第二次安倍政権では、成長戦略を掲げた経済政策と、安保法制に代表される安全保障政策が大きな社会的関心を集めた。その一方、安倍政権の教育政策に関して、世論の関心は経済や安保ほど高くない。 しかし、安倍政権は「教育再生」を掲げてさまざまな改革を行っており、そのなかにはかなり大きな影響を及ぼす可能性のあるものも少なくない。後述するが、第二次安倍政権のこれまでの教育政策は「お金をかけない教育改革」がその特徴であると筆者は考えている。ここでは、第二次安倍政権のこれまで(2016年3月まで)の教育政策を振り返り、その特徴と今後の課題を展望してみたい。 第二次安倍政権での教育政策の概要 現在の政権は、大臣・副大臣などの政務三役による政治主導を志向した民主党政権とは異なり、首相・官邸主導による政策形成が行われる傾向が強い。加えて安倍政権では自民党の文教関係議員(文教族とよばれる、文科省とのつながりが深い族議