ブックマーク / kasasora.hatenablog.com (3)

  • 買母の量刑 - 傘をひらいて、空を

    ただいまあ、という。おかえり、と返ってくる。週に一度はあまり残業をせず、夕といってよい時間帯に帰ることにしている。月に何度かは作りたてのごはんを出したいという母と、疲れたら作りたてのごはんをべたいというわたしの思惑が一致して、なんとなし習慣になった。 母は台所に立って天ぷらを揚げている。わたしもいい年だし、母はもちろん老婆だから、そんなにたくさんの油ものはいらない。今日はわかさぎをもらって、だから揚げているのだった。ついでにさつまいもを切り、余った野菜でかき揚げもやって、いくらかを半切りにして冷凍しておく。簡単に麺で済ませるときに冷凍の揚げ物があると楽なのだ。緑もほしいわね、大葉の一枚くらいべられるでしょう。そんなふうに言いながら母は冷蔵庫を探り、天ぷらは結局結構な量になる。 わたしは寝室で着替え、デスクとして使っているカフェテーブルを居間に持ってくる。おかずをたくさん並べるときには

    買母の量刑 - 傘をひらいて、空を
    wakabaroom
    wakabaroom 2017/03/01
    "適度な無関心と適度な関心がわたしを安心させる。この人が何を考えているかなんてわたしにはわからない。わかりたくもない。わたしはただこの人と暮らしていたい。そうしてそれが悪いことのような気がしている。"
  • 愛と希望が救えないこと - 傘をひらいて、空を

    わたしは愛と希望で満たされている、のだそうだ。たぶん息子ふたり、夫(むかしは恋人)、あと両親と妹を指しているんだと思う。あるいは仕事があるという意味かもしれない。 今、ぜんぶ、どうでもいい。 わたしたち夫婦はどちらかになにかあっても子を育てられると思っている。そうでなければ結婚しない。一生恋人をやっていればいい。でもわたしはもう夫に恋をしていない。ほかの誰かに恋をするつもりもない。恋は強烈に「生きてる」感を与えるけどわりとすぐ消える。まったく永遠ではない。夫を信頼しているし、信頼されていると思う。けれども信頼は気力のブースターとしては出力が低い。そのうえ他人だから苛つくこともある。当たり前だ。 子は命だというのはかなり嘘だ。わたしは息子たちになにかあったらあやういけど息子たちはわたしがいなくてもどうにかなる。だいたいもう小学生だ。いちばんたいへんな時期は終わった。彼らは自分で着替えるし歯磨

    愛と希望が救えないこと - 傘をひらいて、空を
    wakabaroom
    wakabaroom 2017/03/01
    "そりゃそうだよと友人は言う。私たち、愛とか希望とかで生きてるんじゃないもん。生まれたから生きてるんだもん。忘れたの、思春期に結論出たじゃない。"
  • 愛がなくては住むところもない - 傘をひらいて、空を

    また拾ったの。私のその発言は質問ではない。確認だ。友人が相続した細長い建物の、その一階は元工場で、いまの季節は事務室だった空間に灯油ストーブを常時稼働させてようやく適温になる。居住性が高いとはいえない。その一階に友人が布団を出して寝泊まりしているときは、誰かが二階に住んでいる。またっていうほどじゃない、と友人はこたえる。たまにだよ、こないだから何年も経ってるよ。 二度も三度も拾えばじゅうぶん「また」だと思う。犬やじゃないのだ。人を拾う人間はそんなにいない。けれども私は彼女のそのようなふるまいを嫌いではない。「よぶんな部屋があって、住むところがない人がいるから、住んでもよい」という動機の、その単純さが、なんだか好きなのだ。考えてみればどうして自宅に赤の他人を置いてはいけないのか。どうして人が人を拾ってはいけないのか。 もちろん人は犬やじゃない、と彼女は言う。人のほうがここにいる時間がずっ

    愛がなくては住むところもない - 傘をひらいて、空を
    wakabaroom
    wakabaroom 2017/03/01
    "親族が早死にしたりろくでなしだったりして持ち家がなければ住むところに困る。そんなの、おかしいでしょう。法制度に乗っかった親子愛と異性愛を得ないと罰金です、みたいな話じゃん。"
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