増え続ける現役世代の社会保障負担を抑える必要はある。ただし、高齢者の保険料引き上げでは、暮らしへのきめ細かな目配りが欠かせない。 全世代で支え合う社会保障制度の構築を目指した改正健康保険法が成立した。2024年度から75歳以上の医療保険料が段階的に引き上げられる。 現在、年金収入が200万円の人は年間8万2100円の保険料を納めている。厚生労働省の試算によると、25年度には改正に伴い年3900円引き上げられる。収入が多い人ほど負担増となり、75歳以上の4割に影響が及ぶ。 団塊の世代が22年から75歳以上となり始め、40年代前半まで高齢者は増え続ける。そうした状況を背景に近年、現役世代の保険料負担は膨らみ続けている。年齢によらず、支払い能力に応じて負担してもらうのはやむをえまい。 ただ、預貯金などの金融資産の有無や、家族の支援状況によって高齢者の生活実態は大きく異なる。年金のみで暮らしている