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この記事が公開される4月10日は、アドビ社が制定した「フォントの日」です。 モリサワでもこの記念日に合わせてAdobeさんのイベントに参加したり、フォントに関する情報公開をしたり、noteで記事を公開したりと、さまざまな活動をしています。 さて今回は、2月22日に開催した配信イベント Font College Open Campus 12「日本語デザインを変えた技術 発明100年に1から知りたい写植の話」の中で公開した2024年リリース予定の写研フォントについて、詳しくお伝えします。 モリサワと写研写研書体は1970年代から2000年前後にかけて盛んに使われていたため、トップ画像をご覧になる方の中には、懐かしさを感じる方もいらっしゃるかもしれません。 それぞれの書体をご紹介する前に、モリサワと写研についておさらいします。 話は今から100年前に遡ります。 1924年、モリサワの創業者である
なんとなく使っていませんか? 括弧の種類と使い分け 突然ですが、質問です! 以下の文章で、登場人物が実際に声に出して言っている部分と、心の中…
突然ですが、質問です! 以下の文章で、登場人物が実際に声に出して言っている部分と、心の中で思い浮かべている部分はどこでしょうか。 「みんなはね、ずいぶん走ったけれども遅れてしまったよ。ザネリもね、ずいぶん走ったけれども追いつかなかった」と言いました。 ジョバンニは、 (そうだ、ぼくたちはいま、いっしょにさそって出かけたのだ)とおもいながら、 「どこかで待っていようか」と言いました。 青空文庫 宮沢賢治『銀河鉄道の夜』 https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/43737_19215.html 答えは簡単ですね。 「 」の中の言葉が声に出して言っている部分、( )の中の言葉が心の中で思い浮かべている部分です。 前後の文章からも読み取れると思いますが、括弧の使い分けがされていることで、より分かりやすくなっています。 このように括弧類は主に文章内で会
昭和のニュース映像と思いきや、アナウンサーが繰り出すのは「タピオカ」「インボイス」「新型コロナウイルス」といった「令和」のトピック。 一瞬いまが何年なのかわからなくなるような、古くて新しい、そして思わず笑ってしまう映像を作り続けている「フィルムエスト」。完全に架空の内容であるにもかかわらず、その再現度の高さから、本物の古い映像と勘違いする視聴者も多いのだとか。 何とも味わい深い、昭和感あふれる手書き番組タイトルの数々今回は、2024年に改刻フォントがリリースされる写研書体にも造詣が深い「フィルムエスト」主宰のにしいさんに、モリサワnote編集部が文字という側面からその魅力に迫ります。 にしいさんの深すぎる書体愛がうかがえるエピソードも……!どうぞ最後までお楽しみください! 主宰のにしいさんは顔出しNGのため、アイコンでご紹介!■フィルムエストTV 1980〜90年代のテレビ番組やCMの雰囲
ショップや企業のデザインを担当する方なら、自社商品のサービスやブランドを他社と差別化させるために、ロゴの制作に携わることもあることでしょう。企業や商品の顔ともいうべき「ロゴ制作」において、デザイナーのセンスだけでなく、ロゴデザインに込める意志をどのように整理し、デザインに落としこんでいけば良いのでしょうか。 2023年渋谷の町全体で掲示されたハロウィンに関する渋谷区のメッセージを伝えたポスターのほか、企業や団体など様々なビジュアルコミュニケーションを手掛けている株式会社onehappy代表・小杉幸一さんにお話を伺いました。 ●お話を聞いた人 小杉幸一さん 株式会社onehappy代表/アートディレクター/クリエイティブディレクター 1980年 神奈川県生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。博報堂を経て、「onehappy」を設立。「コミュニケーション人格」でプロジェクトを明快にす
「日本語組版は難しい……」 こんな言葉を聞いたことがありますか? その要になるのが「約物やくもの」と言われる記号類です。 例えば私達が当たり前のように使用している句読点。 縦組みでは「、。(テン・マル)」の組み合わせが使用されますが、横組みでは「,。(カンマ・マル)」や「,.(カンマ・ピリオド)」の組み合わせを使用することもあります 昭和26年(1951年)に国語審議会が定めた「公用文作成の要領」では、公文書において横書きでは「,。(カンマ・マル)」を用いるよう定められていました。 しかし令和4年(2022年)上記に代わって「公用文作成の考え方」が定められ「、。(テン・マル)」が横書きにおける句読点の原則となりました。 ※横書きでは「,(カンマ)」を用いてもよいとされていますが、一つの文書内でどちらかに統一する必要があります。 これら句読点は、文の区切りを示す役割を果たしています。私達にと
「自分はちゃんと伝えたはずなのに、相手には正しく伝わっていなかった……」 そんなちょっとしたすれ違いからトラブルになる、なんてことは誰しも経験があると思います。 文字の世界でもそれは同じ。 手書きなら「書き間違い」や「字の形の癖」などで間違って伝わることがありますが、PCをはじめとした電子機器で文字を扱うことが多い昨今、 「同じ内容を見ているはずなのに、なぜか自分と相手で表示されている文字の形が違う……」 ということが起こりえます。 同じテキストを開いているはずなのに!これは怪奇現象?システムトラブル? いいえ。これは、PCで文字を扱う「仕組み」が関係しています。 PCで文字を扱う仕組みって何……?と追求していくと、アマゾンの奥地のごとく深い専門的なところまでたどり着いてしまうのがこの分野。 ひとまずこの記事で、具体的なトラブル例を見ながらざっくり理解し、つまずきやすいポイントを押さえまし
みなさんは日本語の文章を書くとき、段落の始まりはどのようにしていますか? 大抵の方は「先頭を1字下げにする」と答えるのではないかと思います。 では、なぜこの1字下げを行うのでしょうか? 段落の字下げは執筆者・出版社などの⽅針によってさまざまなルールがあり、表示する媒体(紙・Webなど)によっても変わります。 今回はこの段落の字下げについてご紹介します。 段落とは?段落の字下げについて語る前に「段落」について整理しておきます。 日本語の文章の構成要素は大きい順に「文章・段落・文・文節・単語」の5種類の区切りがあります。 それぞれが意味を持ち、内容を理解できるようになっており、それらをより理解しやすくし、受け⼿に伝えるのが組版の重要な役割でもあります。 日本語をあらわす「ことばの単位」この5種類の区切りは下図のような範囲・意味があります。 ことばの範囲例①単語 文法上の意味・機能をもった最小の
このたび、モリサワのnoteで「制作まわりのお役立ち情報」というマガジンを開始しました! 印刷・DTP・Web・UDなどを題材に、制作に関するさまざまな「お役立ち情報」を発信していきます。 かつてはモリサワサイト内で「Morisawa DTP Lab.」という情報発信ブログを別途運営していました。今回からはこのnoteに場所を変えつつ、引き続き不定期で更新していく予定です。 さて、マガジンの記念すべき第1回目である本記事は「フォントメニューの表示名」に着目し、フォントの仕様や選び方について解説していきます。 フォントってたくさん種類があって嬉しい反⾯、「何を使えばいいの……︕︖」と悩むことってありますよね。たくさんある中から、⽤途や内容にあわせて適切なフォントを選ぶ必要があります。 しかも、使いたいフォントを見つけていざ選択!となった時に、「同じようなフォントがたくさん並んでいる!?」と戸
このたびモリサワのnote3周年を機に、文字組版に関する記事をアップしていくことになりました。 この連載を担当するのは、モリサワの中で文字や組版、印刷、制作などに関して、普段からお客様のお困りごとの解決を行っている技術サポートのエキスパートです! 以下のような内容の連載を予定していますので、ぜひご期待ください。 文字サイズに関する単位の種類 禁則文字にはどんなものがあるの? 文字間の調整と詰め組 日本語の中のアルファベットの扱い方 ルビの種類と組み方 など モリサワは「写真植字」を発明して以来、一貫して「文字の未来」をみつめて研究・開発を続けてきました。 モリサワと聞いて「フォント」のメーカーだとイメージする方は多いと思います。「フォント」ひいては「文字」は、なにかしらのことばや情報を表すために用いる材料のひとつでしかなく、相手に伝えるためには「文字」を並べて組む「組版」が必須です。 文字
多言語の組版ルールをご紹介している本連載。今回からは、繁体字 はんたいじに関する知識を全2回にわたりお送りします。 繁体字と共通点も多い、簡体字の組版ルールはこちらからご覧ください。 繁体字の成り立ち繁体字は中国語の表記に使用される文字で、「正体字」とも言われます。漢字が簡体字として省略化される以前は、中国大陸でも使われていました。 一見すると日本の旧字体にも似た伝統的字形を持ちますが、両者は微妙に違います。 もともと木版印刷などが登場する以前、漢字は手書きでやり取りされていたため、ひとつの漢字に複数の異体字がありました。 しかし、活字を使うようになると、手書きで通用していた複数のバリエーション(異体字)をすべて網羅することが難しくなり、そこで、使用頻度の高い字形に集約されるようになったのです。 18世紀前半(清朝期)に編纂された『康熙字典 こうきじてん』は12集42巻から成り立っており、
突然ですがみなさんは、フォントを使う際に「ライセンス」の存在を意識することはありますか? 書体のあれこれをお話することはあっても、そのライセンスについて取り上げる機会は少ないかも、と気がついたモリサワnote編集部。実際、SNS上には「これって法的にどうなの?」という疑問や、「よくわからない……」「ややこしい!」といったつぶやきが多数みられます。 そこで今回は「社内でライセンス事情について一番詳しい人に聞いてみよう!」ということで、モリサワの法務担当を突撃! 基本的な事項から実際に起こりうる具体的なケースまで、あらゆる質問をぶつけてフォントライセンスにまつわる疑問を解消していきます。 ※2023年6月時点の情報をもとに記事を作成しています。最新の情報は必ずご自身で提供元のライセンスのご確認をお願いいたします。 1. フォントのライセンスとは?社内弁護士に会いにいったら、営業担当もやってきた
ぱっと何の書体か見分けるのが難しい「明朝体」。しかし一度魅力を知れば、そこは底無しのフォント沼……!今回は、2022年10月にリリースした明朝体 「霞青藍かすみせいらん」「霞白藤かすみしらふじ」のデザインが生まれるまで、を掘り下げます。 デザインの特徴「霞青藍」「霞白藤」の属する “明朝体” は和文書体のデザインカテゴリの1つで、“うろこ” と呼ばれるアクセントや縦画が太く横画が細いというコントラストが特徴のデザインです。 現在の明朝体は、明治の初めに日本にもたらされた金属活字を基礎に改良が続けられてきたもので、様々な表情を持った明朝体が製品化されています。 共通の漢字の骨格左:霞青藍 右:霞白藤「霞青藍」「霞白藤」の漢字は同じ骨格・字形を共有し、横線やハライの伸びやかさを強調したふところの締まった骨格で “オールドスタイル” に分類される書体です。 あわせて、楷書(※)由来の特徴を多く採
皆さんが、毎日何気なく目にしていると言って過言ではない「ヒラギノフォント」の文字。どこで使われているかを意識したことはありますか? スマートフォン・タブレット端末、テレビCM・テロップ、道路標識・サイン、雑誌・書籍・ポスターなど…。 国内のありとあらゆるところで利用されている「ヒラギノフォント」は、株式会社SCREENグラフィックソリューションズ(以下、SCREEN GA)が開発・提供している書体です。 シーンを問わず使いやすい定番書体をはじめ、2022年にはニュアンスのある新書体がお目見え。もはや現代のグラフィック制作には欠かせない存在ですよね。モリサワでは2010年からライセンス提供をしており、「Morisawa Fonts」では32ファミリー114書体をご提供中のほか、Webフォントサービス「TypeSquare」からも豊富なウエイトやスタイルのフォントをお使いいただけます。(202
邦⽂写真植字機の発明100周年の節⽬となる2024年に、写研書体がOpenTypeフォントとしてリリースされます。 2021年1月のプロジェクト発表を受けて、古くから写研、モリサワの書体に触れてきた方々から多くの反響をいただきました。 そして2022年11月24日、写研書体3ファミリーを改刻し、リリースすることを発表しました。 画像はまだ開発途中のデザインであり、一部変更になる可能性があります発表の舞台となったのは、2022年11月に行われた展示会「IGAS2022 国際総合印刷テクノロジー&ソリューション展(以下IGAS2022)」。モリサワブースに設けられた「MojiTubeスタジオ」からオンライン配信を行い、全体監修を務める有限会社字游工房の書体設計士・鳥海修とりのうみおさむさんと、改刻を担当した同じく字游工房のタイプデザイナー・伊藤親雄いとうちかおさん、モリサワの原野佳純はらのかす
書体を意識して見るのは慣れていないと難しい。特に普段使わない言語ならなおのこと。みなさんは欧文書体を意識して見たことはありますか? 店の看板、メニュー、電光掲示板、雑誌……和文書体のすぐそばに欧文書体はいます。 もしかして欧文書体にフォーカスしたら書体にまつわる面白いことが見つかるのではないか……?そんな思いつきがこの記事のきっかけになりました。 日本語に翻訳されると書体も変化する不思議欧文書体を意識するには、まずは見慣れた和文書体と比較するときっとわかりやすいはず。そう思って翻訳絵本に目をつけました。 翻訳絵本とは、オリジナルが海外にある絵本を日本語に翻訳して出版された書籍のことです。 調査すると嬉しいことに書体にまつわる面白い発見がありました。 海外の絵本の本文ではセリフ体(Serif)が多く使われ、日本語版では様々な書体に変化することがわかりました。セリフ体は和文書体でいう明朝体のこ
今回のフォント沼なハナシは、「タイポス」という書体について深掘りします。 ふところが広く図形的に整理された骨格と、縦画と横画のコントラストが特徴的なこのスタイルは今ではさまざまなところで目にするデザインですが、はじまりは60年ほど前、学生たちによって考えられた書体でした。 この「タイポス」という名前がつくファミリーは4種類あり、時代とともに形を変え愛されつづけるロングセラー書体となっています。 独自の設計思想とコンセプトで日本の書体デザインに大きな影響を与えてきたタイポスが、業界の変化とともにどのように発展してきたのか、そのあゆみを振り返ります。 一部書体提供:株式会社写研1. 写植時代明朝体でもゴシック体でもない “新書体”タイポスは現在主流となっている「デジタルフォント」以前の写植(写真植字)用の書体として1960年代に初めて発売されました。 今やほとんどの人がPCを所持し、授業や仕事
【note開設2周年特別企画】欧文フォントは簡単につくれるの? 7時間でフォントを作ってみてわかったこと。 2020年8⽉から数々のフォントにまつわる記事を投稿してきたモリサワnote編集部は、おかげさまで開設2周年を迎えました! 今回は特別記念企画として、欧文フォント制作の舞台裏やこだわりをワークショップレポートとインタビューの両面から、わかりやすくご紹介したいと思います。モリサワが大切にしている「使う人の目線で、書体をつくる。」というものづくりの姿勢は、和文フォントだけでなく欧文フォント開発にも受け継がれています。ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。 1. 7時間耐久欧文フォント制作チャレンジ某月某日、ここは編集会議が行われる会議室。何やらいつもと違う様子で鼻息荒く企画に臨んでいる編集部員がいます…。 みなさんこんにちは。モリサワnote編集部の担当Hです。私は現在入社3年目、主
ブックデザイナー 佐藤亜沙美さん特別インタビュー! 〜マトリクスで解析?!2022年新書体の「活かし方・組み合わせ方・使い方」〜 この秋モリサワでは、和文・欧文合わせて100ファミリー近い書体をリリース予定です。こんなにたくさんあると、どうやって使いこなしたらいいか悩む方も多いかもしれません。そこで今回はリリース直前の特別企画として、ブックデザイナーの佐藤亜沙美さんの視点で新書体の印象や使い方について語っていただきました!2021年10月に発行した先行公開リーフレットの制作を担当されたのも実は……。最後までお見逃しなく! ■お話を聞いた人 佐藤 亜沙美さとうあさみさん ブックデザイナー。1982年生まれ。2006年から2014年までブックデザイナー祖父江慎さんの事務所・コズフィッシュに在籍。2014年に独立し、サトウサンカイを設立。『Quick Japan』のアートディレクターを経て、20
いきなりですが、質問です。欧文書体、どんな風に選んでいますか?元からパソコンに入っている書体で十分という方から、海外の情報を積極的にキャッチしている方まで、いろんな方がいらっしゃると思います。 モリサワでは近年、コンテンツのグローバル化のニーズを考慮して欧文書体ラインナップの充実にも力を入れています。 今年の欧文新書体はなんと、49ファミリー504書体という過去に例を見ないボリュームでリリース予定です。 この記事では、少しでも欧文書体のイメージを掴みやすくするための手がかりとして “ざっくり4つのジャンル” にわけてご紹介します。 和文同様に様々なデザインがあり、それぞれに合った使用シーンがある欧文書体の魅力をお伝えしていきますので、最後までお見逃しなく! 今年の欧文新書体を並べてみました。目を引く華やかな見出し書体からベーシックな書体まで、CondensedやCompressedなどの幅
新書体……この言葉を聞いてワクワクする方もそうでない方も、ぜひ最後までスクロールしていただきたい!!というのも今年はなんと、目で見て楽しいデザイン書体をはじめとする超充実のラインナップでお届けするんです。 この記事では、各書体の特徴と魅力を全力でお伝えしていきたいと思います。時間がない方は “目次” から気になる書体をクリックしてみてくださいね。 今回は【和文編】ということで、和文の新規書体をご紹介します。 通常和文を分類する際は ”明朝体” や “ゴシック体” といったカテゴリで分けますが、今回はグラフィカルな “デザイン書体” が多いため、より印象が掴みやすいように独自のジャンルで分けてみました。それがこちら! 大胆なデザインが多い「インパクト」、あどけなさや遊び心を感じさせるゆるっとした「ゆるポップ」、レトロ可愛い雰囲気を纏った「ロマン」、筆や活字の雰囲気を残したクラシカルな印象の「
今日は4月10日、フォン4ト10の日!というわけで、特別企画として大日本印刷株式会社の秀英体開発担当の方へのインタビューが実現しました! 明治初期から100年以上にわたり愛され続けてきた「秀英体しゅうえいたい」の歴史や改刻秘話から、現代のニーズに合わせた新たな取組みまでさまざまなお話を伺いました。モリサワでも以前から秀英体を提供しており、中盤のインタビューでは今年リリース予定の新書体についてもふれているので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。 1.「秀英体」とは?秀英体は、日本を代表する総合印刷会社「大日本印刷株式会社」(以降、DNP)が独自に開発したオリジナル書体です。広辞苑や新潮社の書籍などに書体が採用されているほか、ポスターやパッケージなどでも使われており、秀英体を詳しく知らなくても無意識に目にしている方も多いと思います。 DNPの前身にあたる「秀英舎」は1876年(明治9年)に創業
新聞広告に「書体名」を掲載したのはなぜ!? ファミリーマートの新プライベートブランド「ファミマル」のパッケージデザインの舞台裏に迫る 新聞広告は時代を映す鏡…なんて言われますが、そこで使われているフォントも気になるモリサワnote編集部です。 2021 年10月19日朝刊に掲載された全面見開き(30段と言われます)広告に、社内がざわめきました。ファミリーマートの新しいプライベートブランド(PB)「ファミマル」をお披露目する内容です。 今回、その広告をきっかけに、パッケージデザインの舞台裏を追いかけてみることになりました! 2021 年10月19日掲載 読売新聞30段広告 より1. A1ゴシックの名が広告に!?冒頭の広告では「社内資料ですが、広告します。」とのコピーとともに、パッケージデザインのコンセプトやガイドラインが細かく紹介されています。よくよく見てみると、そこに「書体名:A1ゴシック
モリサワでは、MORISAWA PASSPORTユーザ様に向け「FONT COLLEGE」を不定期で開催しています。 2021年11月30日(火)にオンラインでの開催となったVol.8の講師は、アートディレクターであり大学教員でもある大里浩二さんと、グラフィックデザイナーでありライターでもある伊達千代さん。現代のフォントを取り巻く事情を多様な角度から知るお二人を迎え、デザインの対象が印刷物からWebや動画などへシフトを続ける現代において、より複雑性と重要性を増している「フォント選び」「フォント活用」の指針となる知識を、「フォントの教科書」と題しお話しいただきました。 本イベントは、2021年9月発売の「+DESIGNING Vol.52」に掲載された特集記事「フォントの教科書」をより深く掘り下げたもの。デザインとフォント選びの基本講義とワークショップに加え、著名デザイナーのフォント選択のセ
食欲の秋、芸術の秋、読書の秋…新書体の秋! というのも、モリサワでは例年秋頃に新書体をリリースすることが多く、今年も10月21日にリリースとなりました。ユーザーさんの反応が気になって仕方ない今日この頃です。 今回は、2021年度の新書体の中から「澄月ちょうげつ」についてご紹介します。開発メンバーへのインタビューでは、担当デザイナーに加えて、フォントの制作には欠かせない存在であるエンジニアも登場しますので、最後までぜひご覧ください。 1. 繊細かつスピード感のある行書風のデザイン書体まずは「澄月ちょうげつ」のデザインについて、簡単にご紹介します。 澄月は、繊細かつスピード感のある行書風のデザイン系筆書体です。 はね、にじみやかすれ、太さの強弱があり、正方形の枠にとらわれない伸びのある骨格をしています。筆の運びによって行書風に省略したり繋がりを持たせているのも特徴です。 書家さんが半紙に書いた
2021年秋にMORSAWA PASSPORTから「UDデジタル教科書体 筆順フォント」がリリースされます。(※MORISAWA BIZ+で2021年5月に先行リリース済み) そこで今回は、筆順フォントを含めたUDデジタル教科書体のラインナップについて、これまでの様々なインタビューへのリンクを交えてご紹介したいと思います。 1. UDデジタル教科書体 筆順フォント「UDデジタル教科書体 筆順フォント」はその名の通り、“UDデジタル教科書体” の “筆順フォント” です。 筆順フォント:書き順に沿ったストロークごとに一文字として、文字を書いていく過程を収録しているフォント。 UDデジタル教科書体 筆順フォントでは、小学生用と中学生用でそれぞれ以下の2タイプを用意しており、児童や生徒の学年に合わせて使い分けていただくことが可能です。 2020年4月1日に施行された小学校学習指導要領の変更にも対
今回の「フォント沼なハナシ」は、リリース目前の2021年新書体から一足お先に「あおとゴシック」のご紹介と開発秘話をお届けします。 リリースまでに少しでも新書体を身近に感じていただけたらうれしいです。 1.オンスクリーン向けの本文書体 あおとゴシックはスマートフォンやタブレットといったデジタルデバイス上での本文利用を目的に制作された書体です。 長文も自然に読める素直でクリーンな印象のゴシック体を目指して開発されました。 ウエイトは、ELからEBの7ウエイト展開です。 ELからDB までの5書体は長めの文章組での使用を想定し、漢字をやや小ぶりに設計して風通しをよくしています。 一方、B とEB では小見出しなどでの使用を想定してまとまりが出るよう、比較的タイトに設計しています。 とくに、本文利用を想定しているELからDBまでの5書体は、従来のゴシック体ファミリーに比べて太さの段階の差が少なく設
秋にリリースを控えるモリサワ2021年度新書体。今年はリリース前に各書体の特徴紹介と、毎年ユーザー様に向けて配布している新書体見本帳のビジュアル先見せをしていきたいと思います! ラインナップ紹介今年新たにリリースされるのは、12ファミリー。 クリーンな骨格に小さめの字面を持つゴシック体「あおとゴシック」や、流れるように文字がつながる筆書体「澄月(ちょうげつ)」、中国の元王朝時代の注釈書と日本の元禄時代の浮世草子から復刻した筆脈を強く意識させる書体「げんろく志安(しあん)」、活版印刷のインクのにじみを再現したオールドスタイルの明朝体「秀英にじみ四号かな」、漢字の学習や教材作成に便利な「UDデジタル教科書体 筆順フォント」(タイプバンク)。 欧文書体には、本格的な本文組版でも利用可能なヒューマニストサンセリフ「Sharoa Pro」や、軽快で遊び心のあるディスプレイ書体「Backflip Pr
2020年8⽉から数々のフォントに関わる記事をご紹介してきたモリサワnoteはおかげさまで開設1周年を迎えました。 今回は記念企画として、訪れると思わず⼿に取りたくなってしまうような商品を数多く販売しているカルディコーヒーファーム(以下、カルディ)さんにインタビューしました。⾷品とフォントの接点って…?と気になった⽅はぜひ最後まで読んでみてください。 1. あなたも書体探偵に?!モリサワフォント盛りだくさんなカルディモリサワでは、書体デザインに携わる人もそうでない人もフォントに関わる仕事をしていると、「街に繰り出せば書体につい⽬がいってしまい、書かれている内容より⽂字のデザインが気になってしまう...」 ということがしばしばあります(実は筆者もその⼀⼈です)。とりわけモリサワフォント探しには熱が⼊り、⾒つけるのが上⼿な社員は “書体探偵” なんて呼ばれることも。 ある日のこと、日々の観察か
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