83年当時の対談ですが、宮崎監督が藤本さんとは『ドラえもんについて』、安孫子さんとは『悪役を描くこと』について語っている、とても面白い部分がありますので、そちらをご紹介したいと思います。 宮崎「きょうお目にかかったら、ぜひうかがおうと思っていたんですが、うちの息子が―― もう中学生になってしまいましたが ―― 『ドラえもん』の大ファンで、単行本をずっと買っていて、親のぼくも読んでいたんです。」 藤本「あー、どうも、ご迷惑をおかけしまして(笑)。」 宮崎「いえ(笑)。それで、のび太が成長していかないのがおもしろいと思ったわけです。たいへん貴重な体験を何度もしていくでしょう。タイムマシンに乗ったり。」 藤本「そうなんです。」 宮崎「それで、ふつう作者のほうが登場人物に思い入れしてしまって、その人物が成長して、ダメになるというか、マンガの主人公じゃなくなる場合が多いですよね。ところが、『ドラえも