【図1】大町とその周辺。信濃鉄道は国有化されて大糸南線となった。信濃大町以北は鉄道省が建設、南小谷を経て中土駅まで延伸されている。大町市街から西へ延びるのは電源開発用の電気軌道で、地元住民や登山者なども便乗させた。1:200,000「高山」昭和12年修正 東日本に多い「大町」の地名 安曇野の北端に位置する長野県大町市。「大町」という地名は全国に広く分布しているが、密度としてはどちらかといえば東日本が高い。特に集まっているのは東北から北関東にかけてだが、長野県内では大町市以外、大字レベル以上では1か所のみだ。場所は村山橋の少し下流側、千曲川の左岸に位置する長野市大字大町である。ただしこちらの歴史は比較的新しく、明治8年(1875)に上町と栗田町が合併した際に長沼大町と命名されたものだ。由来は「村勢が大きくなったことを表すことと将来の繁栄を願って命名された」〔1〕という。 これに対して大町市の