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  • 全国版コラム 話の名店街 -ある砥石屋のものがたり-

    きょうだい4人のなかで、ぼくだけなんだ、砥石屋をやるよ、って言ったのは。ぼくも、考えていてね、一番ブラブラしていてもいい仕事でしょ。そしたら、オヤジはね、「お前には、もってこいだ。掃除しなくてもいいからな」って。他の商売とくらべると、多少、品物がホコリをかぶっていても、いいですからね。 オヤジ、笑ってましたよ。ぼくは、言ったんだ。「儲けても、身上を残すようなことはしない。儲けたものは、全部、使っちゃう。そのかわり、オヤジの残したものは、減らさないから大丈夫」って。それが中学生のとき。ぼくは、4代目。 いま、90ですからね。もう、80年近く、やっている。商売の勉強なんて、オヤジの話を聞いていただけ。お客さんとのやりとりを、なにげなく聞いていただけ。山について行っても、ぼくなんか、相手にされなかった。山の人が「また、あの石、出ていますよ」と言うと、オヤジが「ダメだよ。あれは、見かけはよくても、

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