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  • 〈1〉富野少年はいかにしてアニメーション監督になったか|富野由悠季論|藤津 亮太|webちくま

    富野由悠季とはどんなアニメーション監督か。「演出の技」と「戯作者としての姿勢」の二つの切り口から迫る徹底評論! 書籍化にさきがけて本論の一部を連載します。 今回からはシリーズ「富野由悠季概論」。富野由悠季監督の経歴を時代背景とともに振り返り、アニメーション監督として果たした役割に迫ります。 (バナーデザイン:山田和寛(nipponia)) 宇宙との出会い 現在、アニメーション監督という存在が広く当たり前の存在として世間に認知されている。しかし、このような認知を得るまでには、それなりの長い時間が必要であった。そしてその中で大きな働きを果たしたひとりが、富野由悠季監督である。 富野の経歴を簡単に振り返ってみよう。 アニメーション監督・富野由悠季は1941年11月5日、三人兄弟の長男として神奈川県小田原市に生まれた。本名は富野喜幸。富野家は代々「喜」の漢字を継いでおり、喜幸の「喜」の字もそこに由

      〈1〉富野少年はいかにしてアニメーション監督になったか|富野由悠季論|藤津 亮太|webちくま
    • 【ネタバレ】『宝石の国』108話で完結…最終回とこれまでを振り返る感想・考察まとめ

      リンク コミックDAYS 宝石の国 - 市川春子 / 第百八話 宝石の国 | コミックDAYS 「この星には、かつて“にんげん”という動物がいたという」――今から遠い未来、宝石のカラダを持つ28人は、彼らを装飾品にしようと襲い掛かる月人に備えるべく、戦闘や医療などそれぞれの持ち場についていた。月人と戦うことを望みながら、何も役割を与えられていなかったフォスは、宝石たちを束ねる金剛先生から博物誌を編むように頼まれる――。 「このマンガがすごい!2014」オトコ編第10位にランクイン! 2017年テレビアニメ化! 市川春子が描く、戦う宝石の物語。 34 users

        【ネタバレ】『宝石の国』108話で完結…最終回とこれまでを振り返る感想・考察まとめ
      • 24/4/20 ダンジョン飯の感想 なぜファリンを蘇生したのは黒魔術なのか? - LWのサイゼリヤ

        ダンジョン飯 ダンジョン飯 1巻 (HARTA COMIX) 作者:九井 諒子 KADOKAWA Amazon 注:アニメ版ではなく漫画版の感想です 漫画最終巻までのネタバレを含みます ダンジョン飯 ああダンジョン飯 被食者を蘇生するから黒魔術 充足と渇望のダイナミクス 禊としてのカニバリズム 対立と和解のダイナミクス 完結していたので全巻読んだ。かなり面白かった! 個人的にはミスルン隊長が一番好き(アニメ未登場)。華奢な割に突出した異常な強さを持つエロい男、推せる。 Web漫画にありがちな一話完結っぽいタイトルに反してハードなファンタジーとしてのストーリーがしっかりしている。一話冒頭でいきなりパーティーが全滅するところから始まり、「最深部でドラゴンに食われた妹・ファリンを取り戻す」という明確なゴールに向かって迷宮を下っていく。ファリンの蘇生と救出は四巻で早くも達成してしまったかと思いきや

          24/4/20 ダンジョン飯の感想 なぜファリンを蘇生したのは黒魔術なのか? - LWのサイゼリヤ
        • 序 「アニメーション監督」としての富野由悠季を語りたい|富野由悠季論|藤津 亮太|webちくま

          機動戦士ガンダム、伝説巨神イデオン、Gのレコンギスタ……。数々の作品を手がけて熱狂的ファンを生み出してやまない富野由悠季とはどんなアニメーション監督か。「演出の技」と「戯作者としての姿勢」の二つの切り口から迫る徹底評論! 書籍化にさきがけて、本論の一部を連載します。  (バナーデザイン:山田和寛(nipponia)) アニメーション監督として語るための2つの切り口 アニメーション監督・富野由悠季について考えたい。ここで重要なのは、この言葉で比重がかかっているのは「アニメーション監督」のほうで、決して「富野由悠季」個人のほうではない、ということだ。富野由悠季という「アニメーション監督」は、その存在感の大きさに比して、十分に語られないうちに長い時間が経ってしまった。 富野は、TVや新聞雑誌などマスメディアに登場することが多いアニメーション監督だ。人気者といってもいいだろう。書籍に関しても、批評

            序 「アニメーション監督」としての富野由悠季を語りたい|富野由悠季論|藤津 亮太|webちくま
          • 本屋大賞ホント糞。早く終われ

            出版界隈の端っこにいる人間だけどさ。 もともと売れている本が、さらに売れるだけの糞賞。書店員なんか一部を除いてベストセラーしか読んでないので、ベストセラーにさらにブーストがかかって他の本との格差がえらいことになるだけの糞賞。売れていないけど良作を書いている作家の、モチベーションと売上を低下させている糞賞。本屋大賞のノミネーション10作品が長期間本屋のいい場所を占拠し続けるので、選に漏れた良作が埋もれるだけの糞賞。書店員の多数決という糞システムを採用しているので、同じような作家ばかりがノミネートされる糞賞。本屋大賞が影響力を持ちすぎたせいで、出版社も書店相手にゲラを読ませて帯コメントを取るなどの糞行為をはじめ、書評家・評論家の立場が低下し業界の批評機能を麻痺させている糞賞。 早く終われこんなもの。出版界の癌やろ。 参考: https://anond.hatelabo.jp/201404131

              本屋大賞ホント糞。早く終われ
            • MOTHER2の「ドコドコ砂漠のテーマ」のモールス解読|な

              前提原曲は表のメロディがデカすぎてモールスの聞き取りが難しいので、モールスの音だけを大きくしたっぽい以下の音源をもとに聞き取りを行なっています。 原曲とも確認して目立っておかしな点はないと思っていますが、100%正解とは言い切れないのであくまで一つの説として見ていただければと思います。 解読0:00〜0:02 ー・ー・(C) ーー・ー(Q)CQ。局の呼び出し。誰か交信しましょう、という挨拶的な意味合い。 0:03〜0:05 ー・ー・(C) ーー・ー(Q)CQ。上に同じ。CQは1〜3回繰り返すのが一般的。 0:05〜0:07 ー・ー・(C) ーー・ー(Q)CQ。上に同じ。 0:08〜0:09 ー・・(D) ・(E)DE。呼び出し元の局のコールサイン(無線局ごとの名前的なもの)を打つ前に打つ。「DE 〇〇」で「〇〇より」的な意味になる。 なのでこの次はコールサインが来ます。 0:09〜0:10

                MOTHER2の「ドコドコ砂漠のテーマ」のモールス解読|な
              • 「ダンジョン飯」は、単行本1巻が出たときに買って読んでからずっと追っていたが、アニメ放映中にあらためて通読し、色々とすごいマンガだと思う。特にあげたいのが、さじ加減の主役設定なのに骨太なストーリー構想力、「食べるとは何か」という哲学、筋立ての緻密なまでの完成度の高さという3つの話

                小森健太朗@相撲ミステリの人 @komorikentarou 「ダンジョン飯」は、単行本1巻が出たときに買って読んでからずっと追っていたが、アニメ放映中にあらためて1巻から最終巻まで通読した。で、これは色々とすごいマンガだと思う。特にあげたいのは、以下の三点。 2024-03-26 23:40:52 小森健太朗@相撲ミステリの人 @komorikentarou ・ライオスは普通には共感しづらい性格設定なので主役にはならないタイプ。悪役とか憎まれ役でもなく、熱血漢・正義漢でもなく、共感しやすい無個性型でもなく、成長型でも努力型でもない。こんなさじ加減の主役設定をおけるのは作者のストーリー構想力がよほど骨太。 2024-03-26 23:41:04 小森健太朗@相撲ミステリの人 @komorikentarou ・物語の後半にいくとわかるが、「食べるとは何か」という哲学的な問いかけがテーマとして

                  「ダンジョン飯」は、単行本1巻が出たときに買って読んでからずっと追っていたが、アニメ放映中にあらためて通読し、色々とすごいマンガだと思う。特にあげたいのが、さじ加減の主役設定なのに骨太なストーリー構想力、「食べるとは何か」という哲学、筋立ての緻密なまでの完成度の高さという3つの話
                • 「天空の城ラピュタ」ムスカ大佐が今の出世街道を捨ててラピュタ王なる真偽不明の身分に人生をかけた理由の考察が面白い話…「一族の悲願」「ロマン」「世界征服」など

                  林 譲治 @J_kaliy ムスカ大佐で不思議なのは、あの年齢で政府にも顔がきく特務機関の大佐なら、キャリア的に軍部を掌握する将官になるのは現実的な将来像で、そのまま一国を動かせたのに、なぜかラピュタの王族という真偽不明の情報に人生を賭けたところ。身分の壁に何度も挫折を味わったのか? 2024-03-23 08:57:49

                    「天空の城ラピュタ」ムスカ大佐が今の出世街道を捨ててラピュタ王なる真偽不明の身分に人生をかけた理由の考察が面白い話…「一族の悲願」「ロマン」「世界征服」など
                  • 鳥山明逝去、に寄す - king-biscuit WORKS

                    ● 今こそ、ドラゴンボールを集めに行かねばならん――わが国のみならず、世界中がそう思ったようです。 鳥山明急逝の報がweb環境を介して瞬時にかけめぐりました。享年68。急性硬膜下血腫とのことでしたが、その衝撃は国内もさることながら、むしろそれ以上に世界規模での反応の大きさが伝わってくることによって、戦後の過程で高度経済成長の「豊かさ」を原資として結実させていった、でも、実はそれらについて本気でそう深く考えてもこなかったある種の「文化」が、知らぬ間に持ってしまっていた現実的な力量について、われわれ日本人に思い知らせることにもなりました。 鳥山明というと、自分などは、どうしても「まんが家」としてまず認識してしまっています。「ドラゴンボール」以降の、ジャンルも国境もかろやかに超えたすさまじい確率変動ぶりと共に育った若い世代にとってはそんなこじんまりした印象ではないらしいのですが、さりとてこちとら

                      鳥山明逝去、に寄す - king-biscuit WORKS
                    • 「作劇の異様なドライさを感じる」ドラゴンボール原作では大きな感情の処理が短く終わっていて、それが1コマの情報量とテンポの良さに繋がっている

                      汚泥灰 @pesopesojamp 「大好きなじいちゃんを踏み潰して殺したのは自分自身だった」とかいうトンデモ真実を知らされたことによる感情の処理が1コマで終わってるの、ドラゴンボールの作劇の異様なドライさを感じる pic.twitter.com/PB5jH6t8Mt 2024-03-03 09:03:15

                        「作劇の異様なドライさを感じる」ドラゴンボール原作では大きな感情の処理が短く終わっていて、それが1コマの情報量とテンポの良さに繋がっている
                      • 美しいもの、もっと美しいもの - obakeweb

                        美的理由についての前置き 快楽主義 エンゲージメント理論 共同体主義理論 ネットワーク理論 ✂ コメント 参照文献 美的価値についての議論は引き続きたいへん盛り上がっているが、次の事実は意外なほどに無視されている。すなわち、美しさや優美さは比較・ランクづけ可能である。絵の下手な私が模写した《真珠の耳飾りの少女》は、フェルメールによるオリジナルほどには美的価値がない。 「趣味については議論できない」「美は見る人の目の中にある」を真に受けている人は、美的価値に上下があるという観察自体を否定したくなるだろう。「みんな違ってみんな良い」というわけだ。しかし、仮になんらかの観点から私の模写がフェルメールのオリジナルを凌いでいるのだとしても、それと同時に、前者が後者に比べて稚拙であり、覇気がなく、ごくふつうの意味において劣っていることを否定できるわけではない。芸術家やパフォーマーですら創作や上演に際し

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                        • ブレワイ&ティアキンの建築物を見てみる回|すい

                          こんにちは。初めてnoteを使います。使い方がいまいちわかりません。最近撮ったナイスな写真を表紙にしました。なにも建築に関係がありません。そんなのでええんか??ていうか一体何文字まで書けるんでしょうか。よく分からないので行き当たりばったりで行かせていただきますよ!!!! 概要 動機など  こちらはハイラルの建築物についてお話するnoteです。私は以前ハイラル城について建築様式や家具などからお城を深堀りしたものをTwitter(Xって何ですか?)に出しましたが、今回は違います。何を取り扱うかというと、ハイラルの各地に転々と広がる残存した建築物についてです。 なぜこんなことをしているかというと、2月某日のイベントのときに博識フォロワーのカムラさんが私にハイラルの建築様式にはいつくかタイプが存在すること、いたるところに気になる建築物が存在していることなどを教えてくださったのがすべての始まりです。

                            ブレワイ&ティアキンの建築物を見てみる回|すい
                          • [ベジータにとってのナッパって? 「チーム」に成りきれなかった二人の関係性について心理学の専門家に聞いてみた]| 【公式】ドラゴンボールオフィシャルサイト

                            ベジータにとってのナッパって? 「チーム」に成りきれなかった二人の関係性について心理学の専門家に聞いてみた サイヤ人のエリート戦士として共闘していたベジータとナッパ。サイヤ人編にて登場し、ドラゴンボールをそろえて永遠の命を手に入れるために、悟空たちと死闘を繰り広げました。 惑星ベジータの数少ない生き残りとして常に行動を共にしていた二人ですが、ベジータは悟空との闘いに敗北したナッパのことを非情にも切り捨ててしまいます。 ベジータとナッパはいったい、どんな関係性だったのでしょうか? 2人をつないでいた目的意識や独自の関係性について、チームワーク研究を専門に行う村瀬先生に聞いてみました。 語り手:村瀬俊朗さん 早稲田大学商学部准教授。1997年に高校を卒業後、渡米。2011年、University of Central Floridaで博士号取得(産業組織心理学)。Northwestern Un

                            • 2024-02-22: 4コマ漫画界の至宝・海藍作品を語る|塀

                              はじめに海藍(はいらん)という作家をご存知だろうか。 2000年に芳文社の「まんがタイムジャンボ」誌上で実質的に商業誌デビューした海藍は、代表作の『トリコロ』で創刊初期から「まんがタイムきらら」を牽引した。 『トリコロ』はきらら系作品として初のドラマCD化を達成し、後に設定資料集も発売されている。黎明期のきらら系作品としては異例の扱いであった。 私見では「まんがタイムきらら」史、ひいては『あずまんが大王』(あずまきよひこ)以降の萌え4コマ文脈を語る上で無視できない重要作家の一人だ。 しかし、2023年現在においては、『ひだまりスケッチ』(蒼樹うめ)や『けいおん!』(かきふらい)、『ゆるキャン△』(あfろ)、『ぼっち・ざ・ろっく!』(はまじあき)といった、TVアニメ化を果たした同社の後発作品と比較し、その知名度や世評には開きがあるように感じられる。 また、2018年より主要都市で開催されてき

                                2024-02-22: 4コマ漫画界の至宝・海藍作品を語る|塀
                              • ブラタモリ、タモリの地学知識がすごいのかと思いきや、応用力がすごいと気付いた

                                リンク 中日スポーツ・東京中日スポーツ NHK『ブラタモリ』レギュラー放送が今春で終了、ネット「お疲れ様でした」「終わっちゃうの寂しい」の声:中日スポーツ・東京中日スポーツ NHKは14日、タレントのタモリ(78)が全国の町を歩いた人気番組「ブラタモリ」(土曜午後7時30分)について、4月からの来年度はレギ... 52 TORI MIKI/とり・みき @videobird 終了するというブラタモリ、最初の頃は「タモリさんの地学知識はすごい」と思っていたが本質はそういうことではなかった。あれは義務教育で習う理科知識と歴史知識を組み合わせて考えればたいていの地勢の現象は推測できる、ということだったのだなあ、と。つまりタモリさんは応用力がすごいのだった。 2024-02-15 01:24:01

                                  ブラタモリ、タモリの地学知識がすごいのかと思いきや、応用力がすごいと気付いた
                                • 現代インターネットにおける〈マイノリティ〉の在り処――売野機子『インターネット・ラヴ!』評 - 落ち着けMONOLOG

                                  売野機子『インターネット・ラヴ!』評です。別の場所にこっそり載っている文章ですが、よく書けたと思うので、ちょっと修正してブログにも載せておきます。 インターネット・ラヴ!【電子限定特典付】 (onBLUE comics) 作者:売野機子 祥伝社 Amazon 1.『インターネット・ラヴ!』の設定の背景にあるもの――忘却できない傷つき・痛み 売野がこの作品において、インスタや韓国、ネイリストのような「オシャレ」なもの、あるいは「社会に包摂されたセクシャルマイノリティ」のようなものをベタに肯定して描いているわけではない点にまず注意を促したい。 では、それらの現代的なモチーフにどのような機能を持たせているのか? この問いについては、インターネットとマイノリティとの間の関係から考える必要がある。解説しよう。 かつてインターネットはマイノリティにとっての希望だった。人生の敗者復活戦の場だった。 今・

                                    現代インターネットにおける〈マイノリティ〉の在り処――売野機子『インターネット・ラヴ!』評 - 落ち着けMONOLOG
                                  • 河出書房 『DJプレミア完全版』 とWikipediaの不可解な相似について|Gen

                                    ※ 2/10 更新、引用画像のページ番号など追加、直接本稿で言及している部分と関係のない箇所はトリミングしました。 ※2/25 更新、追記を追加しました。 はじめに先月26日に『DJプレミア完全版』(DAWN編)という書籍が河出書房新社より発表された。あいにく筆者は現在米国在住のため、入手が難しい和書にあまり興味を抱いていなかったのだが、ネット上の反応を見聞きするとなかなか厳しい内容になっているようだ。特にDJたちの評判が芳しくないようで、今回とある義憤に駆られたDJの方に本書を送付していただいたので、なにが問題なのか実際の紙面を踏まえて確認してみることにした。なお、本稿では各リヴューの内容や是非といった原稿の評価はしていない。 前提そもそも一般的なディスクガイドでは、掲載音源は初出となる作品から紹介するのが通例だと思われる。つまり、再発や再録より、発表時期の早いオリジナルの作品をなるべく

                                      河出書房 『DJプレミア完全版』 とWikipediaの不可解な相似について|Gen
                                    • ハミッド・ダバシ「ガザのおかげでヨーロッパ哲学の倫理的破綻が露呈した」|早尾貴紀

                                      ガザのおかげでヨーロッパ哲学の倫理的破綻が露呈したハミッド・ダバシ(試訳=早尾貴紀) 2024年1月18日 もしイラン、シリア、レバノン、トルコが、ロシアと中国に全面的に支援され、武装し、外交的に保護されながら、テルアビブを現在のガザと同じように、3カ月間昼夜を問わず爆撃し、何万人ものイスラエル人を殺害し、数え切れないほどの負傷者を出し、何百万人もの家を失い、この都市を人が住めない瓦礫の山と化す、そのような意志とその実現手段があったとしたら、と想像してみてほしい。それから、イランとその同盟国が、テルアビブの人口の多い地域、病院、シナゴーグ、学校、大学、図書館、あるいは実際に住民のいるどんな場所であれ、そこを意図的に標的にし、民間人の犠牲者を確実に最大化するということがあり、そしてイランと同盟国が、「イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と彼の戦時内閣を探していただけだ」と世界に言ったとした

                                        ハミッド・ダバシ「ガザのおかげでヨーロッパ哲学の倫理的破綻が露呈した」|早尾貴紀
                                      • スタジオジブリのアニメは、欧米による「日本の見方」を変えてきた | 敵ではなく、夢を見せる国としての日本

                                        犯罪率が低く、モノづくりによって成長を遂げた経済大国であり、いまは少子高齢化が止まらない国──世界は日本に対してそんなイメージを抱えているだろう。 だが、世界の「日本」に対する印象に大きく関わってきたのは結局、アニメや漫画などの「ファンタジー」なのかもしれない。なかでも80年代、スタジオジブリが欧米の若者に与えた影響について、英メディア「アンハード」が報じた。 日本は「夢の工場」だった インターネットの登場以前、米国のティーンがアニメを見るには「違法な手段」に訴えるしかなかった。海賊版ビデオカセットはファンのあいだで、まるで「見るドラッグ」みたいに流通していたのだ。 新しいアニメの発見は、小さな啓示みたいだった。未知の国に一歩足を踏み入れたようだった。彼方の国である日本について私が知っていたことといえば、祖父の語る戦争の話と、夕方のニュースで流れる暗い話に限られていた。 80年代は、日本と

                                          スタジオジブリのアニメは、欧米による「日本の見方」を変えてきた | 敵ではなく、夢を見せる国としての日本
                                        • 【氷川竜介の「アニメに歴史あり」】第49回 アニメの描く「物語」の本質が問われた西暦2023年

                                          第47回で「アリスとテレスのまぼろし工場」を取りあげたとき述べたように、今年のアニメ映画のタイトルを並べると「なぜこんなにも“物語とは何なのか?”が問われているのだろうか?」という疑問がわく。12月15日公開の「屋根裏のラジャー」(監督・百瀬義行)もそのひとつである。 主人公ラジャーは、少女アマンダが想像で生みだしたイマジナリと呼ばれる少年だ。他人には見えないラジャーが、アマンダと切り離された後、彼女の危機を救うために奮闘する冒険もので、イマジナリを喰らうことで生きながらえる男ミスター・バンティングがヴィランとして登場し、その対立が全編を支えている。 作中では書店、図書館と「物語の宝庫」とイマジナリが強く結びつけられている。物語の触発する想像力とは現実をどのように活性化し、変革しうるものなのか、想像の存在に独立性をあたえることで問いかけてくる。「空想の産物を食い物にしているミスター・バンテ

                                            【氷川竜介の「アニメに歴史あり」】第49回 アニメの描く「物語」の本質が問われた西暦2023年
                                          • 「ゼルダ」が達成できなかった「オープンエアのストーリーテリング」を達成した『Outer Wilds』――2023年を振り返る個人GOTY:お茶缶

                                            2022年の個人GOTYはその年に発売していないゲームばかりになってしまったけれど、2023年は本当に豊作だったので、そもそも10本を選出することにとても苦労した。ここに選出しなかったものも含めて、面白いゲームが本当にたくさんあった。 けれど、それでも結局、2023年の私の脳内は「ゼルダ、ゼルダ、ゼルダ」だった。私が最も好きなゲームシリーズである「ゼルダの伝説」の最新作であり、世界的な高評価を受けた『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の続編である『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』がついに発売したのだから、仕方がない。 発売前も、発売後も、他のゲームを遊んでいるときも、記事を書いているときも、新たな「ゼルダ」をどのように受け止めるかということでいっぱいだった。とにかく、TOP10は以下の通りだ。 『Outer Wilds』 『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キング

                                              「ゼルダ」が達成できなかった「オープンエアのストーリーテリング」を達成した『Outer Wilds』――2023年を振り返る個人GOTY:お茶缶
                                            • ガチでるろうに剣心初めて読んだ|ジスロマック

                                              『るろうに剣心』を初めて読みました。 理由は単純、今やってるアニメの薫殿がかわいかったから……。本当にそれだけ。CV高橋李依、最高! 薫殿かわいいし! 成人男性のクセに「おろ~」とか言ってる主人公えっちだし! よっしゃ全巻買うか!! ……こんな感じで、ぬるっとるろ剣を全巻買って読みました。ぬるっとしたキッカケで読み始めたので、この記事もぬるっと始まります。全体的にぬるっとした温度感なので、暇な時にでも読んでやってください。 どうぞ、よろしくお願いします。 るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-東京編1巻 『るろうに剣心』1巻より 和月コメントの味が濃すぎる。 えっ、なにこれ……。単行本買ったら登場人物制作秘話までついてくるオトク感、すごいね。いやにしたって赤裸々すぎる。別に「この先、薫が剣心の恋人になるかは決めかねているところです」まで書かなくてよくない!? 1巻読んだ時、もっといろいろな感想が

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                                              • 【翻訳】パレスチナ人の命も守れ:ユダヤ人の学者ジュディス・バトラーがイスラエルの「ジェノサイド」を非難|カフェ・フスタート

                                                本稿はデモクラシー・ナウによるジュディス・バトラーのインタビュー(Palestinian Lives Matter Too: Jewish Scholar Judith Butler Condemns Israel’s “Genocide” in Gaza)の日本語訳です。 バトラーはクィア理論の大成者として有名ですが、ユダヤ人としてイスラエルの占領や暴力を一貫して非難してきました。このインタビューでバトラーの表情は終始険しく、ジェノサイドという言葉を繰り返し口にします。また、バトラーはイスラエルによる暴力は75年前から組織的かつ継続的に行われてきたと指摘し、パレスチナ人がその死を悼むに値しない人間以下の存在として扱われる状況に警鐘をならしています。イスラエルを植民地主義国家・アパルトヘイト国家として明確に非難している点も重要です(これまでのイスラエルの所業をみれば明白のことなのですが、な

                                                  【翻訳】パレスチナ人の命も守れ:ユダヤ人の学者ジュディス・バトラーがイスラエルの「ジェノサイド」を非難|カフェ・フスタート
                                                • 「ティアーズ オブ ザ キングダム」のキーアイテム「秘石」とは一体何だったのか?一貫性のない「力」に関する設定を改めて検証する

                                                  『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』のストーリーは、「秘石」というキーアイテムによって動かされている。ガノンドロフがハイラルを脅かす魔王として君臨したのも、ゼルダがリンクにマスターソードを届けることができたのも、秘石があったからだ。 秘石は、本作の美しいシーンを演出するのに一役買った一方で、本作のストーリーにおける問題点にもなっているように思う。この秘石というアイテムが起こす現象は多岐にわたりすぎていて、一見してかなり「一貫していない設定」のように見えてしまう。物語は設定的な整合性だけが全てではないと思うが、それでもどこか本作のストーリーに違和感を感じているユーザーは一定数いるのではないだろうか? 特に、「ゼルダがなぜ龍化から戻れたのか」ということに対してはコラム「私が『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』のエンディングを許せない理由」の記事を含め違和感としてよく

                                                    「ティアーズ オブ ザ キングダム」のキーアイテム「秘石」とは一体何だったのか?一貫性のない「力」に関する設定を改めて検証する
                                                  • 介護されたい高齢オタクを引っかける釣り針がすごい──『葬送のフリーレン』 - シロクマの屑籠

                                                    これから書くことは『葬送のフリーレン』評ではない。なぜなら『葬送のフリーレン』という厚みのある作品の全体像をうんぬんするものでなく、作品のごく一部、作品に仕掛けられている数ある釣り針のひとつに注目し、「これは介護されたい高齢オタクが釣られるしかない、見事な釣り針ですなぁ」とテカテカする趣向のものだからだ。 釣り針というのは他でもない、『葬送のフリーレン』が、介護されたい高齢オタクが過去と現在に思いを馳せて願望するのに都合良い作品としてつくられているからだ。繰り返すが、『葬送のフリーレン』の魅力はそれだけじゃない。エルフと人間の寿命の差や時間感覚の差、勇者の遺したもの、人類の英知と技術革新etc...、そういったものを支える作者の洞察の泉はどうなっているんだろう? と惚れ惚れしてしまう。ただ歳月を感じさせる作品でなく、まして寿命チートを連想させる作品では決してなく、歳月の果てにしか宿らない旨

                                                      介護されたい高齢オタクを引っかける釣り針がすごい──『葬送のフリーレン』 - シロクマの屑籠
                                                    • 既存の「わかりやすい」人類史を現代の知識・研究でとらえなおす、『ブルシット・ジョブ』著者の遺作となった大作ノンフィクション──『万物の黎明 人類史を根本からくつがえす』 - 基本読書

                                                      万物の黎明 人類史を根本からくつがえす (翻訳) 作者:デヴィッド・グレーバー,デヴィッド・ウェングロウ光文社Amazonこの『万物の黎明』は、世の中にはやってもやらなくてもいいようなクソどうでもいい仕事で溢れているのではないかと論を展開した『ブルシット・ジョブ』で知られるデヴィッド・グレーバーの最新作にして、遺作となった大作ノンフィクションである(単著ではなく、考古学の専門家デヴィッド・ウェングロウとの共著)。今回テーマになっているのは、サブタイトルに入っているように、「人類史」だ。 多くの(特に売れている)人類史本には、環境要因に注目したジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』や「虚構」をテーマにしたユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』のように「わかりやすい切り口」が存在するものだが、本書(『万物の黎明』)の特徴の一つは、数多語られてきた「わかりやすい切り口」の「ビッグ・ヒストリ

                                                        既存の「わかりやすい」人類史を現代の知識・研究でとらえなおす、『ブルシット・ジョブ』著者の遺作となった大作ノンフィクション──『万物の黎明 人類史を根本からくつがえす』 - 基本読書
                                                      • 水星の魔女はヘイトタンクの作り方が悪質だった

                                                        御曹司のグエルがやたら視聴者に持ち上げられる脚本になっていて (それこそスレッタが落ち込んで行動不能になるのを繰り返していた2期中盤などは、グエルこそが真の主人公だ!貴種流離譚だ!なんて言われていた)、 戦災孤児から実力で成り上がったシャディクや、愛人の子で母親に捨てられたラウダなど、 弱者性を持つキャラクターが視聴者のヘイトタンク化したのも本当に希望がないなと思う。 シャディク ・シャディクが戦災孤児である設定がミオリネのセリフでさらっと明かされ、回想がない。地球でどう育ってきたのかや、アカデミーに拾われて実力で勝ち上がってきたことの詳細などは、何も明かされない。 ・シャディクの思想についての掘り下げが全く行われず、ミオリネに対する恋愛感情の描写ばかりがくどいほど繰り返される。視聴者に「ミオリネに振られたからテロリストになった」と動機を矮小化される始末。 ・テロリストにならずサリウスの後

                                                          水星の魔女はヘイトタンクの作り方が悪質だった
                                                        • やっかいな句読点「;」知れば知るほどワクワクする読書体験/『セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点』書評(週刊SPA!) - Yahoo!ニュース

                                                          セシリア・ワトソン(著)、萩澤大輝 (訳)、倉林秀男(訳)『セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点』(左右社) 世の中には読んだほうがいい本がたくさんある。もちろん読まなくていい本だってたくさんある。でもその数の多さに選びきれず、もしくは目に留めず、心の糧を取りこぼしてしまうのはあまりにもったいない。そこで当欄では、書店で働く現場の人々が今おすすめの新刊を毎週紹介する。本を読まなくても死にはしない。でも本を読んで生きるのは悪くない。日刊SPA!で書店員による書評コーナーがスタート。ここが人と本との出会いの場になりますように。 いきなり個人的な話で恐縮だが、私は英語が好きではない――しかし外国文学を読むのは好きだったし、それを批評するのも楽しかったため、英文学の修士号までとっていたりする……実情は就活に失敗してどうにか滑り込めたのが内部進学での院進だっただけで、とにかく私はでき

                                                            やっかいな句読点「;」知れば知るほどワクワクする読書体験/『セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点』書評(週刊SPA!) - Yahoo!ニュース
                                                          • なぜ『F-ZERO 99』はレースゲームとバトロワを「次の高み」に乗せたと言えるのか?

                                                            ならば、書かねばならない。『F-ZERO 99』がレースゲームとバトロワを「次の高み」に乗せたと言える理由を。 「リスクとリターン」を中心に据えた見事なルール 『F-ZERO 99』は、1990年に発売されたスーパーファミコン用ソフト『F-ZERO』にバトロワ要素をかけあわせた新作である。 ルールはシンプル。99人のプレイヤーが同時にレースを行い、1位を目指すというものだ。しかし、互いのプレイヤーは当然ながら邪魔をし合うわけで、トップになるのは容易ではない。 基本システムで特に秀逸なのが画面右上にある「パワーゲージ」だ。これはプレイヤーの体力であると同時に、ブーストゲージでもある。なくなればブーストができなくなるだけでなく、ほかのマシンにやられてしまう可能性が出てくるわけだ。 虹色のものがパワーゲージ。その下にあるのが「スカイウェイ」を使用するためのゲージだ(詳しくは後述)。 パワーゲージ

                                                              なぜ『F-ZERO 99』はレースゲームとバトロワを「次の高み」に乗せたと言えるのか?
                                                            • ゼルダティアキンのラスボス戦がなぜ最高だったのかゲームデザインの観点で解説するよ|ニカイドウレンジ

                                                              前置きゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダムをクリアした。ラスボスとエンディングが非常に素晴らしかった。自分がこれまで遊んだゲームの中で、最上級と言えるようなゲーム体験がそこにあった。 グラフィック、展開、音楽、ストーリー、演出など全てが素晴らしかった。だがそれだけではない。最初は気付かなかったがしっかり観察していくとゲームデザイン面でも様々な工夫がされていることが分かった。 本記事では、私ニカイドウレンジがプレイして気付いたラスボスのゲームデザイン的工夫について解説していきたい。ゲームを理解することの助けや、ゲーム開発の助けになれば幸いだ。 逆にゲームデザイン以外についてはほとんど語らない。演出や展開や音楽などについて詳しく知りたければ、じーくどらむす氏の記事が詳しいのでこちらをお読み頂ければと。 まずは注意事項。 注意①:本記事はゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダムのラスボスにつ

                                                                ゼルダティアキンのラスボス戦がなぜ最高だったのかゲームデザインの観点で解説するよ|ニカイドウレンジ
                                                              • 原作『攻殻機動隊』全話解説 [第一話]|ヒト

                                                                みなさんは『攻殻機動隊』と聞いてどれを思い浮かべるでしょうか。押井守の最初の劇場版でしょうか、それとも神山健治のSACシリーズでしょうか。ハリウッドの実写版を思い出す方もおられるかもしれません。 しかしながら、私にとっての”攻殻”は士郎正宗による漫画『攻殻機動隊』なのです。はじめてこの漫画を読んだときは、世にこれほどまでに面白い漫画が存在するのかと震えました。未だに私にとっての漫画の最高傑作です。しかし、この原作漫画はアニメシリーズと比較して、残念ながら知名度が高いとはいえません。 その理由の一つに、非常に難解なストーリー展開があると思います。一読しただけでは物語の把握は困難で、注釈が無数にあって、そして理解を読者に求めます。 この作品は、画に描いてあることを解説してくれない漫画なのです。読者は画とセリフから能動的に意味を読み取り、物語を自分で組み立てなければなりません。 もちろんそういっ

                                                                  原作『攻殻機動隊』全話解説 [第一話]|ヒト
                                                                • 『アリスとテレスのまぼろし工場』は、『花咲くいろは』のやり直しなんじゃないかという話

                                                                  『アリスとテレスのまぼろし工場』を鑑賞して、自分の中で岡田麿里の評価が爆上がりしている今日この頃です。 岡田麿里という作家に何か思いれのある人は絶対に見るべき作品だと思いますし、90年代を生きていたオタクにはできれば見てほしい作品です。 そして今回は、その感想ではなくて、『アリスとテレスのまぼろし工場』という作品は、実質的に『花咲くいろは』のやり直しなんじゃないかという話を書きます。 『花咲くいろは』とは、2011年に放送されたオリジナルテレビアニメで、同時期に放送された『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』と共に、脚本家としての岡田麿里の名声を決定づけた作品であります。岡田麿里にとって、キャリア初期のオリジナルアニメであり、作家としての根っこの部分が見えた作品でもあると思います。 この話題を語るうえで、『アリスとテレスのまぼろし工場』と『花咲くいろは』のネタバレをしまくります。 そ

                                                                    『アリスとテレスのまぼろし工場』は、『花咲くいろは』のやり直しなんじゃないかという話
                                                                  • 宮﨑駿『君たちはどう生きるか』を観て - 内田樹の研究室

                                                                    私は宮崎駿の映画のかなり熱烈なファンである。これまでいくつかの宮崎駿作品について映画評を書いてきた。宮崎作品を観た後は、いつでも語りたいことが湧き上がってきて、語らずにはいられないのである。 今回の『君たちはどう生きるか』についても、何かを語らずにはいられないことに変わりはないのだが、それはこれまでのように自分が観た映画について語ることを通じて「さらなる愉悦」を引き出すためではない。「これは一体どういう作品なのか」を何とか言葉にしてみないと、自分が何を観たのかがよくわからないからである。 これまでの宮崎作品なら、物語は完結し、ラストで伏線は回収され、映画の「メッセージ」も別に解釈の手間をかけずにもすんなりと伝わってきた。映画を楽しむためには、それで十分だった。そして、映画をたっぷり楽しんだ上で、「果たして物語はあれで完結しているのか?」「伏線はほんとうに回収されているのか?」「あんな『わか

                                                                    • 審査のゆがみ:全日本吹奏楽コンクールを例に

                                                                      芸術競技において審査過程の公平性を確保することは重要な課題である.本論文では,審査結果に意図せざる形で偏りが存在しているか否か,存在するとしたらどの程度影響を与えているのか,という問いに対して全日本吹奏楽コンクールを事例として分析を行った.分析の結果,演奏順が後ろであればあるほど有利であるという “overall order bias” と,一つ前の演奏団体のパフォーマンスから影響を受ける “sequential order bias” が存在することが示された.

                                                                      • 『バービー』ネオンジェネシス宗教映画|うまみゃんタイムズ

                                                                        映画『バービー』が前提としているブランドの基本情報についてELLEで紹介したのだが、この作品がユニークなのは、アブラハムの宗教をベースにしているところだ。それを知らずとも楽しめはするのだが、この10年「国際的な観客にとってのわかりやすさ」が重視されてきたハリウッドIP映画として異色な宗教的大作となっている。 「宗教儀式のような映画館」 まずこの映画、すでに興行収入10億ドルを突破していて、特に北米でものすごくヒットしている。『ダークナイト』を超えてワーナー・ブラザース最高の国内成績で、観客の二割が少なくともコロナ以降映画館に来ていなかった層とされる。 特異なのは、文化左派っぽい見てくれをしてるのに保守派での好評も目立つこと。ポリコレ叩き文化戦争工場ことFOX Newsすら肯定的言説を流すに至っている。さらに、映画館に行った人々からは「嗚咽してる人がたくさんいて宗教儀式みたいだった」という報

                                                                          『バービー』ネオンジェネシス宗教映画|うまみゃんタイムズ
                                                                        • 宮崎駿監督の全てを込めた映画『君たちはどう生きるか』(ネタバレあり注意)|五味洋子

                                                                          (宮崎駿監督の今作の苗字の表記は宮﨑で「﨑」は「たつさき」。環境依存文字で表示されない場合があるので、便宜上従来の文字で記す。) 監督・宮崎駿にとって前作『風立ちぬ』以来10年ぶりの長編映画という。そんなに経ったかと驚きつつ、以前にも増して宮崎駿らしさ全開の映画をわくわくと楽しんだ。 物語の舞台は戦時中の日本。主人公は11歳の少年・牧眞人(まき・まひと)。夜空に響き渡るサイレンが不穏を告げ、一気に物語に引き込まれる。火災で病院が燃え、眞人は入院中の母を喪う。作中年度からみて空襲ではないが、空襲を思わせる緊迫感があり、前作『風立ちぬ』との連続性が伺われる。火事か空襲か年代から考えないと解らないくらい、この映画は観客に理解させようとはしない。説明抜きでも解る人間でなければついていけない。鑑賞後の観客の評価が賛否に大きく分かれたのはそういう訳だ。 これまでの宮崎映画は画面に虹が出れば登場人物が「

                                                                            宮崎駿監督の全てを込めた映画『君たちはどう生きるか』(ネタバレあり注意)|五味洋子
                                                                          • 逃げるキシリア、ケリをつけるか? チャンスを活かすか?<TV版『機動戦士ガンダム』と『めぐりあい宇宙』にみるシャア・アズナブルの幕引き>

                                                                            長くブログをやっていると、たまに有益で面白いコメントを頂けて本当にありがたい。 何年も前に書いた記事にも、先日(半年ぐらい前の先日)、大変興味深いコメントを頂いた。 まず記事は以下のもの。 アムロはシャアを、いつニュータイプだと認識したのか?<TV版『機動戦士ガンダム』での相互不理解と「貧しい愛」> https://highlandview.blog.fc2.com/blog-entry-247.html 「シャアってニュータイプなの?」という、友人の素朴な疑問を発端に、タイトル通り「アムロがどのタイミングで、シャアをニュータイプとして認識したのか?」を検証した記事です。 そしてこの記事に頂いたコメント。全文を以下に引用します。 キシリア撃つ前の妹への 「ザビ家の人間はやはり許せないとわかった」 という”お前ついさっきまでと違うこといきなり言ってるの?何?”感ある台詞がなくなって 劇場版で

                                                                            • ハヤカワのオススメ本12冊+α(〜12/1 kindle版セール中)2023.11/30更新 - 沼の見える街

                                                                              [2023年11月30日更新] ハヤカワがまたkindle本の大規模セールをやっている(今回はブラックフライデーセールで12/1までとのこと)。 amzn.to 私もハヤカワの本が好きで、面白かった本をよくオススメしてるのだが、セールのたびにいちいち紹介するのも面倒なので、広くオススメできそうな本をまとめておく。 ちなみにハヤカワといえばSFの印象があるだろうが、私はけっこうノンフィクションに偏っているので、単純に面白かった本をフィクション/ノンフィクション問わずごちゃまぜで紹介したい。タイトルで10冊といいつつ上下巻やシリーズも1冊扱いで、関連書もちょいちょい並べてるので明らかに数十冊はあるが…。ついでなのでその他のオススメ本も軽めに紹介しとく。セール時はどれもだいたい半額なので買っといて損なし。 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』 『イヌはなぜ愛してくれるのか 「最良の友」の科学』 『

                                                                                ハヤカワのオススメ本12冊+α(〜12/1 kindle版セール中)2023.11/30更新 - 沼の見える街
                                                                              • バービーと原爆:「#Barbenheimer」が浮き彫りにした「軍事」と「フェミニズム」という難問 | Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)

                                                                                Photo by Ian Waldie/Getty Images / CORBIS/Corbis via Getty Images ファッションドールの世界を実写化した、グレタ・ガーウィグ監督による2023年最大の話題作『バービー』が日本でも公開スタート。内容が気になりすぎるあまり、先に公開されたアメリカでの考察記事やネタバレ動画を隅々までチェックしてきた若林恵(黒鳥社)は、もちろん本作を公開初日の朝イチで鑑賞。勢いそのままに本稿を書き上げた。“原爆の父”と言われた科学者の伝記映画『オッペンハイマー』(日本公開未定)が、本国で『バービー』と同時公開されたことから生まれたネットミーム“Barbenheimer(バーベンハイマー)”を巡る考察。先日の騒動が浮き彫りにしたものとは? 「被曝」をめぐる嘘 この8月7日に、78年前の広島、長崎への原爆投下に関する新たな情報が、ジャーナリストや研究者に

                                                                                  バービーと原爆:「#Barbenheimer」が浮き彫りにした「軍事」と「フェミニズム」という難問 | Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)
                                                                                • アニメ『私の百合はお仕事です!』感想(ネタバレ)…高慢と偏見と百合、そして外面

                                                                                  “コンセプトカフェ+百合”版『高慢と偏見』 「コンセプトカフェ」には普段行きますか? 人によっては聞きなれない「コンセプトカフェ」。略して「コンカフェ」とも呼ばれますが、これはその名のとおり、何かしらのコンセプト(特定のテーマ)を土台にして運営されているカフェのこと。わかりやすい事例では「メイドカフェ」や「執事カフェ」のように、店員のコスプレをともなうカフェがあり、オタク系の界隈と相性がいいです。 ただ、最近はコンセプトカフェもどんどん多様になり、従来的なオタクの枠を大きく超えたテーマのカフェも増えているそうです。企業IPを活用したコンセプトカフェもあったり、商業的にも手を出しやすいのでしょうけど、昔ながらの細々とやっている小さなコンセプトカフェはどれくらい生き残れてるんだろうか…。 今回紹介するアニメシリーズも、コンセプトカフェを舞台にした作品です。 それが本作『私の百合はお仕事です!』

                                                                                    アニメ『私の百合はお仕事です!』感想(ネタバレ)…高慢と偏見と百合、そして外面