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中国は2021年3月5日、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)を開き、李克強首相が例年通りに政府活動報告を行った。筆者は、その中で大気汚染がどのように取り上げられるのかに注目した。 中国の環境問題は「公害のデパート」ともいわれるが、大気汚染はその中でも特に深刻なイメージがある。首都北京では2013~2015年ごろ、秋~冬にかけて街中がスモッグで真っ白になり、近くにあるビルさえ見えなくなった。人々が口を覆って歩いている映像をテレビで見た人も多いだろう。あれから数年経って、中国の大気汚染は改善したのだろうか。 スモッグで霞む街(2014年2月26日午後2時) (提供)染野憲治氏 「政府活動報告」で記述が急減した大気汚染 政府活動報告を読むと、かつては主要課題として単独でとり上げられていた大気汚染についての記述が、急速に減っていた。さらに今回は「青い空、澄んだ水、きれいな土を守る戦いを継続する
2月半ばから3月上旬にかけて円安が進行し、一時は1ドル=150円を超える水準となった。足元では、若干円高方向に戻しているが、それでもなお、昨年の同時期と比べれば15円程度の円安だ。円安が進む局面で市場関係者が強く意識するのが、政府・日銀による円安阻止のための市場介入である(注1)。当局が介入の構えを見せると、市場やメディアではしばしば「介入警戒感」という言葉が取り沙汰されるが、市場参加者の中には介入を「警戒」しているのではなく、「期待」している向きもあるのをご存じだろうか。為替介入を巡る心理戦の実態と、政策的意義を解き明かしてみた。 急激な円安と「口先介入」 ドル円相場は昨年、年初の1ドル=130円近傍から大きく円安に振れた。10月末には150円台まで円安が進み、財務省は円安阻止のための「口先介入」に出た。11月1日、為替介入を指揮する神田真人財務官は、「過度な変動にはあらゆる手段を排除せ
2022年の世界情勢を占う上で、中国共産党の首脳人事は最も注目すべき要因の1つになる。5年に1度の共産党全国代表大会と、中央委員会第1回全体会議(1中全会)が今秋開催、新指導部が決定される。最大の焦点は、党総書記の習近平が続投するか否か。「2期10年」という任期上限の慣例を破り、異例の3期目に入る可能性が高まっている。(敬称略) その布石と指摘されるのが、2021年11月の第19期中央委員会第6回全体会議(6中全会)で採択された「歴史決議」(=党の100年にわたる奮闘の重大な成果と歴史経験に関する決議)だ。過去の政治路線や思想について総括し新たな方針を示すもので、これまで毛沢東(1945年)と鄧小平(1981年)の下でしか決議されていない。実に40年ぶりとなった今回の「第3の歴史決議」では、鄧が掲げた「集団指導体制」「個人崇拝の禁止」が削除された。 果たして習路線はどこへ向かうのか。本稿で
インターネット上に構築されるメタバース(三次元の仮想世界)をめぐり、関心が急速に高まってきた。2021年10月、インターネット交流サイト(SNS)最大手のフェイスブック(FB)が事業の軸足をSNSからメタバースに移し、社名までもメタ・プラットフォームズ(メタ)に変更すると発表した。それを境に、メタバースの認知度が一気に上昇したように思う。 足元の出版業界では、メタバース関連の書籍刊行ラッシュが始まり、雑誌も特集の編集に追われる。しかし、メタが「超えた」を、バースがユニバースの一部で「世界」をそれぞれ意味するから、その定義は「リアルを超えるバーチャルな世界」と説明されても、分かったような分からないような...。 こうした中、良質の入門書に巡り合った。岡嶋裕史・中央大学国際情報学部教授の近著「メタバースとは何か」(光文社新書)である。同氏は「重度のオタク」を自任するほどSNSやゲームに造詣が深
18年前、埼玉の小中学校で起こった「ミステリー 1996年6月、原因不明の下痢が埼玉県越生(おごせ)町の小中学校で多数発生しているとの情報が、県の保健所に寄せられた。集団食中毒の疑いもあり、学校給食や水道水、井戸水などの検査が即座に実施されたが、食中毒を引き起こす菌やウイルスは一切検出されなかった。 ところが、一般家庭でも同様の症状を訴える者が続出した。まるでミステリー小説のような展開である。発症者全員が同じ水道水を利用していたため、改めて詳しい検査が行われた。 その結果、「クリプトスポリジウム」という、一般には知られていない病原微生物が患者の便や水道水から検出された。被害者は8000人を超え、実に当時の町の人口の6割強。これが、水道水を介したクリプト集団感染事件の国内第1号となった。 それから18年。今、「水道水の水質問題で何に一番気をつけていますか」と全国の水道局長に尋ねると、間違いな
「紙離れ」が続いている。経済産業省が先に公表した「生産動態統計調査」によれば、新聞巻取紙(=新聞用紙)、印刷・情報用紙、包装用紙、衛生用紙、雑種紙を合計した「紙」の2020年販売数量は前年比14%減の1120万トンに落ち込んだ。一方、段ボール原紙は前年比1%増の910万トンと底堅い。コロナ禍で宅配便需要の拡大が下支えしたようだ。 紙の中でも、新聞用紙は前年比13%減の209万トン。ピークだった2007年の380万トンから、13年間でほぼ半減した。インターネット全盛でスマートフォンやタブレットからニュースを簡単に見られるようになり、「新聞離れ」には歯止めが掛からない。 また、オフィスなどで印刷に使われる「情報用紙」は前年比12%減の104万トン。リーマン・ショックの影響で落ち込んだ2009年以降、ほぼ横ばいで推移していたが、コロナ禍で大幅に減少した。在宅勤務を主体とするリモートワークが急速に
「紙離れ」が止まらない。日本製紙連合会が2023年1月20日に発表した「紙・板紙内需見通し報告」によれば、22年の紙の内需(新聞用紙、印刷・情報用紙、包装用紙、衛生用紙の推計)は前年比2.8%減った。23年はさらに5.0%減の1080万トンまで落ち込むと予測する。人口減少に加え、企業のペーパーレス推進などデジタル化が加速しているためだ。二千年を超える歴史を持つ紙媒体は、このままデジタル化の波に飲まれ消えて行く運命なのだろうか。 こんな疑問を胸に、世界の学術論文などを調べてみると、「記憶・感情への働きかけが必要な場合は紙が優位」との分析が示されていた。今後も紙が長く生き残る姿を垣間見た気がした。 新聞用紙、印刷・情報用紙の需要(出所)日本製紙連合会 世界の文献を調査 筆者の実感でも、紙からデジタルへの移行は急速に進んでいる。一方で、電子より紙の方が便利だと感じる場面も少なくない。つまり、紙を
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)はIPCC第6次統合報告書を3月に公表した。現在の温室効果ガス排出量の削減ペースでは、地球温暖化を1.5℃以下に抑えるパリ協定の目標は達成できそうにない。そんな現状を再認識させる内容で「状況は想像以上に悪化している」と警鐘を鳴らした。その上、各国の排出量は国連に報告している数値よりも多い可能性が指摘されている。排出量削減ロードマップのベースが崩れる事態にもつながるだけに、温暖化対策の取り組み強化に向けた議論にも一石を投じそうだ。 (出所)IPCC第6次統合報告書を基に作成 これからの10年間、我々人類がどれだけ取り組みを強化できるかによって未来の地球環境が決まってくる。報告書の公表を受け、各国は地球温暖化対策の見直しを余儀なくされるだろう。そのためにも、地球温暖化の要因である温室効果ガス排出量を正しく把握することがこれまで以上に重要となる。 実
「一体いくらに設定すればいいのか?」―。2017年秋、アナリストを抱える証券会社の幹部たちは、一様にある問題に頭を痛めていた。欧州連合(EU)が2018年1月から実施する金融・資本市場への包括的な新規則「第2次金融商品市場指令(Markets in Financial Instruments Directive 2=MiFID2)」である。機関投資家に情報提供してきたアナリストのリサーチ費用の有料化が義務付けられ、そのスタートが迫ってきていたからだ。 これまでアナリストのリサーチ費用は、機関投資家から受け取る売買手数料の中に含まれるケースが大半で、顧客に対するサービスと位置づけるところもあった。それが別建てとなることで、「料金表」の設定に追われたというわけだ。 証券会社のアナリストといえば、担当する企業・業界の動向に精通し、高度な分析とそれに基づく独自の見通しといった付加価値の高い情報を提
「気泡(バブル)」と聞いて、何が思い浮かぶだろうか? 「空気を含んだ丸いもの」というイメージからは、シャボン玉、コーラの炭酸、ジャグジー、風船ガム...。「弾けて消えてしまうもの」なら、急ピッチで上昇を続ける局面の株価かもしれない。 広辞苑(岩波書店)によると、気泡は「液体または固体中にあって気体を含む微小部分」と定義される。でも何だかよく分からない。そこで気泡に詳しい、国立研究開発法人・産業技術総合研究所の綾信博・上席イノベーションコーディネータを取材した。 産業技術総合研究所の綾信博・上席イノベーションコーディネータ (写真) 筆者 RICOH GR 使用 約120年前に始まった気泡の研究 綾氏によると、気泡の研究は約120年前にさかのぼるという。当時、船の推進装置が水車からスクリューに代わり、海上交通の高速化が始まっていた。 その一方で、スクリューの回転時に発生する泡が原因で、①船が
近年、資本コストを意識した経営が求められるようになってきた。コーポレートガバナンスコード(企業統治指針)にもそれが盛り込まれるなど、企業は何らかの対応を迫られている。これを反映する形でROE(自己資本利益率)に加え、ROIC(投下資本利益率)を経営指標の1つとして導入・開示する企業が増えている。 筆者も、リコーが2022年度から社内カンパニー制(ビジネスユニット=BU制)に移行する際に、ROIC導入準備に一部携わったことがある。さらに15年ほどさかのぼると、2007年に4つのビジネスユニット(上記のBU単位とは異なる)から成るある新規事業立ち上げに伴って、事業の組み替えや利益の極大化を図る「事業ポートフォリオマネジメント」にも従事した。 そこで本稿では筆者の経験や各社の状況なども踏まえて、事業ポートフォリオマネジメントにおいてROIC経営をどう活かすべきか、考察してみたい。 そもそもROI
日本危機管理学会は2021年12月19日、安全保障研究部会(部会長・下平拓哉常任理事、事業構想大学院大学教授)の2021年度第2回会合をオンライン形式で開いた。下平氏が「新領域における新たな戦い方」をテーマに講演し、米軍などで導入が進む人工知能(AI)やドローンを駆使する「モザイク戦」について詳しく解説した。 下平拓哉氏の講演テーマ「新領域における新たな戦い方」 (提供)下平拓哉氏 下平氏はまず、モザイク戦を定義。従来の「陸海空」に加え、宇宙やサイバー空間も含めた「すべての領域」において、既存の軍事的能力と新たな低コストの無人システムを組み合わせながら、より効果を高めるために戦術的、作戦的、そして戦域的な「効果的ウェブ(effects webs)」を構築することだと説明した。 また、モザイク戦は人間の指揮と、機械のコントロールによって分散した兵力を迅速に構成・再構成することを通じ、軍の適応
輸出主導で戦後の高度成長を遂げた日本経済―その主役を担った製造業にとって、為替相場の変動は経営を左右する大きなファクターであり続けた。 ロシアによるウクライナ侵攻以降、為替相場で円安が急速に進んだ。直接の原因は、インフレに対応するため利上げを行う欧米と、金融緩和を継続する日本の間の金融政策スタンスの違いにあるが、折からの国際的なエネルギー・食料価格上昇と相まって、国民の間で円安に対する不満が広がった。 歴史を振り返ると、後述する1971年8月の「ニクソンショック」以降、円高への対応が日本にとって大きな課題となってきた。円安への本格的な批判は、初めてのことかもしれない。 本稿は、Ⅰ章でニクソンショック以降、最近に至るまでのドル円相場の動きを振り返る。Ⅱ章で、為替相場の変動を受けた日本企業の行動変化や、日本経済への影響を整理する。Ⅲ章で、もし長きにわたった円高局面が終焉しつつあるとしたら―とい
石麻呂にわれもの申す 夏痩せに良しというものぞ 鰻(むなぎ)捕りめせ 日本最古の歌集「万葉集」の中に、ウナギが登場するのをご存知だろうか?詠み人は三十六歌仙の一人である大伴家持。現代語訳すれば、「石麻呂さん、夏痩せにはウナギがいいらしいですよ。一つ捕って食べたらどうですか」― どうやら奈良時代から、ウナギは精のつく食べ物として、日本人に親しまれていたらしい。それどころか、東京湾周辺や利根川下流域の約5000年前の縄文時代の貝塚からも、ウナギの骨が多数出土している。スズキやボラ、コチとともに、古代の日本人にとって代表的な食用魚だったようだ。 21世紀になっても、ウナギは日本の食卓には欠かせない存在。「土用の丑」の日(今夏は7月30日)が近づくと、ウナギ専門店だけでなく、デパ地下やスーパーの魚売り場にも蒲焼が所狭しと並ぶ。牛丼チェーンやコンビニまでもが、ウナギのメニューを競い合う。日本の夏の風
【編集部から】リコーグループは2021年6月を「リコーグローバルSDGsアクション月間」と定めました。 当研究所もSDGs関連のコラムを公開致しますので、御愛読のほどお願い申し上げます。 技術革新によってわれわれの生活はより快適になるばかりか、有り様が一変することも少なくない。「食」の世界では今、まさにその変化が始まっている。 山形大学有機材料システムフロンティアセンターの川上勝准教授は、「3Dフードプリンター」を使ってこうした技術革新を目指している。このプリンターは、食品をあたかも印刷するように造形する機器である。 川上准教授らは介護食関連の企業と連携し、高齢者向け介護食の造形に取り組んでいる。介護食は通常、栄養素・カロリー情報・噛む力などを勘案しながら、要介護者の事情に応じて準備される。介護士や家族などの介護者が食事の都度、食材をミキサーで砕き、ゲル化剤を混ぜて硬さを調整する必要がある
米フロリダ州のケネディ宇宙センター。現地時間の2020年11月15日午後7時半、全長70メートルもある巨大ロケット「ファルコン9」が打ち上げられ、爆音を立てながら漆黒の天空へ吸い込まれていく。ロケット先頭部分に搭載された有人宇宙船「クルードラゴン」が、野口聡一氏を含む宇宙飛行士4人を国際宇宙ステーション(ISS)に無事送り届けた。 この巨大ロケットから有人宇宙船、管制業務まで一貫して担うのが、民間の宇宙関連企業スペースXだ。創業したのは、イーロン・マスク氏。世界最大の電気自動車(EV)メーカー、テスラも率いる米国有数の実業家だ。マスク氏は地下トンネルによる新交通システム構想をぶち上げたり、脳とコンピューターをつなぐ技術を開発したりなど、奇想天外な発想力や疾風怒濤の行動力、苛烈なまでの事業意欲から「次のスティーブ・ジョブズ」の異名を取る。 ⽶ブルームバーグの⻑者番付によると、マスク⽒の純資産
新型コロナウイルスの変異株「オミクロン」が、観光業界の需要回復期待に冷や水を浴びせた。その感染力の高さが報じられると、政府は2021年11月30日に外国人の新規入国を原則停止。2022年1月中の「GoToトラベル」再開にも不透明感が増す。しかしこうした苦境の中でも、観光産業復活につながるアイデアが生まれている。 観光産業を直撃したコロナ禍 コロナ禍は世界の観光産業を直撃した。国連世界観光機関(UNWTO)によると、2021年1~9月累計の国際観光客数は、コロナ禍前の2019年同期比で76%減。現在も多くの国が外国人観光客の受け入れを事実上凍結している。 日本も例外ではない。日本政府観光局(JNTO)によると、2021年10月の訪日外客数は2万2100人。コロナ禍前の2019年同月比で実に99%減、インバウンド需要は消失したままだ。 国内観光消費額の76%を占める日本人の需要も低迷が続く。観
ふるさと【故郷・古里・故里】①生まれ育った土地。故郷(こきょう)。②(比喩的に)精神的なよりどころ。以下略...(「大辞林」三省堂) 「ふるさと」の4文字には、他の言葉には置き換え難い、心を打つ響きがある。日が暮れるまで遊んだ海山川、部活動に汗を流した校庭、都会へ向かう列車が発車する駅ホーム...。ふるさとのイメージは人によってさまざまだが、心の中の「よりどころ」には変わりない。 東京生まれの筆者の場合、それが渋谷駅に隣接したデパートになる。その東急百貨店東横店は2020年3月、85年間の使命を終えて閉店。だけど、お好み食堂や模型売り場の思い出はセピア色に染まり、心の中で輝き続ける。 今、グーグルで「ふるさと」を検索すると、まず出てくるのが、ふるさと納税仲介サイト「ふるさとチョイス」である。「兎(うさぎ)追ひし彼の山...」で始まる唱歌「ふるさと」を除くと、ふるさと納税の関連ワードが検索上
「あれっ!こんなところを間違えてるよ」―。パソコン画面上で何回も確認して間違いがなかったのに、紙に印刷すると原稿のミスが...。こんな経験はだれにでもあるが、その理由がよく分からない。 画面よりも紙のほうが、間違いに気がつきやすい。これは今まで何となく経験してきた真理だ。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、リモートワークを始めてからは、より一層それを強く感じる。リモートワークではプリンターが無かったり、あってもその能力不足で印刷に手間取ったり。だから、紙でのチェックを怠りがちになり、ミスが生じて後で大きなしっぺ返しを食らう。 もちろんできる限り間違いを減らし、仕事はスムーズに進めたい。紙と画面それぞれにおける、脳の働き方の違いなどを調べた上で、両者の使い分けを考察してみた。 「分析」の紙vs「パターン認識」の画面 メディア批評の先駆者、カナダのマーシャル・マクルーハン(1911~1980年
国連が定めた17の持続可能な開発目標(SDGs)は、人類の幸福を実現するために「解決すべき課題」である。だが逆に言えば、簡単には「解決できない課題」だからこそ目標として掲げられているのだ。どの目標を見ても、単一の学問分野で解決策を構築することは難しい。工学、教育、医薬、法律、経済、心理...。さまざまな知の組み合わせ、新しい学問体系を生み出すことも必要になるだろう。 例えば、SDGsの1番目の「貧困をなくそう」。最初に掲げるにふさわしい目標だが、解決策はどうだろうか。「工学」で生活必需品の生産性を上げればよいのか。「商学」で「お金を生む仕事を創造」すればよいのか。「教育」で知の水準を上げなければいけないのか...。そもそも会社のルールに従い、時間を提供している自分は「時間的な貧困者」なのかもしれない...。などと考えていると、隘路(あいろ)に入り込んでしまう。 量・質ともに劣化する日本の研
厚生労働省は2020年6月19日、接触確認アプリCOCOA(COVID-19 Contact-Confirming Application=ココア)をリリースした。スマートフォンにインストールしておくと、新型コロナウイルスに感染した人との接触情報を知らせてくれるという。筆者がリリース翌日使い始めると、8月末に接触通知を受け取り、PCR検査をすることになった。この3カ月余、アプリを使った感想と見えてきた課題をまとめた。 「ウイルスにさらされた可能性があります」―。8月28日(金)未明、スマホでメールをチェックしている最中、突然プッシュ通知が現れた。「まさか!」。一気に鼓動が速くなった。どのアプリからの通知なのか、確認する間も無く消えてしまった。だが、心当たりは1つしかない。2カ月前に入れたCOCOAだ。 あわててアプリを開いてみると、「陽性者との接触は確認されませんでした」との表示が...。
「次世代ロボット」と聞いて、どんな姿を想像するだろう。「鉄腕アトム」や「ドラえもん」など、人間以上の知能を持つアニメのキャラクターか。それとも「ガンダム」のような戦闘マシンか。しかし、そのどれとも違う〈弱いロボット〉の研究が進んでいると聞いて、取材に向かった。 とある大学の研究室。ごみ箱がよたよたと近づいて来た。どうやらごみを拾うことができないので、代わりにやってほしいらしい。落ちていた空き缶をひょいと拾って入れると、お辞儀をした後、他のごみを探しにどこかへ去っていった。 別の方向に目を向けると、小さな人型ロボットがおどおどしながらティッシュを配ろうとしていた。普段、街中ではあまりティッシュは受け取らないが、おどおどする姿を見ると思わず手を差し伸べてしまう。 ティッシュを配る「アイ・ボーンズ」 ここは豊橋技術科学大学(愛知県豊橋市)の岡田美智男研究室だ。岡田教授は人とロボットのコミュニケー
「自然素材からできているので安心・安全です」 「リサイクル原料からできているので環境にやさしい商品です」 買い物に行くと、こんな宣伝文句をよく目にするのではないだろうか。常識的な内容に見えるが、もしテストで「正しいかどうか〇☓で示せ」と問われたら、私は☓を選ぶ。 前者については、そもそも自然素材で毒性がないものは水ぐらい。自然物でも人工物でも、使い方を誤れば安全なものはない。逆に、使い方さえ誤らなければ、人工物でもほとんどのものは安全に利用できる。 例えば、肺がんなどの原因になり、世界で年間10万人以上の死者を出すとされるアスベスト(石綿)も自然の鉱物だ。日本でも山によってはハイキングコースで見ることができる。知らずに触れている方も多いかもしれない。 これは植物素材についても当てはまる。すべてが人に優しいかというと、毒性のあるものは意外に多い。一部の芥子(けし)の実から取れるアヘンは、精製
2020年09月09日 withコロナ時代だから...音楽と感動を届けたい リコーインダストリー㈱IP生産事業部IP生産統括センター生産戦略室生産戦略G 元リコー経済社会研究所 研究員 清水 康隆
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