都内の戸建てを売却し、妻とともに埼玉県のマンションに引っ越した佐伯敏浩さん(69歳・仮名)はため息をつく。 住み慣れた自宅から不慣れなマンションに移るのは、思った以上にストレスだ。佐伯さんが負ったようなケガは、より高齢の人なら命取りにもなりかねない。 さらに賃貸マンションでは、毎月の家賃負担も老後資金を圧迫していく。自宅を売ったカネがあるといっても、古い家の価値はゼロ同然。期待するほどの金額にならないことがほとんどだ。 「予想意外に長生きし、資金がショート」 元気なうちに老人ホームに移ろう―そう考える人もいるだろう。だがこちらも、金銭面での問題が付きまとう。