いま、イスラエル国内では、オルメルト首相に対する異例の抗議行動が行われている。数百人の軍人が首相と軍上層部に対する抗議文を地元紙に掲載した。日本のTVニュースでも、昨日頻繁に繰り返していた。 イスラエルの軍人集団が独自に現政権を批判するということは考えられない。軍人に行動を指示している勢力が背後にいるのだろう。オルメルト首相とその与党カディマ勢力の弱体化を目論んでいることは間違いない。首相の失脚も視野に入っているかもしれない。しかし、すでに現時点で右派勢力の目論みはほぼ完全に達成されていると言っていいだろう。ヨルダン川西岸からの撤収政策は完全に棚上げとなったのだから。 今回のイスラエルによるレバノン攻撃の不自然さは、その目的がヒズボラの弱体化ではなく、オルメルト政権の弱体化だったからだ。実際、イスラエル軍は本気でヒズボラを叩く気があるとは思えなかった。イスラエル軍機は執拗に住宅地区を爆撃し