ日記

                                                                                  劉慈欣先生ありがとうございます。太谢谢你了。翻訳者のみなさまありがとうございます。 三体を生んだ文化、読める文化、これまでの人生すべてに感謝。 ※ 本記事では、前半にはネタバレはありません。後半、空白で区切ってネタバレ感想を書いているのでご注意ください(追記) 三体 作者:劉 慈欣早川書房Amazon もうすごすぎる。 2019年ごろに噂を聞いて紙で1巻を買って、文化大革命からはじまるところに面食らって、魅力的なキャラクターやVRや突飛なガジェットがおもしろいな、と思いつつも2巻以降は手に取らずに、1巻を当時中学生だった末弟に譲っていたきりだったんだけれど、この年末年始に帰省したところ、三体IIIまでそろっていて2歳下の弟と高校生になった弟が三体の話で盛り上がって絶賛していたのでkindleでポチって、かなりの勢いで読んでしまった。 この感動を多くの人に味わってほしい。ある種のファーストコ

                                                                                    空前絶後の傑作SF「三体」3部作を読んだ。 - ぜぜ日記