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餃子を山ほど食べたい。いろんな餡の餃子を、みんなでわいわい分け合って食べたい。そんな気分にぴったりな店が「餃子封神榜(ぎょうざほうしんぼう)」だ。 場所は「ガチ中華」のメッカ、JR池袋駅北口界隈。あらゆる中国料理店が軒を連ねるエリアだが、ここまで餃子に特化した店は、意外にもこれまで出現していなかったのではないだろうか? ここで食べられるのは、作りたての水餃子や蒸し餃子。注文が入ると、フロアに隣接したガラス張りの厨房で、面点師が皮をのばし、餡を包み、ゆでたて&蒸したての餃子がすぐに運ばれてくる。 厨房の中はまるで中国の餃子専門店そのもの。 餡たっぷりで皮は薄め。「薄皮大餡」な餃子を特製だれで召し上がれ 餃子の種類は約30種類。餡は、牛肉×大根、羊肉×香菜×白菜、牛肉×玉葱、鶏肉×ニラ×トウモロコシ、羊肉×ニンジン、豚肉×蓮根、豚肉×香菜、豚肉×フェンネル、豚肉×ピーマンなど実に多彩で、これだ
中国料理で最もよく使われる食材はなにか。それは恐らく、葱と生姜だ。炒め物、煮物、蒸し物、肉の下ゆでなど、多くの料理において、葱と生姜は縁の下の力持ちである。 ゆで湯に入れて肉や魚の臭みをマスキングしたり、炒めて食欲をそそる香りをつけたり、葱と生姜はいつも主役の引き立て役だ。しかし、この2つが主役に躍り出る料理がある。それは、葱油手撕鶏(チキンの葱生姜まみれ:ツォンヨウショウスージー:cōngyóu shǒusījī:葱油手撕鸡)だ。 作り方は実にシンプル。みじん切りの葱、すりおろした生姜に塩と砂糖少々を加え、煙がでるほど熱したピーナッツ油をヂヂヂーッと注いで香りを立てた葱姜油(ツォンジャンヨウ)をつくり、手で裂いた鶏肉を和えるというただそれだけなのだが、恐ろしくおいしい。 葱姜油(ツォンジャンヨウ)。葱、生姜、ピーナッツ油でつくる。白葱でもOKだ。 そもそも葱油手撕鶏(鶏の葱生姜まみれ)の
おいしそうな惣菜がずらりと並んだ台の上から、その日の気分で自分の食べたいおかずを選び、自分だけのお弁当や定食が作れる店。台湾の街中で、こうした飲食店を見たことはありませんか? これは台湾では自助餐(ズジュツァン|zìzhùcān)と呼ばれる飲食店のスタイル。自助餐の「自助」はセルフサービス、「餐」はごはんや食事の意味で、自分で料理を選ぶ食べ放題の店も、この自助餐に含まれます。 台北の自助餐。おかずがずらりと並んだ台。目移りして選べないほど!Photo by Takako Sato 台北の自助餐。肉も野菜も魚も!近くにあったら毎日通ってしまいそう。Photo by Takako Sato 台湾の自助餐。バットの上にお皿が乗っているのがいかにも台湾らしいですね。Photo by Yuka ここ数年間で、日本には魯肉飯、鶏肉飯、台湾料理の弁当を食べられる店がだいぶ増えましたが、ありそうでなかった
中国で食べ歩きをしていると、日本では見たこともない珍しい食材によく出会う。それは実に刺激的な体験だが、それと同じくらい刺激的なのが、よく知っているはずの食材が意外な形で食べられているところに出会ったときだ。 この連載では、「ところ変われば食べ方も変わる。知っている食材の意外な姿!」をテーマに、中国各地で出会った様々な料理をご紹介していく。最終回の今回は、ミント(中国語では、薄荷)についてお送りしたい。 ライター:酒徒(しゅと) 中華料理愛好家。初中国で本場の中華料理に魅入られてから四半世紀、中国各地の食べ歩きがライフワーク。北京・広州・上海に10年間在住し、帰国後は本場で覚えた本格中華料理レシピをnoteや各種SNSで紹介。2023年10月19日に初の著書『あたらしい家中華』を刊行。 X(旧Twitter)@shutozennin note https://note.com/chiji
丸鶏料理というと、手間暇かけて作るご馳走といったイメージがある。しかし実際のところ、丸鶏は手間をかけなくても、ほったらかしでおいしい料理ができる、大変素晴らしい素材である。 なかでもいろいろと合理性のある中国家庭料理において、特におすすめしたい丸鶏料理が、清燉鶏(チンドゥンジー|qīng dùn jī|清炖鸡|※清燉全鶏・清炖全鸡とも)、丸鶏のスープ煮込みだ。 調理道具はほぼ使わず、鍋ひとつででき、難しい調理工程は一切不要。鶏ガラやひき肉でも鶏のスープはとれるが、丸鶏を煮てとった鶏スープの、まあるくふくよかでしっかりとしたうまみといったら、スープを飲むたび「おお…」「ふぁ…」「んん…」「あぁ…」しか言葉が出ない。 もちろん、そこにしっとりと火の通った鶏肉がついてくるのだから、ひとつで二度おいしいというか、鶏肉を満喫するのにこれ以上の料理はない。 そんな清燉鶏(チンドゥンジー)に必要なのはお
ここ数年、日本では魯肉飯の知名度がうなぎのぼり。台湾料理店でなくてもランチで見かけるようになりました。一方、台湾ではよく知られているのに、日本であまり知名度がないごはんものが鶏肉飯(雞肉飯|ジーロウファン|北京語:jīròufàn|台湾語:ke-bah-pn̄g)です。 こういってはなんですが、見た目はかなり地味な鶏肉飯。しかし、ひと口食べてみると、予想外に「美味しい…!」が押し寄せてきます。 しっとりと火を入れた鶏肉に、油葱酥 (ヨウツォンスー|yóucōngsū|揚げエシャロット)と、鶏油の効いたタレがかかった鶏肉は、香ばしく、それでいてしつこくなく、一度この味を知ったらまた食べたくなってしまうはず。 同じ台湾のごはんものでも、豚肉を使った魯肉飯はこってりしていますが、鶏肉飯は比較的あっさりしているので罪悪感がなくていいですね。 台北晴光市場「嘉義雞肉飯」の鶏肉飯(写真提供:mitsu
<ポイント>卵の生臭みを消すために、生姜は使わず、黄酒(紹興酒)を加える。卵は香りが立ち上るまでたっぷりの油で加熱する。トマトは具を兼ねた調味料とするため、水加えて軽く煮て、片栗粉を少々加え、加熱した卵に絡めるように炒める。 ①にんにく、白ねぎをみじん切りにする。 左が白ねぎ、右がにんにく。 香りづけの薬味には、にんにくと白ねぎを使う。中華料理は何かとしょうがを使うが、この料理に関して、李さんはしょうがを使わない。なぜなら「しょうがを使うと“蟹の味”になってしまう」という。 「蟹⁉」と思うかもしれないが、卵と生姜の組み合わせは、たしかに蟹を思わせる要素がある。例を挙げると、西太后のために作られた宮廷料理、賽螃蟹(サイパンシェ)は、鶏卵に生姜を効かせ、蟹のような味わいを出した料理として知られる。 また、秋冬の風物詩、上海蟹を使った料理で、蟹味噌の生臭みを消すためにしょうがを合わせるあの感じ…
「秋茄子は嫁に食わすな」ということわざがあります。 この解釈には「おいしい秋なすを嫁に食べさせてはもったいない」という説や、「秋なすはおいしいので、嫁が食べ過ぎると身体を冷やしてしまうから気を付けよ」などさまざまありますが、いずれにせよ秋茄子はおいしい。そんなイメージがありますよね。 事実、秋なすは夏に収穫されるなすとはちょっと違います。まず、夏のギラギラした日差しが弱まるため、皮が軟らかく、水分が多くて瑞々しい。さらに昼夜の寒暖差がでて、うまみや甘みがでやすいといわれます。 今回はそんな秋なすを使って、レンチンで手軽にできる四川風の中華おつまみ兼おかず、四川風なすの肉巻きをご紹介しましょう。 都内スーパーにて購入。 甜醤油と辣油が香る!四川料理の定番の前菜・雲白肉(うんぱいろう)インスパイア 四川風なすの肉巻きのベースになっているのは、四川料理の定番の前菜、雲白肉(うんぱいろう:云白肉:
この味を覚えたら後戻りできない!魅惑のトマたま麺 どちらかというと、卵よりもトマト優勢のトマト卵炒めに仕立てるのが英英(インイン)式。このまま食べてもトマトのうまみがしっかりとしてたいへん美味なのだが、麺と食べるとその相性に悶絶する。 とはいえ、麺は一般家庭で自作する人は少ないと思うので、ここでは店での作り方をご紹介し、想像を膨らませていただこう。 店では麺片子(短冊形の麺)や爆竹麺(爆竹型の麺)など数種類から好みの麺をリクエストできるが、おすすめはラグメン。下の写真は生地を延ばす前のラグメンだ。1本30gずつ棒状にして、油を塗って、くっつかないように整えてある。 これを手に「じゃ、やるよ!」といったら、数秒でびよーんと麺が伸びる伸びる! 延ばしてたたんで、ペシペシ!と打ち付けたら… ハイできあがり!できたら鍋の中に投入し、ゆで上げた麺を皿に盛る。 こちら、一連の動画でもどうぞ! こうして
<ポイント>中国料理定番の薬味3種類に、生トマト、水煮トマト、砂糖、水を加え、香りとコクを立たせた「食べるトマトソース」をつくる。卵はたっぷりの油でふんわりとまとめ、一度取り出してトマトソースで軽く煮るように仕立てる。 ①にんにく、しょうが、白ねぎをみじん切りにする。 まずは中国料理定番の薬味、にんにく、しょうが、白ねぎを、それぞれみじん切りにする。 にんにくは叩き潰さなくてもいいのか聞いてみると「きゅうりの和え物のように、香りを立てる必要がある料理の場合は叩くけど、この料理は叩かなくていいよ」とのこと。 ②トマトを小さめの乱切りにする。 ヘタを取り除いた後、1個を10片を目安にカットする。同じ10片に切るにも、串切りだと薄過ぎて加熱するとほぼ崩れてしまうし、角切りにすると食べる時にスッと口に入らない。 このような乱切りにすると、炒めたときにしなっと軟らかくなる部分と、食感が残る部分の両方
中国14億人の胃袋を満たす最強の家庭料理 中国の一般家庭で、ほぼどの地域でも作られている料理といえば、トマトと卵の炒めもの(西紅柿炒鶏蛋|西红柿炒鸡蛋)だろう。広大な中国は、地域によって主食が異なり、味付けもガラリと変わるが、トマトと卵は大陸のどこでも手に入りやすい食材で作れるとあって、中国人ならだれでも知っている料理といえる。 とはいえ、どこも同じかというとそうではない。砂糖を入れる派、にんにくを入れる派、炒めてから取り出す派など、細かく見るとそれぞれにこだわりがある。そんななか、見た目でわかる最も大きな違いは「つゆだく」か「つゆなし」かである。 つゆだくORつゆなし、どっちが好き? 「つゆだく」は、たっぷりのトマト汁の中に、炒めた卵と、少々ぐでっとなったトマトが入ったビジュアルがそそる。このタイプは、半分くらい味わったら麺を投入し、セカンドステージを楽しむのが最高of最高。むしろそのた
魯肉飯や小籠包は、日本でもおなじみの台湾の味ですが、もうひとつ、忘れてはいけないのが台湾牛肉麺(台灣牛肉麵)です。牛肉麺というと、中国には甘粛省の蘭州牛肉麺、雲南省の大酥牛肉麺、湖北省の襄陽牛肉麺、広東省の牛腩麺など各地に名物がありますが、台湾の牛肉麺にはどんな特徴があるのでしょうか。 覚えておきたい二つの味。紅焼(ホンシャオ)と清燉(チンドゥン)とは? 中国各地で名物となっている牛肉麺は、味わいの方向性が基本的にひとつであるのに対し、台湾の特徴は、スープの味が何種類かあります。 定番の味は、紅焼(ホンシャオ|hóngshāo)と清燉(チンドゥン|qīngdùn)の2種類。牛骨をベースにスープをしっかりとるのは両者の共通点ですが、紅焼牛肉麺は醤油味に豆板醤やスパイスで風味づけしており、甘じょっぱく、ちょっとスパイシー。清燉牛肉麺はクリアなスープ。生薬が効いているものの、さっぱりとした味わい
日本では、たまごといえば半熟が人気だ。とろとろ、ふわふわは正義であり、癒しである。一方、中国ではたまごにしっかり火を通す。生食の習慣がないからともいえるが、火を通すからこそ際立つ魅力がある。それは香りだ。 とくに、焦げ目がつくまで焼いたたまごは、香りがぐわっと立ちあがる。それはメイラード反応が起きているからだ。 メイラード反応とは、材料に含まれる糖とアミノ化合物が熱されると、メラノイジンという褐色成分を生み出すとともに、さまざまな香りを発することをいう。例えば、肉をフライパンで加熱すると表面が茶色くなり、おいしそうな香り出てくるが、これこそがメイラード反応によるものだ。おいしい茶色、その多くはメイラード反応によるものといっていい。 さらに中国料理の場合、葱やニラなど香りの高い野菜とたまごは定番かつ鉄板の組み合わせである。こうなると、調味料は塩しかいらない。素材から風味も香りも引き出され、余
立春を過ぎたが、寒の戻りで寒い日が続いている。鍋などで温まりたいところだが、鍋の具の定番、白菜を持て余してはいないだろうか。 そこで中国料理の出番だ。中国料理は、野菜をおいしく食べる技の宝庫。白菜ただ一種類でも、主役を張れる料理がある。なかでもすぐ作れて、断トツで白菜を大量に消費できるのが醋溜白菜(ツゥリゥバイツァイ|cùliùbáicài|白菜の黒酢炒め)だ。 たかが白菜4分の1、されど4分の1。 甘酢ととろみは永遠の友達。白菜と酸味は永遠の恋人。 醋溜白菜の醋溜(ツゥリゥ:cùliù)とは、酢の酸味が効いた(=醋)滑らかな食感(=溜)を意味する。味付けは、平たくいうと甘酢の一種だが、酢豚とは違い、甘さよりも酸味が立っている。 このほのかな甘みは重要なポイントで、砂糖の甘味が酸の角を和らげ、ごはんに合うおかずへとがっちりシフトさせている。冷たくて酸っぱい料理は酒のつまみや前菜のイメージだ
羊飼いという言葉は、広大な大地と長い歴史と、異国の風を思わせる。事実、羊飼いは約5,000年前のアナトリア半島(アジア大陸最西部。現在はトルコ共和国のアジア部分)に生まれたといわれ、紀元前からある最も古い職業のひとつだ。 そのせいか「父は内モンゴルの羊飼いです」と言われると、それだけで別世界を感じるのは私だけではあるまい。オーナーシェフのスヨリトさんが、初めて羊を捌いたのは14歳だという。 『草原の料理 スヨリト』の3階の壁には、内モンゴルの風景がペインティングされている。エアコンまで丁寧に塗られており、まさに草原の風が吹く。 生まれた時から羊とともに。羊肉をおいしく食べさせるモンゴル族の知恵 『草原の料理スヨリト』は、中国の内モンゴル自治区烏蘭浩特(ウランホト)出身のスヨリトさんが開いた店だ。 羊飼いであり、料理人でもあった父上の背中を見てこの道を選んだ。現地の調理師学校を卒業した後、初
ツルンと口当たり軽やかで、噛めばモッチリ。食べごたえはしっかりとして、これからの季節にぴったりの中国小吃(軽食)といえば、涼皮(凉皮|リャンピー|liángpí)です。 涼皮は、西安をはじめ陝西省の伝統的かつ代表的な小吃(軽食)のひとつといわれます。主材料は、小麦粉から取り出したデンプンを蒸して麺状に切ったもの(詳しくは3ページ目にて)。これを黒酢やにんにくが入ったたれ、ラー油、きゅうりなどと一緒に混ぜて食べれば、梅雨のジメジメ感も猛暑もなんのその!つるり、ぺろりと食べ切ってしまいます。 日本では、中華物産店のレジ横に平積みされていることが多いので、目にしたこともある方も多いのではないでしょうか。中華料理店の冷菜メニューでも見ることもありますね。 池袋友誼商店レジそばの冷蔵ケースに並ぶリャンピーのパック。 現在、涼皮は陝西省のみならず、中国のより広い地域で食べられており、特に東北地方では「
食べるとぷにゅっとした食感がたまらない肉圓(バーワン|bah-oân ※台湾語)。ジブリ映画の影響もあり、台湾料理のなかでは知名度抜群! 大人気の軽食ですね。 しかし、いったいどうやってこの独特な食感をつくっているのでしょうか。今回は肉圓(バーワン)を深掘りしつつ、都内でおすすめの肉圓が食べられる店、ぷにょぷにょの食感が自宅で再現できるレシピをご紹介します。 肉圓(バーワン)の歴史-福建省泉州から台湾彰化県へ 弾力のあるでんぷんの生地で、豚肉の餡を包んだ肉圓(バーワン)。そのルーツとなる料理は、福建省泉州市の小吃「粉丸(地瓜粉丸)」といわれています。料理が台湾に伝わったのは100年以上前のこと。それが彰化県を中心に独自に進化を遂げ、現在の形になったものと思われます。 「粉丸」は、さつまいもに粘米粉(うるち米の粉)、糯米粉などを加えて生地をつくり、中に肉餡を詰めて団子にし、スープ仕立てで食べ
中国料理FROM天台山!当企画は、2021年にオープンした中国浙江省の山岳リゾートホテル「星野リゾート 嘉助天台(かすけてんだい)」総料理長・山口祐介さんの中国食探訪記です。仏教の聖地・天台山から、ここに住み、食を生業として働く料理人の目線で見た《中国の食》をご紹介します。★1回目から読む方はこちらからどうぞ! 豚バラ肉をじっくり煮込み、プルプルの食感がたまらない杭州名菜・東坡肉(トンポーロウ)と、一口大の肉塊にうまみの凝縮した中国全国区のおかず・紅焼肉(ホンシャオロウ)。 前編では、同じ角煮といっても似て非なる両者の特徴をご紹介しましたが、この後編ではそれぞれの作り方をご紹介します。これを読めば、あなたも角煮名人に! ▶前編から読む:中国二大「豚の角煮」の違いに迫る!東坡肉(トンポーロウ)と紅焼肉(ホンシャオロウ)|山口祐介の江南食巡り④ 水は使わず紹興酒で煮込む!本場杭州の東坡肉(トン
中国料理FROM天台山!当企画は、2021年にオープンした中国浙江省の山岳リゾートホテル「星野リゾート 嘉助天台(かすけてんだい)」総料理長・山口祐介さんの中国食探訪記です。仏教の聖地・天台山から、ここに住み、食を生業として働く料理人の目線で見た《中国の食》をご紹介します。★1回目から読む方はこちらからどうぞ! ★福建の旅前編「海鮮が呼んでいる!長崎ちゃんぽんのルーツに出会う福建省福清市」から読む方はこちらからどうぞ。 中国料理で、圧倒的に贅を尽くしたスープといえば佛跳墻(ぶっちょうしょう|fótiàoqiáng|フォーティャオチァン ※佛跳牆の表記もあり)でしょう。 丸みを帯びた壺の中に、干し鮑、ふかひれ、なまこ、魚の浮袋、干し貝柱などの高級乾物がぎっしり。仕込みには何日もかかり、長時間かけて山海の美味から食材のエキスを抽出したスープは、幾重にも旨みが折り重なる贅沢なうまみに満ちています
日本では、焼肉店のシメや盛岡名物のイメージも強い冷麺だが、実は中国料理でも冷麺のファンは少なくない。それは「中国十大面条(中国十大麺)」にも数えられる延吉冷麺(延吉冷面:イェンジーランミェン:yánjílěngmiàn)である。 キリッと冷えた甘酸っぱい牛スープをゴクリと飲み、細くコシのある麺を啜れば、蒸し暑い夏でも脳天までスッキリ。冷麺醤(냉면장:ネンミョンジャン)などと呼ばれる唐辛子と香味野菜のペーストをスープに溶かせば、コクと辛さがみるみる広がり、さらなる奥行きが感じられるのも味わい深い。きっと、韓国料理店で水冷麺(물냉면:ムルネンミョン)を食べ慣れた人からすると「こんな冷麺もあったのか!」と思うはずだ。 そんな延吉冷麺の故郷は中国東北地方にある。省の南方をロシアおよび北朝鮮と接する吉林省(きつりんしょう)だ。 なかでも延辺朝鮮族自治州(연변조선족자치주)はそのメッカ。南方約522.
「池袋で中華を食べよう」となると、まず足が向かうのは池袋駅駅西口から北口エリア。 これまで80C(ハオチー)で紹介してきた店の中でも、冒菜定食の『蜀簽(しょくせん)』、ドクダミ料理を紹介した『品品香(ピンピンシャン)」』、ハラル中華『阿麗婭(アリヤ)』、煎餅果子も出している『串串香麻辣湯』や『阿蘇米線』 、肉まんがおいしい『章記点心』 といったように、このエリアには多くの魅力ある中華料理店が登場。 しかし最近は、東口も中華が熱い!『四川魚料理 蜀魚記(しょくうおき)』は、新たな“熱”の発源地として、池袋東口での存在感をじわじわ大きくしています。 多彩な四川の魚料理を調理するのは、都内の四川料理店などで腕を振るってきた5人の四川人厨師(料理人)。料理長は、2019年10月「麻哥麺(マーゴーめん)」で80C(ハオチー)に登場した、馬さんです! 3月15日のプレオープンから、いち早く情報をキャッ
中華圏では、同じ調理法による料理や食材でも、地域や民族よって呼び名が変わることも多々。特に繁体字を使用する台湾や香港は、大陸の食文化とはまた違った美味の世界が広がっています。2022年から新たに始まるはっしーさんの記事では、そんな繁体字文化圏の食文化を中心にご紹介していきます。 TEXT&PHOTO:はっしー 学生時代に中華圏の近代史を学び、中華POPSを愛聴。上海および香港在住を経て、現在は日本在住。中華料理は食べる専門だったのが、作るほうにも目を向けるようになったのはここ数年。上海界隈から南の沿岸部、香港、マカオ、台湾の味が好み。 中華圏のおやつ「豆花(トウファ)」とは? 数ある中華おやつの中でも、人気がでてほしいと思う中華おやつが豆花(トウファ)です。想像以上に甘さ控えめで、トッピングは豆類や芋圓(さつまいも団子)など健康的なものが多いのが特徴。私自身、豆花が好きで、なにを隠そう豆花
ホーム 中華レストラン 中華レシピ|日本の土鍋でできる!香港名物・煲仔飯(ボウジャイファン)の作り方を銀座「喜記(ヘイゲイ)」で教わってきた 鶏肉と干し椎茸でつくる北菇滑鶏煲仔飯(鶏もも肉と椎茸の香港式土鍋ごはん)の作り方 今回ご紹介するのは、材料を入手しやすくお財布にもやさしい、鶏もも肉と干し椎茸の煲仔飯(ボウジャイファン)。 プロセスは ①具を炒める→②米を炊く→③具をのせる→④おこげをつける という4ステップだ。米を炊く時間は累計で13~15分、コンロの前で火加減を見ていたら、あっという間に炊き上がる。 北菇滑鶏煲仔飯(鶏もも肉と椎茸の香港式土鍋ごはん)のレシピ(7号または6号の土鍋1つ分|2~4人前) <米の準備> 長粒米 200g ※ここではタイ産ジャスミンライスを使用 水 200g 塩 1g(ひとつまみ) サラダ油 3g <具> 鶏もも肉 75g 干し椎茸(水で戻したもの)10
ホーム 中華レストラン 中華レシピ|日本の土鍋でできる!香港名物・煲仔飯(ボウジャイファン)の作り方を銀座「喜記(ヘイゲイ)」で教わってきた 世界三大炊き込みごはんを選べるなら、パエリア、ビリヤニ、煲仔飯(ボウジャイファン)を推したい。 生米と具を素焼きの土鍋で炊き上げ、タレをかけて食べる煲仔飯は、香港の冬の風物詩だ。ずらりと並んだコンロの上で土鍋を勢いよく熱する光景は、食いしん坊じゃなくても惹きつけられるものがある。 蓋を取り、湯気とともに立ち上るのは、香ばしいジャスミンライスと具が織りなす芳香。甘じょっぱいタレをごはんとともに上下かき混ぜれば、もう言葉はいらない。 香港「坤記煲仔小菜」は煲仔飯の人気店。この画像を撮影した2015年当時で25種類の煲仔飯がありました。Photo by サトタカ 臘味田雞飯(腸詰・広東式腊肉・カエルの組み合わせ|当時の価格で90香港ドル=1,440円)Ph
『寶山道(バオシャンダオ:宝山道)佳味旅遊』は、店主の体調が芳しくないため、しばらく休業となります。※2022年8月26日編集部追記 中国人オーナーシェフの店では、表に出ているメニューと、メニューにはない、いわゆる「裏メニュー」にかなりギャップがある場合がある。 つまりこういうことだ。店が日本人向けにメニュー化している麻婆豆腐やエビチリをランチセットで食べるのと、客が「料理長が本当に作りたい料理をおまかせで!」とお願いして食べるのとでは、まったく違う世界が体験できる可能性がある。 多くの場合、裏メニューは料理人が得意な料理だが、日本人に知名度が低く、表に出していても注文されない。荒川区にある「寶山道(バオシャンダオ:宝山道)佳味旅遊」も例に漏れず、従来の「表メニュー」は店の本領ではなかった。 しかし、長年封印されてきたこの店の「裏メニュー」が、今まさに“オモテ化”されようとしている。それが
中国料理の秋冬の風物詩といえば上海蟹。「菊黄蟹肥(菊の花の季節に蟹が肥える)」という言葉のとおり、10月半ばにもなると、市場(しじょう)には身の詰まった食べごろの蟹が出てきます。 本格的な入荷は9月下旬から始まっており、2021年、レストランでは10月第2週から提供を始めたところが多い模様。しかし上海蟹ってそもそもなんなの? なにをどう楽しむの? どこで食べるの? と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。 そこで80C(ハオチー)では、改めて上海蟹の基本的な情報と、上海蟹が食べられるお店についてご紹介します。 上海蟹とは何か? そもそも上海蟹とは何なのか?というと、イワガニ科モクズガニ属のチュウゴクモクズガニです。 中国での正式名称は大闸蟹(大閘蟹|dazhaxie|ダージャーシエ)。爪の周りに藻のような毛がふさふさ生えていることから、毛蟹、老毛蟹とも呼ばれます。 主な産地は揚子江下流
「羊名人」×「やみつきスパイス」=「やみつき名人」!? 家で羊肉を美味しく食べるためのクミン入り調味スパイス塩「羊名人」と、サイゼリヤのアロスティチーニ(羊肉の串焼き)についていて、持ち帰りもできる「やみつきスパイス」。 SNSでたびたび目にする「似ている」という声から、同じ材料でラム肉と野菜の炒めものを作って比較してみたところ、なんと「混ぜるとおいしい」という結論に。(詳しくは前回の記事「『羊名人』とサイゼリヤの『やみつきスパイス』が似ているという噂は本当か?」にてどうぞ) その記事を見て「やみつき名人」(\ぱぶりすと!/ @publistさん)というつぶやきも登場。たしかに、スパイス強めの「羊名人」に、塩味強めの「やみつきスパイス」を混ぜると、絶妙な塩加減で、エキゾチックながら落ち着きのある味わいが誕生。やみつきの味とはまさにこれ! 「羊名人」と「やみつきスパイス」の羊野菜炒め。ラムも
中華好きにはすっかりお馴染みの、中華料理店ひしめく池袋駅北口〜西口エリア。駅前の密集地帯を抜け、劇場通りを渡った先の「池袋二丁目交差点」近くに、街の人々の胃袋をやさしく支える点心屋さんがあります。 店の名前は「章記点心(しょうきてんしん)」。小さな窓口の店頭にはメニューがびっしり貼ってあり、突如対面したら、圧倒されて迷ってしまいそうなほど。2021年9月下旬現在、イートインは休止中で、テイクアウトとデリバリーのみで営業されています。 「章記点心」を味わい尽くす3つのポイント 「章記点心」では中国のさまざまな点心が食べられますが、ここでは3つの切り口から店の楽しみ方をご紹介しましょう。 ①中国の祝祭日グルメ「月餅」「青団」「粽」を楽しむ 中秋節には月餅を、清明節には青団を、端午節には粽を! 中国の伝統祝祭日(節日)にちなんだ行事食が気軽に楽しめるのはこの店ならでは。 毎年、節日を迎える少し前
2021年の中秋節(ちゅうしゅうせつ)は9月21日(旧暦8月15日)。中華圏では中秋の名月にちなみ、月餅(moon cake)を贈り合い、皆で食卓を囲む大切な祝日になっています。 そして月餅といえば、昨年注目を集めた記事が、横浜中華街の月餅食べ比べ。「トータル1万kcal超?マイベスト月餅はこれだ!」と題し、14店舗15種類の月餅を5人が食べ比べた結果、老舗「翠香園(すいこうえん)」の金華ハム入り月餅が圧倒的な支持を集めたのです。 そこで今年、2021年は「翠香園」が今の時期だけ販売する、限定の中秋月餅にぐぐっとフォーカス。大女将の梁笑英(りょう しょうえい)さん、次女の盧順好(ろ じゅんこう)さんにうかがった昔ばなしを交えながら、こだわりの月餅についてご紹介します。 市場通りで約1世紀。横浜中華街最古参の中華菓子舗 「翠香園」の歴史は長く、横浜中華街の店の中でも最古参のひとつ。はじまりは
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