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上達したいなら頻繁に休んだほうがいいかもしれません。 2021年にアメリカの国立衛生研究所(NINDS)の研究チームは、ピアノのような新しいスキルを習得する練習では、頻繁な休憩を行う方が効果的な上達ができるという研究結果を報告しました。 またこの研究では、スキルの上達は練習中には起こらず、休憩中にのみ発生することが示されています。 新しい技術を習得しようとすると、私たちの脳内ではどのようなことが起こっているのでしょうか? この研究にかんする論文は、2021年6月8日付で科学雑誌『Cell Reports』に掲載されています。
感情を強制起動する脳のツボ脳に電気刺激を与えてうつ病を治す技術が大幅な進歩をみせている / Credit:Canva脳は心臓と同じく、電気的な臓器です。 そのため近年、うつ病患者に対して脳に電気刺激を行う手法が着目されています。 ただ既存の電気刺激法は非常に大味であり、脳全体に大電流を流す方法がメインでした。 そこでカリフォルニア大学の研究者たちは、5年もの長期に及ぶ臨床試験の結果を元に「神経マッピング技術」を開発しました。 この神経マッピング技術は脳の各地に差し込んだ電極から、患者一人一人の神経回路の特性を認識し、その患者にとって最適な治療部位(刺激場所)をピンポイントで探し出すように設計されています。 そして今回、マッピング技術の性能を確かめるために、難治性うつ病に苦しむ36歳の女性患者に対して、はじめての試験が行われました。 その結果は、まさに驚きでした。 女性患者は覚えている限り5
コロナ禍において人類は、2種類のウイルスと戦っていました。 最近、World Organizationの研究者たちにより『Pathogens』に掲載された論文によれば、新型コロナウイルスによる長引く後遺症が「EBウイルス」と呼ばれる、既に体内にある別のウイルスの再活性化によって引き起こされていることが示されました。 新型コロナウイルスに感染すると、体内で潜伏状態にあったEBウイルスが目を覚まし、「脳の霧」に代表される、長期的な後遺症を発症させていたようです。 つまり人類が戦っていたのは、新型コロナウイルスとEBウイルスの両方だった可能性が高いのです。 人類の体内に潜むEBウイルスとはどんなウイルスなのか? そしてEBウイルスが新型コロナウイルスによって目覚めるのは、なぜなのでしょうか?
セロトニン不足はどのように意欲を低下させるのか?セロトニン不足はどのように意欲を低下させるのか? / Credit: canvaセロトニンは私たちの「やる気」や「元気」と深く関わる物質です。 セロトニンレベルが低下すると、気分や意欲が落ち込むだけでなく、イラつきを引き起こしたり、行動にかかるコストに敏感になるなど、様々な面で悪影響を起こすことが報告されています。 他方で、セロトニンを増やす薬はうつ病に見られる不安や意欲低下の治療薬として用いられています。 しかし「セロトニンの低下がどのようなプロセスで意欲生成を阻害し、やる気の低下に繋がるのか」という詳しい仕組みは解明されていません。 また脳内に10種類を超えるとされるセロトニン受容体のうち、どれがこの仕組みに関係しているかも不明です。 現状の治療薬は即効性が低いという問題点があり、これらの仕組みの理解はその改善に役立つと期待されています。
エジソンと電力戦争を繰り広げたことでも有名な科学者ニコラ・テスラ。 彼は100年前に、可動部品を利用せずに形状だけで流体の方向を制御する独創的なバルブの特許を取得しています。 ニューヨーク大学の研究チームは、これまで本格的な研究がされていなかった、この通称「テスラバルブ」の流体力学を徹底調査し、これまで知られていなかった新しい機能や現代でも通用する有用性を明らかにしたと報告しています。 天才テスラの発想は、100年を経てもまだ完全に理解されていなかったのかもしれません。 この研究の詳細は、科学雑誌『Nature Communications』で5月17日に公開されています。
当たり前のように手術に利用されている全身麻酔だが、その原理は謎に包まれていた新たな研究は、超解像度光学顕微鏡を使い脳神経の細胞膜内の変化を観察結果、細胞膜内の脂質ラフトの無秩序化がニューロンの発火を止めてしまうことを確認した 全身麻酔は大きな手術で使われる重要な医療技術です。 全身麻酔なしで手術を受けるというのは、考えられない話です。 しかし、この「全身麻酔がなぜ人の意識を奪うのか」という詳しい原理については、医学はこれまで説明することができませんでした。 麻酔の原理がよくわかっていないという話は、ちょくちょく耳にしている人もいるかもしれません。 けれど、こうした医学ミステリーの古株も、とうとう最新技術を用いた研究を前に陥落したようです。 新しい研究によると、細胞膜内にある本来なら秩序だった脂質クラスターが、クロロホルムにさらされると短時間で無秩序になるということが原因とのこと。 最新の超
一見、宙に浮いているように見えるこの構造物。 これはレゴブロックのカスタムモデル設計を手掛けている「JK Brickworks」が、「テンセグリティ」構造を利用してつくったものです。 実はこの不思議な構造は、世界中のあらゆるところに存在すると考えられており、その分野は自然界や人体にまで及びます。 テンセグリティの「無重力」の秘密は一体何なのでしょうか?
Point ■レトロゲームには容量不足や技術的制約を解決するため、現代の我々から見ても解析できない謎の技術が使われていることがある ■今回、ATARI2600から82年に発売されたゲーム『Entombed』に、全くロジックが不明の迷路自動生成プログラムのコードが発見された ■迷路の壁を完全ランダムに配置すればクリア不能になってしまうが、このプログラムがなぜ通行可能なパターンで迷路を生成しているかは、まったくの謎だという ほんの数十年前、コンピュータ関連の技術が飛躍的に向上しました。 特にデータ容量の向上はめざましく、現代の若い人たちにとって容量の単位は「ギガ」が標準になっています。 しかし初代のスーパーマリオの全ゲーム容量は40KB、初代ドラゴンクエストの全容量は64KBでした。 ちなみにこの記事のトップに貼られている画像の容量は97KBなので、スーパーマリオの2.4倍、ドラゴンクエストの
アメリカ・ウッズホール海洋生物学研究所により、イカは自らの力で遺伝子編集できることが判明しました。 一般的には生物の細胞の核内で生じるRNA編集を、「核外」で行うことができるというのです。 こうした特徴は他の生物には見られず、地球上でイカのみと思われます。 研究の詳細は、3月23日付けで「Nucleic Acids Research」に掲載されました。 イカの神経細胞はセントラルドグマから逸脱していた私たちの体をつくるタンパク質は、DNAにコードされた設計図を、様々な種類のRNAが仲介することによって生成されます。 このDNAを出発点としたRNAの仲介を介して行われる一連のタンパク質生成過程は「セントラルドグマ(中心教義)」と言われており、現代の分子遺伝学の中心となっている原理です。 この一連の過程の中で、最も際立っている存在がRNAです。 Credit: kenq セントラルドグマにおい
コロナ禍ゆえに外出時のマスク着用は必須ですが、最近、特徴的なフルフェイスマスク「BLANC(ブラン)」が登場しました。 このマスクはウイルス侵入と顔認識の2つを阻害するフィルターであり、外部の脅威から個人を完全保護します。 現在既に、クラウドファンディングサイトKickstarterにて資金を150,000ドル(約1,550万円)調達済みです。 私たちも支援すれば、感染予防と称して「戦隊ヒーローに変身」できるはず…! 気になる性能をマスクの性能を紹介していきます。
私たちの目は常に膨大な量の視覚情報にさらされています。 脳にとって、これは容易な状況ではありません。 何百万もの色や形、光の加減や視点の変化により、視覚の世界は絶えず移り変わっているのですから。(走りながら撮ったカメラの映像を見てください) にもかかわらず、私たちはブレやノイズのない安定した世界を見ることができます。 これは何世紀にもわたって研究者たちを悩ませてきた視覚科学の問題でした。 そしてこのほど、カリフォルニア大学バークレー校 (University of California, Berkeley・米)の研究で、視覚の安定性を説明する新たなメカニズムが発見されました。 それによると、私たちの脳は、過去15秒間に見たものを統合・平滑化して、整った一つの印象にまとめ上げているとのこと。 一体どういうことでしょうか。 研究の詳細は、2022年1月12日付で科学雑誌『Science Adv
細菌が動物に社交性を与えていたようです。 6月30日にカリフォルニア工科大学の研究者たちにより『Nature』に掲載された論文によれば、腸内細菌がマウスに社交性を与える仕組みを解明したとのこと。 研究では解明された仕組みを利用することで社交性の回復にも成功しました。 いったいどんな仕組みで腸内細菌はマウスに社交性を与えていたのでしょうか?
ホヤには押すと大人になる「大人スイッチ」があるようです。 2月17日に『Proceedings of the Royal Society B』に掲載された論文によれば、ホヤの幼生の「鼻先」に、一定時間以上の物理的な刺激を与えることで、大人にできるとのこと。 地球上にはさまざまな変態をおこなう生物が存在しますが、物理的刺激がトリガーとなる例は珍しいといえます。 しかし、いったいどうして機械的な刺激が、ホヤを大人にするのでしょうか?
マウスの20匹中19匹で腫瘍が完全に消滅したマウスの20匹中19匹で腫瘍が完全に消滅した / Credit:Canva . ナゾロジー編集部mRNAとは細胞に対して特定のタンパク質を作るように指示する分子です。 新型コロナウイルスのワクチンに含まれるmRNAも、ウイルスの体の一部(スパイク)を作る指令が含まれており、体内に注射されるとウイルスの断片を生産し、免疫の訓練を促します。 そこで今回、BioNTechとファイザーの研究者たちはmRNAの持つ命令能力を、がん治療に転用する方法を開発しました。 mRNAに、がんとの闘いを有利にするタンパク質の生産命令を乗せることができれば、治療に大きく役立つと考えたからです。 研究者たちは様々なタンパク質の生産命令を込めたmRNAを、がんになったマウスに注射し、効果が現れるかを確かめていきました。 結果、サイトカインの一種である4つのタンパク質(インタ
新型コロナウイルスに対する最新の遺伝分析が完了しました。 3月初旬に行われた研究では、コロナウイルスは既に3つの型に変異しており、爆発的な感染が起きているヨーロッパではウイルスの新型変異体(C型)が関与していることが示唆されました。 ですが今回、4月に入って行われた新しい分析によって、ウイルスはアメリカ上陸後も独自の変異を遂げていることが判明。また日本国内においては、これまで主流だった東アジア型以外にも、イタリアやイギリスでみられていたヨーロッパ型が入り込み、拡散しはじめていることが明らかになりました。 これは、東アジアからヨーロッパに拡散したウイルスが、ヨーロッパ人の観光客などに紛れて、日本にUターンしていることを意味します。 一方、中国をはじめとした初期に強い封鎖措置がとられた国では、ヨーロッパ型のウイルスの「Uターン現象」はまだ検出されていません。 日本におけるヨーロッパ型の増加は、
ラッパのマークの正露丸というと、日本では広く知られている一般的な胃腸薬ですが、これが実は世界初のアニサキス特効薬となる可能性が濃厚になってきました。 もともと正露丸がアニサキスの活動を抑制するという報告はありましたが、ネット上では専門家による否定的な意見も多く、実際の効果は不明確でした。 高知大学理工学部の研究グループは、正露丸がアニサキスに対する殺虫効果を持つのかどうかを、細胞の生死判定を行うトリパンブルー染色液を使って調査。 結果、正露丸を溶かした液は実際にアニサキスを殺していて、胃液でも分解できる状態にしていることがわかりました。 これは現在殺虫方法がないとされていたアニサキスに対する世界初の特効薬が、実は既に存在していた可能性があるという驚きの事実です。 研究の詳細は、『Open Journal of Pharmacology and Pharmacotherapeutics』へ7
ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。 高等学校での理科教員を経て、現職に就く。ナゾロジーにて「身近な科学」をテーマにディレクションを行っています。アニメ・ゲームなどのインドア系と、登山・サイクリングなどのアウトドア系の趣味を両方嗜むお天気屋。乗り物やワクワクするガジェットも大好き。専門は化学。将来の夢はマッドサイエンティスト……?
【編集注 12.29 18:00】 記事の内容に一部不明瞭な点があるとご指摘をいただきましため、内容を精査し、後日改めて訂正記事を公開いたします。 数学が好きな人も嫌いな人も2次方程式を習ったことでしょう。2次方程式を解くための方法は、「解の公式」や「解と係数の関係」など、世界中の人々が学んできました。 しかし最近、数学者ポーシェン・ロー氏が二次方程式の違った解き方を考案。歴史的に見れば決して「新しい」わけではありませんが、2次方程式に苦手意識のある人にとっては、その理解について新しい視点をもたらしてくれるかもしれません。 研究論文の詳細は「arXiv」で公開されました。
お湯は冷たい水よりも先に凍ります。 この直感に反した不思議な現象について、最初に言及したのは2300年前のアリストテレスと言われています。 彼は著書において「お湯を早く冷ますには、まず日なたに置くべきである」と記しています。 しかしアリストテレスは「ウナギは泥から発生する」など現代ではとても科学的とは言えない記述も残しており、「お湯を冷ます前にまず温めろ」との言葉も、賢者の世迷言として長い間、忘れられてきました。 しかし1963年にタンザニアに住む13歳の少年、ムペンバ君は、熱い水のほうが冷たい水よりも早く凍ることを発見し、学校で研究成果を発表しました。 これははじめは学校中の生徒と先生に笑われましたが、物理学者が実際にムペンバ君の主張が正しいことを確認すると流れは一転。 熱いもののほうが冷たいものより早く凍るこの現象は「ムペンバ効果」と名付けられ、様々な研究が行われて来ました。 しかし、
物理学が未だに説明できていない問題現在、物理学にはまったく異なる2つの理論が存在し、どちらも大きな成功を収めています。 その2つの理論とは、量子力学と一般相対性理論です。 量子力学は、自然界を支配する4つの基本的な力のうち、3つの力(電磁気力、弱い力、強い力)を微小な世界で記述することに成功しました。 ただ、重力についてはまだうまく説明することができていません。 一方、一般相対性理論は、これまで考案された中でもっとも強力で完全な重力の記述方法です。 しかし、一般相対性理論にも不完全な部分があり、この世界で2つのポイントについてだけ理論が破綻しています。 それが「ブラックホールの中心」と「宇宙の始まり」です。 ここについては、一般相対性理論でも計算が破綻してしまい、信頼できる結果を得ることができません。 そのため、これらの領域は「特異点」と呼ばれていて、現状の物理理論が及ばない時空のスポット
一般の人にとって、プログラマーの持つ知識と技術は別世界のもののように感じられます。 海外の研究者にとってもプログラマーの持つ特殊技能は興味の対象であったようで、古くは1980年代から、心理学的手法を使ったプログラマーの「特別な脳」の分析が行われてきました。 そんな中、近年の急速な神経科学の発展により、MRI(核磁気共鳴)やEEG(脳波測定)を用いて脳活動を可視化することが可能になってきました。 しかし、これまでの研究で可視化した脳領域は、読書やゲームといった日常生活時にも使われる汎用的な領域であり、プログラム時にだけ働く特異的な領域ではありませんでした。 そこで今回、ドイツのケムニッツ工科大学の研究者たちは、プログラム時にだけ働く「プログラム脳」の特定に挑戦。結果は、予測とは大きく異なるものとなりました。 なんと、プログラム時に働く脳機能は数学的能力や論理的推察力ではなく、会話時における相
本当にすべての物体が引き合っているの?アイザック・ニュートン(ゴドフリー・ネラー画)。 / Credit:Wikipediaりんごが木から落ちるのを見るまでもなく、地球上のあらゆる物体は地面に向かって引っ張られています。 それはずっと古代から人々の疑問でした。 アリストテレスは「万物には本来あるべき場所へ戻ろうとする力が働くのだ」と考えました。 彼は鳥が巣へ戻るのも、地面から持ち上げた物が地面に戻っていくのも、同じ原理によるものだと考えたのです。 しかし、太陽や月をはじめとする天体は、空を移動し続けていてあるべき場所があるようには見えません。 物体を地面に引き寄せる力とはなんなのか? それはずっと長い間人類にとっての謎だったのです。 この問題に大きな転機を与えたのが、17世紀の偉大なる科学者アイザック・ニュートンです。 ニュートンは物体に働く「力」というものを明確に定義することで、力の作用
虫が光に引き寄せられる理由がついに判明!虫が光に引き寄せられる理由がついに判明! / Credit:Canva . ナゾロジー編集部多くの人々にとって、街灯や勉強机の明かりに虫たちが集まっている風景は身近なものでしょう。 夏場のコンビニの軒先など設置されている害虫駆除装置も光に誘引される虫たちの性質を利用したものであり、近づいてくる虫たちに「バチッ」という音とともに電撃を与え感電死させるものとなっています。 ただなぜ虫たちが光に集まるのか、その根源的な理由については謎となっていました。 たとえば有名な4つの仮説(①~④)をみてみると ①「虫には光に向かって飛ぶ走性があるとする説」に対しては先に述べた通り、そもそも虫には近場の光源に直接向かうような行動がほとんどみられず多くは垂直に直交するような飛び方をします。 ②「月の光を頼りに航行してるところを人工光源によって混乱したとする説」は長らく最
シャコは、生物界一のハードパンチャーとして有名です。 ハンドスピードは、プロボクサーの時速30〜50キロに対し、シャコは驚異の80キロ超え。威力もハンパではなく、人の指くらいなら簡単に折ってしまいます。 シャコは、自分のパンチ力で関節を痛めないよう手加減しているという研究もあるほどです。 このシャコパンチで、魚を気絶させたり、カニの硬い殻をぶち割ったりしますが、それでいてシャコの拳には傷ひとつ付きません。 その謎を解明するべく、米・カリフォルニア大学は、電子顕微鏡を使って、シャコの拳の秘密に迫りました。 その結果、シャコの拳には、パンチの衝撃を吸収・分散できる「自家製サポーター」が施されていることが判明します。
日本のミミズは落ち葉の絨毯を壊滅させる黒い落ち葉の層が分解され、2カ月後には全て茶色い土になってしまった / Credit:ニック・ヘンシュエ,sciencenewsミミズが豊かな土地を作ると言われているのは、彼らの食べ物が原因です。 ミミズは落葉樹や枯草が落とす葉を体内で消化して糞として土に排出することで、窒素やリンといった豊かな栄養素を土に供給します。 そのため、日本の豊かな森林土壌の維持にとって、ミミズは大切な存在になっています。 しかし、アメリカの落葉樹林では落ち葉の絨毯は、水の過剰な蒸発を防いだり病原菌を遮断するといった、皮膚のような働きをしていました。 また落ち葉の絨毯は、落葉樹自身の種が発芽するにあたって、湿度の維持をはじめ非常に重要です。 にもかかわらず、日本のミミズは葉を食べる速度が非常に早く、アメリカの落ち葉の絨毯を、あっという間に食べつくしてしまうのです。 落ち葉の皮
社会不安障害(SAD)は、人から注目される場面、失敗や恥をかくかもしれない場面に対し、強い不安を感じる疾患です。 SADを持つ人々は、そうした不安への一時的な対抗策として心理的な「安全行動」をよく取ります。 そしてこのほど、カナダ・マックマスター大学(Mac)の新たな研究により、他者との交流の中で「安全行動」を取る人は、誠実さや好感を抱かれにくく、結果的に相手に好かれないことが示されました。 では、心理的な「安全行動」とは具体的にどのようなものを指すのでしょうか? 研究の詳細は、2022年11月15日付で心理学雑誌『Behavioural and Cognitive Psychotherapy』に掲載されています。 People with social anxiety tend to engage in restrictive “safety behaviors” that make th
オス同士の絆を結んでいました。 マウンティングとは自身の優位性を示す動物の習性のことで、サルの場合は他のサルの尻に乗って交尾の姿勢をとり有意の有意を示します。 こうして群れの序列の上下をはっきりさせることで無用な争いを避けるのです。 ただこれまでずっと多くの研究者たちは、マウンティングの交尾に似た姿勢は単なる真似だと考えていましたが、どうもそうではなかったようです。 英国のインペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)で行われた研究により、野生のアカゲサルでは、マウンティングの際にオス同士で性的行動を行うことが一般的であることがわかり、ときには肛門への挿入と射精を伴っていることも示されました。 さらにマウンティングには社会的上下に関係なくオス同士の絆を深め合う同盟協定のような機能を持っており、争いが起きた時にはマウンティングをした相手を助ける確率が大幅に高くなっていました。 そのため研究者たち
最近日本でも、コロナ禍で休業中していた水族館のチンアナゴが人間を忘れかけていることが話題になりました。しかし人間が来ずに問題が起きているのは、どうやら日本の水族館だけではないようです。 オーストラリア・クイーンズランド州にある「ケアンズ水族館」は、地元でも人気の施設。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、3月半ばから営業を停止しています。そのため、水族館の中はがらがら。 そんな中、館内の魚たちが次々と「うつ症状」を示し始めているというのです。彼らは人が来なくなった寂しさのあまり、ふさぎ込んでしまったのだとか。 中には水槽の隅にうずくまったり、拗ねて餌を食べなくなったりする魚もいるとのこと。 その解決策としてケアンズ水族館は、とてもユニークな方法を実践しました。
化学物質の注射でマウスは全身を引っ掻きはじめたかゆみを誘発する化学物質を注射されたマウスは体を盛んに引っ掻きはじめる/Credit:九州大学かゆみは、皮膚トラブルの最も典型的な例であり、古くから多くの対症療法が考案されてきました。 その中で、最も簡単で安全かつ効果的な方法として、皮膚摩擦が知られています。 かゆみを感じる時に、体のあちこちの皮膚をこすると、自然とかゆみが緩和されていくという不思議な現象が起こるのです。 しかしながら、この摩擦によるかゆみ抑制の背後にあるメカニズムは判明しておらず、経験的な医療として考えられてきました。 そこで今回、研究者たちは皮膚摩擦がかゆみを抑制する仕組みの本格的な解明を試みました。 実験にあたってはまず、マウスにかゆみを誘発する化学物質を注射。すると化学物質によりマウスは凄まじいかゆみに襲われ、激しく後ろ足で体を引っ掻くような動作をはじめます。 このとき
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