哺乳類の多くは5本指構造だが、進化の過程で環境に応じて指の形や本数を変えてきた。馬は大草原を速く走れるように5本指の一部を残し、残りを退化させてひづめの形になったとされる。ほとんどの犬は前足が5本指、後ろ足が4本指だが、前後とも5本指、4本指の犬種もある。 SHHは組織の再生やがんの形成にも関係する重要なタンパク質。胎児期に指などの器官ができる際にSHHが細胞の増殖や分化、四肢の発生を促すことが知られている。 濃度勾配は一定の領域内に濃度の濃淡があることで、液体などの中で濃度が異なる部分があると「濃度勾配がある」と表現される。組織内、細胞内のSHHの濃度勾配は器官ができる上で重要な役割を果たしているとされながら、濃度勾配がどのようにできるかは分かっていなかった。 東京大学大学院医学系研究科の廣川特任研究員らの研究グループは、細胞内で物質を輸送する重要な働きをしている「分子モーター」と呼ばれ