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ブックマーク / natrom.hatenablog.com (116)

  • 世界はゆっくりと良くなっている 日本の年齢別がん死亡率の推移 - NATROMのブログ

    において、がんは死因順位の第1位である。がんにかかる人やがんで死ぬ人をゼロにすることはできないが、医学は進歩し、予防法も治療法も改善している。全世界でも日でも、年齢別がん死亡率や年齢調整がん死亡率は徐々に減少している。ここでは日の年齢別がん死亡率の推移をグラフで紹介しよう。引用はすべて■Cancer Over Timeから。 日の小児のがん死亡率は減少している すべてのがんの死亡率でみると、日の小児(0歳~14歳)のがん死亡率は、男女ともに1970年ごろをピークに、以降は減少し続けている。小児には白血病やリンパ腫などの血液系の悪性腫瘍が多い。これらのがんに対する化学療法(抗がん剤治療)は大きく進歩している。 日の0~14歳の全がん粗死亡率(10万人年あたり)の推移、男女のAYA世代のがん死亡率は減少している AYA世代とはAdolescent and Young Adu

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    yamifuu 2023/05/31
  • 興和のイベルメクチン臨床試験は失敗ではない - NATROMのブログ

    イベルメクチンはもともとは寄生虫に対する薬だったが、試験管内で抗ウイルス効果が確認され、新型コロナに効果があると期待する医療者もいた。興和株式会社が新型コロナウイルス感染症に対するイベルメクチンの第3相試験を行っていたが、このたび、主要評価項目に統計的有意差が認められなかったとの発表があった。 ■興和/新型コロナウイルス感染症患者を対象とした「K-237」(イベルメクチン)の第Ⅲ相臨床試験結果に関するお知らせ 軽症の新型コロナ患者約1000人を対象に、イベルメクチン0.3~0.4 mg/kgを1日1回3日間経口投与した群とプラセボ投与群とにランダムにわけ、168時間(7日間)経過するまでに臨床症状が改善傾向にいたる時間を二重盲検下で評価した。興和の発表によれば、実薬群およびプラセボ群いずれの群でも投与開始4日前後で軽症化し、有意差は認められなかった。 医学界に与えるインパクトは小さい。

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    yamifuu 2022/09/27
  • 患者家族とのトラブル - NATROMのブログ

    埼玉県ふじみ野市において、訪問診療をしていた医師が患者の息子に散弾銃で撃たれ死亡するという事件が起きた。患者である母親が亡くなったことがきっかけになったという。事件については報道でしか存じ上げないし、これから新事実が出てくるかもしれない。この記事は、医療職と患者家族の関係の難しさの一端について知ってもらうのが目的であって、個別の事件において真相はこうだったのかもしれないといった推測ではない。 また、以下に述べる事例は、私の見聞きした経験をもとに改変したものであり、事実そのままではない。仮に当事者が目にしたとしてそれが自分たちのことであるとはわからないようにまで変えてある。ただし、問題の質については伝わるはずだ。ご理解をいただきたい。 患者さんがよいケアを受け、病状が改善することをご家族が願うのは当然だ。ただ、その願いがきわめて強い患者家族がいらっしゃる。介護のためにご家族が仕事を辞め、ず

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    yamifuu 2022/01/31
  • ワクチンを接種しない人を批判してはいけない - NATROMのブログ

    新型コロナウイルスワクチンが、日でも今年の2月から順次接種される予定だ。発症予防と重症化予防の効果は確かで、短期的な安全性も海外で数万人単位の臨床試験および千万人単位での実地での接種が済んでおりほぼ確認されている。重篤な副作用はあるが頻度は十分に小さく、害より利益が上回るのは明確だと私は判断し、順番が来た時点ですみやかに接種を受けるつもりである。 しかしながら、他者への感染予防効果については、効果は示唆されるものの、現時点では確実とは言えない*1。また、当然のことであるが1年以上を単位とした長期的な副作用の有無はまだわからない。ワクチンを接種するのをためらい、保留する人がいるのは当然のことだ。あるいは、どんなにまれであっても重篤な副作用が起きる可能性があるワクチンを接種したくない人もいるであろう。 どのような医療を受けるかを決める権利は人にある*2。もちろん、ワクチンについてもそうだ。

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    yamifuu 2021/01/30
  • 新しいニセ医学「新型コロナ否認主義」 - NATROMのブログ

    標準的な医学的知見を否定する名誉教授と市議会議員 日野市議会議員の池田としえ氏が、2020年6月8日に「新型コロナに迫る!」 *1と称して議会で質問をしたが、その内容に危惧を覚えたのでここで指摘する。端的に言えば、池田としえ氏は、YouTube等で徳島大学名誉教授・大橋眞氏が主張している「新型コロナウイルスは存在しない」というきわめて根拠に乏しい独自の説に基づいて質問を行った。動画*2を拝聴したところ、大橋眞氏の主張には問題点がいくつもあった。 池田としえ氏のfacebookより。「やはり、新型コロナウィルスは存在しない」。URL:http://archive.vn/SsLPH ほとんどの人がご承知であるが、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は重症の肺炎を引き起こす。しかし、大橋眞氏は標準的な医学的知見を否定し、「PCR検査で測定しているのは、病原性のない常在性ウイルスである可能性

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    yamifuu 2020/06/15
  • 「論座」の新型コロナ感染症の記事から学べること - NATROMのブログ

    「論座」に新型コロナウイルス感染症を疑う症状を経験したジャーナリスト、佐藤章氏による記事が掲載された。患者さんの視点で気持ちの推移やPCR検査の経験を伝える良い記事である。 ■私はこうしてコロナの抗体を獲得した《前編》保健所は私に言った。「いくら言っても無駄ですよ」 - 佐藤章|論座 - 朝日新聞社の言論サイト ■私はこうしてコロナの抗体を獲得した《後編》PCR検査の意外な結果、そして… - 佐藤章|論座 - 朝日新聞社の言論サイト ただ、医学が専門ではない方が書いたため仕方のないこととは言え、いくつか医学的な誤りが散見される。誤解が広まると感染防御の点から弊害が生じることが懸念されるため、ここで指摘しておく。 症状出現から1回目の抗体検査まで ことの経過は3月29日の深夜12時前に38度の発熱から始まる。適切に家庭内隔離が行われた後、2日間は37度5分前後と微熱が続き、4月1日には平熱と

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    yamifuu 2020/04/25
  • 何も悪いことをしていなくても人々は病気になる - NATROMのブログ

    がんを治すことが証明された事療法は、現時点では存在しない。がんになりにくい事ならある程度はわかっていて、がんの患者さんについても、基的にはそうした健康的な事が推奨されている。詳しくは ■がん体験者の栄養と運動のガイドライン:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ] を参照して欲しい。なにも特別なことはない。「健康的な体重へ減量し、その体重を維持しましょう」「野菜、果物、全粒穀物を多く含む事パターンにしましょう」といったものだ。べてはいけないものはない。当たり前だが、健康的な事をしていてもがんになるときはなる。ましてや、がんを治す効果はない。 何度も書いてきたが、がんに対する厳格な事療法は、効果が不明確なわりに副作用が大きい。単純に栄養の偏り(野菜ジュースを大量に飲むためほかの事が摂取できない、など)が体力を落とす以外にも、自分の好きなものをべられない、とい

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    yamifuu 2019/12/27
  • 血液1滴で13種のがんを同時に検出できる検査ってどうなの? - NATROMのブログ

    マイクロRNAによるがん診断技術がニュースに 東芝が「1滴の血液から13種類のがんいずれかの有無を99%の精度で検出できる技術を開発し、2020年から実証試験を始める」というニュースが報道された。血液中のマイクロRNAをマーカーとするもので、研究としては以前から行われており*1、怪しいものではない。むしろ、なんで今さらこんなに大きく報道されているのかがよくわからない。 ■血液1滴でがん13種99%検出 東芝、20年から実証試験 | 共同通信 人間ドックのオプションを目指すという報道もある。通常のがん検診では、負担が大きいわりに一種類のがんしかわからない。バリウムを飲んで、げっぷを我慢しつつ、透視台の上でグルグル回わされたあげく、胃がん(とせいぜい道がん)しかわからない胃部X線検査と比べれば、血液一滴で13種類ものがんがわかるとは、なんと素晴らしいことか、と思う方々もたくさんいらっしゃるで

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    yamifuu 2019/11/26
  • 「謎水装置」から学ぶニセ医学の手口 - NATROMのブログ

    「謎水装置」は血中酸化ストレスを減少させると主張されている 「株式会社日システム企画」が製造販売する、配管内の赤錆を黒錆に変えて赤水を解消する効果があると称する「NMRパイプテクター」という商品がある。福岡市営地下鉄に広告が出ているのを見たことがある。さて、私も寄稿した『RikaTan(理科の探検)』 2019年4月号において、京都女子大学名誉教授(理学博士)である小波秀雄氏によるNMRパイプテクターに対する批判が掲載された。現時点(2019年9月18日)では以下のリンク先で読める。 ■「謎水装置」NMRパイプテクターに翻弄される人々 「物理的には何の意味もないガラクタでしかない」とバッサリだ。私は医学系の人間であるので、赤水解消効果についてではなく、生物学・医学関連の考察を試みたい。すでに医学的な考察は以下にリンクする「五木クリニック | 院長ブログ」で行われているが、私は違った角度

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    yamifuu 2019/09/18
  • 「花粉を水に変えるマスク」の臨床試験の結果は早く公表されるべき - NATROMのブログ

    一年前に話題になった「花粉を水に変えるマスク」 「花粉を水に変えるマスク」ってありますよね。1年前(2018年春)に活発な議論がなされました。インターネット上では山形大学理学部物質生命化学科天羽研究室の以下のページがまとまっています。 ■花粉を水に変えるマスクに飛びついてはいけない【追記変更あり】 — Y.Amo(apj) Lab ■「花粉を水に変えるマスク」をめぐる追加の議論 — Y.Amo(apj) Lab また、RikaTan (理科の探検) 2019年4月号において左巻健男さんが『「花粉が水に変わるマスク」騒動』を寄稿しています。 メーカーは、「ハイドロ銀チタン」という素材を触媒として、花粉内のたんぱく質を水などに変えると主張しています。もちろん、たんぱく質は水素以外にも炭素や窒素や硫黄を含んでいますので、水だけに変えるわけではありません。 謎の「化学式」 これまで私はほとんど「花

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    yamifuu 2019/03/30
  • はてなブログに移行しました。そして新装版『「ニセ医学」に騙されないために』が出ます! - NATROMのブログ

    はてなブログに移行しました id:kanoseさんによると、はてなダイアリーはネット界の限界集落で、利用者はもはやダムの底に沈むと決まっている集落にがんとして住んでいるようなものなのだそうです*1。私はそんなことには気づいていなかった。いつも通りの生活をしていたら、「お前の家はダムに沈む運命なのだよ」と突然言われたようなもんです。そういやなんだか人通りが少ないとは思っていたんだよ。 そうは言っても引っ越しは面倒だし、住んでいる分にはまったく不都合を感じていなかったので放置していたら、運営から『「はてなダイアリー」終了のお知らせと「はてなブログ」への移行のお願い』というメールが届きました。ダムに沈むの確定。しかし、記事はもちろん、コメント、はてなブックマーク、はてなスターも移行できるそうで、こうしてはてなブログ移行してみたという次第。というか、今この文章を書いている時点ではまだ移行していない

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    yamifuu 2018/10/23
  • 「子宮頸がんで人は殆ど死なない」のか? - NATROMのブログ

    喫煙の害を過小評価しようとしているのか、「肺がんで死ぬのは10万人に80人、約0.08%である。タバコが肺がん死を数倍増やすとしてもたかがしれている」といった主張を散見する。10万人に80人というのはおそらく、日人男性の肺がん粗死亡率からきている。つまり日人男性10万人につき年間で約80人が肺がんで死亡している。 0.08%を大したことがない数字だと思われるか。しかし、肺がんは日の部位別がん死亡の第一位である。1995年ごろに胃がんを抜きトップに躍り出た。肺がん死がたいしたことがないなら、他の病気もおおむね大したことがないことになってしまう。 ポイントは、死亡率の分母は日人男性全体で、死亡する確率が小さい若年者まで含めた数字であることと、そして何より、一年間あたりの数字であることだ。一生涯ならもっと数字は高くなり、日人男性100人のうち肺がんで死亡するのは約6人、つまり日人男性

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    yamifuu 2018/07/31
  • ニセ医学に騙されているのに境界線上の事例を検討できようか - NATROMのブログ

    コレステロールは心筋梗塞などの動脈硬化性の心疾患の原因だ。より正確には、コレステロールの中でも、いわゆる「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールが原因である。また、スタチン(商品名ではメバロチンやリピトールなど)をはじめとしたコレステロールを低下させる薬剤は心疾患を抑制する。日のみならず海外を含め、このことを否定している公的機関は存在しない。 LDLコレステロールと心疾患の因果関係やスタチンの有用性を否定するのは、いわば、喫煙と肺がんの因果関係やがんの標準医療の有用性を否定すると同レベルの「ニセ医学」である。ニセ医学を主張する少数の医師のグループは存在するが、ニセ医学を支持する論文は査読のある医学雑誌にはほとんど掲載されない。 スタチンが心疾患を抑制するとは言え、どの患者にスタチンを投与すべきかは別途議論すべき問題である。糖尿病や高血圧などのリスク因子を複数持っていたり、心筋梗塞の既往があ

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    yamifuu 2017/11/01
  • 乳がん術後の「抗がん剤ストップ」のリスクはどれぐらい? - NATROMのブログ

    女優の南果歩さんが、ステージIの乳がんの手術および放射線治療後の抗がん剤をストップしていることを明かしたという報道があった。 ■南果歩「見にして」抗がん剤ストップ中と明かす (日刊スポーツ) - Yahoo!ニュース 南はステージ1の乳がんと診断され、昨年の3月11日に手術を受けた。転移はなく、現在までに再発の兆候もないという。 現状について聞かれると「今、ハーセプチンという抗がん治療をストップしています。抗女性ホルモン剤の投薬もストップしています。これは俗に言う、代替治療に切り替えたということです」と打ち明けた。続けて「私のやり方はひとつの症例であって、皆様に当てはまるものではないかもしれません。こういう考え、治療法があるんだと、表に出る仕事をしているので、分かりやすい見になると思うんです」と、現状を明かした理由について語った。 ハーセプチン(一般名:トラスツズマブ)は、HER2と呼

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    yamifuu 2017/10/03
  • クリニックで行われた臍帯血投与に意味がない理由 - NATROMのブログ

    無届けで臍帯血(さいたいけつ)の投与を行ったとして、医師を含む6人が逮捕されるというニュースがあった。 ■さい帯血無届け投与、販売業者や医師ら6人逮捕 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) がんの治療や美容目的で臍帯血の投与が行われていたという。該当するクリニックで行われていた臍帯血の投与は、医学的には意味がない。意味がないというか、意味がわからない。よくある細胞免疫療法は、少なくとも理論上は効くかもしれないと思えるようなものであるが、臍帯血については逮捕された医師がいったい何を期待していたのか見当がつかない。ぜんぜんわからずに雰囲気で臍帯血投与をやっていたとしか思えない。 臍帯血移植は標準医療である。大きなくくりでは、骨髄移植や末梢血幹細胞移植と同じく、造血幹細胞移植の一種である。たとえば、血液系の悪性腫瘍(がん)に対して臍帯血移植が行われている。しかし、そのメカニズム

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    yamifuu 2017/08/29
  • 内閣府チームによる研究開発プログラムの一つがニセ科学だった - NATROMのブログ

    内閣府チームによる研究開発プログラムにおいて科学的手法に問題があったことが日経済新聞のサイトに掲載された(日経産業新聞4月12日付)。 ■内閣府チーム、仮説段階の研究を表彰  :日経済新聞 「このコンテストから新しい企業の研究の種を育てたい」。ImPACTの山川義徳プログラムマネージャー(PM)は2月、都内のシンポジウムで力を込めた。壇上に上がった新田ゼラチンや日アロマ環境協会などの代表者に賞状を送り成果をたたえた。 コンテストの狙いは脳の健康に効果のありそうなべ物や生活習慣などを見つけることだ。企業などからアイデアを募り、山川PMらが開発した脳活動の指標をもとに、アイデアを試した時の脳の変化を測る。脳の健康に効果のありそうなものを表彰するという内容だ。今回が2回目でコラーゲンペプチドの摂取、ラベンダーのアロマハンドマッサージが表彰された。 山川PMらは1月には、製菓大手の明治と高

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    yamifuu 2017/04/14
  • 2017-02-07

    私の外来に糖尿病コントロールのあまりよくないおっちゃんがいる。しばしば入院を勧めるのだが、多忙を理由にいつも拒否される。病気に理解がない上司でもいるのか、職場を長期間休めないそうなのだ。従業員に急病で突然休まれるよりは予定入院で健康を保ってもらったほうが職場にとってもよいように思うのだが、仕事を休めず無理をする患者さんはけっこういらっしゃる。 おっちゃんは外来でも、診療時間ぎりぎりか、ときには診療時間が終了してから受診したりする。私だけでなく、看護師や検査技師や事務員の方々が残業することになりぶっちゃけたいへん迷惑である。建前では、急病ではない限り時間外受診はお断り、もしくは、次の診療日までの数日分の処方のみということになっている。しかし、おっちゃんにそんな対応をしても、次にいつ来院できるのがわからない。受診のために仕事を早退するのも一苦労なのだ。仕方ないねえ、とか言いながら、通常日数分の

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    yamifuu 2017/02/08
  • ピロリ菌は胃がんの原因の何%か? - NATROMのブログ

    ピロリ菌感染は胃がんの原因の一つである。主な原因であると言っていい。ピロリ菌が胃がんを引き起こすメカニズムもだいぶ明らかになっているが、よしんばメカニズムが不明であっても、疫学研究からピロリ菌と胃がんの因果関係は証明されている。 ただ、ピロリ菌感染が胃がんの原因だと言っても、ピロリ菌に感染していなくても胃がんになる人もいれば、ピロリ菌に感染していても胃がんにならない人もいる。報告によっても差があるが、ピロリ菌に感染していると、感染していない場合と比較してだいたい5〜10倍ぐらい胃がんになりやすい*1。ピロリ菌感染と胃がんの関係は、喫煙と肺がんの関係と同じぐらいの強さで、HPV(ヒトパピローマウイルス)と子宮頸がんの関係よりは弱い。 「胃がんの99%はピロリ菌が原因」という主張があるが、さすがに99%というのは過大評価である。仮に胃がん患者の99%がピロリ菌陽性であったとしても、その中にはピ

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    yamifuu 2017/01/16
  • 水素水の不幸 - NATROMのブログ

    国民生活センターが市販の水素水をテストし、含まれている水素が表示よりも濃度が低いかったり、あるいは検出されなかった商品もあると発表した。また、健康保持増進効果を謳うものもあり、法律に抵触するおそれのあるため事業者に対し表示の改善を要望している。 ■容器入り及び生成器で作る、飲む「水素水」−「水素水」には公的な定義等はなく、溶存水素濃度は様々です−(発表情報)_国民生活センター 水素水ブームが終わりつつあるように見える。完全になくなりはしないだろうが、ぼちぼち次の何かが流行る頃ではないだろうか。現時点では、病気の予防や健康の維持の目的で健康な人が水素水を飲んで何らかのよい効果があるという臨床的証拠はない。ただ、何かいいことがあるかもしれないという可能性にお金を費やすのは個人の自由である。 私自身は、水素水に対してあまり積極的な批判はしてこなかった。理由の一つは、水素水は標準医療を否定せず、ほ

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    yamifuu 2016/12/26
  • コレステロール大論争で科学リテラシーを学ぼう - NATROMのブログ

    林衛氏によれば、以下に引用するグラフが、心疾患のコレステロール原因説を否定するデータなのだそうだ。 林衛、Medical Bio, 2011年3月号, Page73〜78、コレステロール大論争:「動脈硬化学会VS脂質栄養学会」論点の腑分け より引用 このグラフからは、複数の地域において総コレステロール値が高いほど心疾患死亡率が高い傾向にあることが読み取れる。一般的には、コレステロールが心疾患の原因であることを示唆するデータであると解釈される。もちろん、これは観察研究であるから、このグラフだけではコレステロールが心疾患の原因であるとは断定できない*1。また、コレステロール以外にも心疾患の原因があることも容易に見て取れる。しかし、林衛氏はさらに踏み込んで以下のような主張を行った*2。強調は引用者による。 しかし,いま改めてこのグラフを一瞥し,コレステロール原因説を否定するデータではないかと気づ

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    yamifuu 2016/10/14