今年は、万博30周年、折からの岡本太郎ブームと重なって、各メディアは岡本太郎を取り上げ、雑誌の特集でも評論家やアーティストが、その芸術論や作品を再評価しはじめた。その中でも「太陽の塔」は、必ずと言っていいほど話題となっている。確かに岡本太郎の名前を日本中の人が知ることになったのは、万博の「太陽の塔」だった。 ■バックボーンは語られず しかし、「太陽の塔」は岡本太郎の代表作と言いながらも、制作の背景や内部に展示が施されていたこと、ましてやそのバックボーンにある思想や理念について語られているものは皆無に等しい。 記録によればあの当時万国博を訪れたのは6422万人、当時日本の人口が1億1千万。実に2人に1人の割合で万国博を訪れていることになる。 この内、テーマ館入場者は917万人なので、万国博に来た人の中でも7人に1人しか、テーマ館の展示は見ていないのである。ましてやテーマ館に入った人でさ