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ブックマーク / econ101.jp (14)

  • ノア・スミス「移民流入の害は,いっこうに実証に現れない」(2024年5月10日)

    移民受け入れを支持する人間として,ぼくは懐疑的な人や批判的な人に耳を貸すようにつとめてる.どんな国にも,自らがのぞむならどんな人間でも招き入れる権利がある――あるいは,入国を拒否する権利がある.移民の流入で自分たちの文化が変わってしまうのを人々が心配しているなら,それは完璧に許容されるべき態度だ. ただ,それと同時に,移民流入制限派の人たちは移民受け入れにともなう経済的な害悪をあれこれとたくさん主張している――賃金低下,政府財政への負担,などなど.それでいて,そういう主張はずっと証拠と矛盾しつづけている. たとえば,多くの証拠から,移民流入は――低技能移民の流入ですら――現地生まれの人たちの賃金や雇用の見通しに悪影響を及ぼしていないことが明らかになっている〔日語版記事〕.最近出た Michael Clemens & Ethan Lewis の論文を見てみると,この研究はとても「きれい」な

    ノア・スミス「移民流入の害は,いっこうに実証に現れない」(2024年5月10日)
    Surume
    Surume 2024/05/12
  • ノア・スミス「ソロー・モデルが中国について教えてくれること」(2023年12月23日)

    今週、経済学者のロバート・ソローが99歳で亡くなった。彼はこの分野における巨人であり、彼によってマクロ経済学は無数の方法で再構築され、それを今の僕たちは当たり前のように受け入れている。ソローは多くの重要な分野に携わったんだけど、一番有名な貢献(ノーベル賞の受賞)は、経済成長についてのソロー・モデルだ。なので今回のエントリでは彼を追悼して、ソロー・モデルは、この数十年間――特に中国経済で起こったことを説明するのにどう役立つかについて少し話してみようと思う。 経済はなぜ成長し、成長はなぜ止まるか? この問題は、経済学で一番重要な問題なんじゃないかな。そして、ものすごく難しい問題でもある。成長というのはすごく複雑で、国によって経験は異なっている。比較は当に難しい。ソロー・モデルは、ものすごくシンプルで、頭の良い中学生なら学ぶことができる。少しだけの変数・パラメーターしかない。こうした単純なモデ

    ノア・スミス「ソロー・モデルが中国について教えてくれること」(2023年12月23日)
    Surume
    Surume 2024/01/06
  • ノア・スミス「1997年から日本経済がどれほど不調だったか」(2023年11月26日)

    通説では,1990年にかの不動産バブルがはじけてから日は「失われた○十年」に苦しんできたという話になっている.実のところ,一人あたり GDP を見ると,他の豊かな国々にくらべて日の実績が見劣りしはじめた起点は1990年ではなく1997年に思える.97年といえば,アジア金融危機のあった頃だ. この「失われた○十年」論に対して典型的に向けられる反論では,こう語られる――日が停滞しているように見えるのは,大半が人口の高齢化によるものであって,実際の生産性で見ると日は2000年頃から問題なくやっている.新しく出た Fernandez-Villaverde, Ventura, & Yao の論文は,こう主張している: 多くの先進諸国では,この数十年で,高齢化にともなって,一人あたり GDP成長と労働年齢の成人一人あたり GDP 成長のちがいは大きくなってきている.日のように一人あたり GD

    ノア・スミス「1997年から日本経済がどれほど不調だったか」(2023年11月26日)
    Surume
    Surume 2023/11/28
  • アダム・トゥーズ「ガザ地区は『脱開発』から『使い捨て』と『破壊』の地へとなった」(2023年10月15日)

    イスラエルは、ハマスへの大規模な報復行為を準備するにあたって、ガザ地区北部の住民に避難指示を出した。これはつまるところ、イスラエル国防軍による、100万人に向けての差し迫る破壊の通告である。イスラエル国防軍がこうした指示を出したのは、民間人の犠牲を最小限に抑えたいと考えているからだ。この〔ガザ地区北部から脱出する〕多量の人はどこに行けばいいのか? どうやって自活すればいいのか? といった現実的で人道的な問題とは別に、以下のような問題を直視せねばならないだろう。こうした指示を出される、ガザ地区とはどうのような場所なのか? 200万人以上の住人を抱えるこの領土は、なぜこのように処分されるのか? 都市の破壊だけを目的にするような冷酷な軍事作戦の論理に反発する強力な土地所有者がいないのはなぜなのか? ガザとそこに住まう住民は、なぜここまで孤立し、完全に物のように扱われているのか? ** ガザは昔か

    アダム・トゥーズ「ガザ地区は『脱開発』から『使い捨て』と『破壊』の地へとなった」(2023年10月15日)
    Surume
    Surume 2023/10/21
  • ジョセフ・ヒース「アメリカの多文化主義は矛盾を抱え込んでいる」(2023年9月23日)

    Multinational culture isometric composition with people of different races and nationalities in folk costumes vector illustration しばらくアメリカに在住していたが、人種的正義を求める闘いで公理となっているものは、現実的な解決策となっておらず、逆に人種間の対立を世代をまたいで再生産してしまっていると思った。これをアメリカリベラルは理解できておらず、多くの逆効果(マイノリティ・グループの一部を共和党の掌中に追いやっている等)を生んでいる。このエントリは、そう確信するに至った分析を極めて簡潔にまとめるのを目的にしている。他の場所や、今後のエントリで、この立場を裏付ける様々な論拠を示す予定だが、今回はひとまず、この私の見解がどのようなものか知ってもらうために、分かりや

    ジョセフ・ヒース「アメリカの多文化主義は矛盾を抱え込んでいる」(2023年9月23日)
    Surume
    Surume 2023/10/03
  • ノア・スミス「実は日本は様変わりしてるよ」(2023年1月23日)

    By 稲ノ歯鯨 – Own work, CC BY-SA 4.0 2020年代は1990年代とはちがう BBC の東京特派員ルーパート・ウィングフィールド=ヘイズが書いた,日についてのエッセイが広く話題になってる〔日語版〕.ぼくも読んでみたけれど,ひどくいらいらしてしまった.このベテランジャーナリストは――2012年から日に暮らして働いたすえに――日の印象をまとめている.彼によれば,日は停滞して硬直した国で,「ここに来て10年経って,日のありようにもなじみ,次の点を受け入れるにいたった.日は,変化しそうにない.」 でも,日に暮らしたことがあって,2011年以降も年に1ヶ月間ほどここに来て過ごすのを繰り返してる人物として,そして,日経済についてかなりの分量を書いてきた人物として言わせてもらえば,日はまちがいなく様変わりしてる.すごく目につきやすくて重要なところがあれこれ

    ノア・スミス「実は日本は様変わりしてるよ」(2023年1月23日)
  • ノア・スミス「弱い円は日本にとって好機,なんだけど」(2022年11月24日)

    [Noah Smith, “The weak yen is an opportunity,” Noahpinion, November 24, 2022] じゃあ,なんで日はその好機を利用してないのさ? ぼくが日にはじめて暮らしたのは,2000年代中盤のことだった.当時,円の値打ちはすごく覚えやすかった――だいたい,1ドル=100円だったからだ.どんなものでも,日で値札を見かけたら,頭の中で100で割ってやればだいたいどれくらいの値段なのかつかめた. 「1ドルだいたい100円」為替レートの時代は,約30年続いた.そして,2022年3月に,なにかがブツンといった.円が下がりはじめて,10月には少しのあいだとはいえ1ドル150円にまで下がって,それから1ドル140円にまで少しもどした: Source: Xe.com ドルにかぎらず,日の実質為替レートはあちこちの貿易相手国に対しても下が

    ノア・スミス「弱い円は日本にとって好機,なんだけど」(2022年11月24日)
    Surume
    Surume 2022/11/28
    この好機が年功序列新卒一括採用によって潰されるのは間違いない
  • ノア・スミス「習近平よ、永遠なれ。中国は一人の凡庸の男によって自縄自縛となってしまった」(2022年10月17日)

    Xi Jinping, forever China has shackled itself to…this one mediocre guy. Postedby Noah Smith, On Oct 17 2022 僕は中国についての専門家じゃないし、専門家のふりをするつもりはない。でも、去年は、たくさんの人が見過ごしているだろう大事なことを、キャッチできたと思う。習近平は、世間で思われてるほど有能な指導者じゃないってことだ。 ノアピニオン 習近平が、言われるほど有能じゃないだけだとしたら? 習近平は、毛沢東以来の中国の最も強力な指導者として広く称賛されている。確かに彼は、権力を非常に効果的に掌握してきている。習近平は、潜在的なライベルだった薄熙来と周永康を完膚なきまでに失脚させ、「反腐敗」キャンペーン通じて自身が関与していない派閥を粛清・服従させる等、前任の主席の下では中国共産党によって

    ノア・スミス「習近平よ、永遠なれ。中国は一人の凡庸の男によって自縄自縛となってしまった」(2022年10月17日)
    Surume
    Surume 2022/11/07
  • ノア・スミス「日本の生活水準,低すぎ」(2022年5月24日)

    [Noah Smith, “Japan’s living standards are too low,” Noahpinion, May 24, 2022] 働きづめでも報われない国 日からこんにちはこんにちは! 2週間の旅行でこっちにきてて,せっかくだから日について何か記事を書こうと思う.まずは,経済の話からはじめよう. たいていの人たちが日について最初に気づくのは,各地の都市がいかにすばらしいかってことだ.とりわけ東京は,現代の驚異だ.キレイに刈り込まれた木々に取り囲まれて,設計のしっかりしたぴかぴかのビル群がそびえたっている.レストランやお店や各種の娯楽は目眩がするほど数知れず,どれもこれもすばらしい.どこも混み合ってるけれど,それでいていつもなぜか静謐を感じさせる.そして,ほんの数分歩けば電車の駅にたどり着いて,そこからどこでも必要な場所に向かえる.他のどんな国もおよばない

    ノア・スミス「日本の生活水準,低すぎ」(2022年5月24日)
    Surume
    Surume 2022/05/24
  • ジョセフ・ヒース「ウォーク(正義に目覚めた一部の左派)は戦術・信条において裸の王様・女王様である:リベラリズムの皮を被った反自由主義」(2021年6月23日)

    ウォーク政治活動を理解する上で最も重要なのは、これは伝統的なタイプの「反自由主義」とは異なっており、「反自由主義的リベラリズム」の一種であると考えた方がよいということだ。 Joseph Heath: Woke tactics are as important as woke beliefs Woke language hides illiberal tactics in liberal aims Posted by Joseph Heath on June 23, 2021 ここ数年、進歩主義を装った反自由主義が世を覆いつつあったが、ついにアメリカリベラルたちは団結して行動を起こし始めた。リベラルたちは、「ウォーク」〔woke、社会問題に対して目覚めた(=wake)人々を指す〕の政治活動やイデオロギー的影響力の拡散を阻むために、いくつかの組織を創設したのである。〔ウォークと戦う〕リベラル

    ジョセフ・ヒース「ウォーク(正義に目覚めた一部の左派)は戦術・信条において裸の王様・女王様である:リベラリズムの皮を被った反自由主義」(2021年6月23日)
  • ピーター・ターチン「アフガニスタンの国家崩壊と、ガニ大統領の『国造りの書』」(2021年8月15日)

    State Collapse and Nation Building in Afghanistan August 15, 2021 by Peter Turchin 日、アフガニスタン・イスラム共和国が崩壊した。アシュラフ・ガニ大統領以下、政権幹部は逃亡した。軍の一部は消え去り、一部はタリバンに鞍替えした。警官が持ち場から脱走したため、カブールでは略奪が行われているとの報がある。これは古典的な国家崩壊だが、空白がタリバンによってすぐ十分に埋められるのは明らかだ。報道によると、彼らは数日内にカブールの大統領宮殿で自分たちの国家を宣言する予定だという。 この事態にはいくつもの皮肉が含まれているが、私個人にとっては主にアシュラフ・ガニが国家崩壊と国造りを研究する学者としてキャリアを始めた点がそれに相当する。2008年、私はネイチャー誌で、ガニとクレア・ロックハートが書いた『失敗国家の直し方』

    ピーター・ターチン「アフガニスタンの国家崩壊と、ガニ大統領の『国造りの書』」(2021年8月15日)
    Surume
    Surume 2021/08/17
  • サイモン・レン=ルイス「なぜ西洋諸国の大半はパンデミックでこれほど失敗したのか」(2021年5月4日)

    [Simon Wren-Lewis, “How most of the West got the pandemic so badly wrong?” Mainly Macro, May 4, 2021] 近頃は,そうそう大したことでは驚かなくなっている私だが,OECD 諸国の大半が今般のパンデミック対応で失敗したのには愕然とした.とはいえ,ジョンソンのイギリス,トランプアメリカ,ボルソナーロのブラジル,モディのインドの成り行きに愕然としたわけではない.こうした国々が失敗する理由は,あまりに歴然としていた.なにより,パンデミックが始まる前から,「イギリスは人命を救うために経済を制限することから手を引く国になるべきだ」と,ジョンソンは考えていた.そうすることで,イギリスは世界経済でなんらかの大きな優位を得られるだろうというのが,彼の思惑だった.これによって国民保健サービス (NHS) が陥っ

    サイモン・レン=ルイス「なぜ西洋諸国の大半はパンデミックでこれほど失敗したのか」(2021年5月4日)
    Surume
    Surume 2021/05/10
  • アントン・ハウズ「国家の作り方:中世イギリスに王として転生したあなたは、近代国家を作ることができるだろうか?」(2020年8月28日)

    How to build a state Words by Anton Howes, Works in progress, 28th August 2020 歴史を通じて、国家は、権力の維持に苦闘している。資金を調達したり、市民を統治するためには、民間の護衛官 [1]訳注:主に近代国家以前に、国家によって限定的に権力を与えられた準官吏や民間人のこと や〔民間人の〕用心棒に頼らざるをえなかったのだ。国家は、どのようにして今日の形態に移行したのだろう? 人は、政府が今日のような官僚制度をずっと昔から備えていたと簡単に想定してしまう。17世紀における〔特定利権者への〕独占権の広範な付与や、強大な権力を備えた領土保有貴族のような政治制度は、今より腐敗していた単なる時代遅れの異物のように見えているだろう。19世紀半ばになるまで、政府が医療や教育にほとんど関与していなかった事実は、人々の脳裏からは欠落

    アントン・ハウズ「国家の作り方:中世イギリスに王として転生したあなたは、近代国家を作ることができるだろうか?」(2020年8月28日)
    Surume
    Surume 2020/11/28
  • アレックス・タバロック「ソ連捕鯨:20世紀屈指の環境犯罪」(2019年5月22日)

    [Alex Tabarrok, “One of the Greatest Environmental Crimes of the 20th Century,” Marginal Revolution, May 22, 2019] これほど急激に乱獲がなされた例は歴史上にも数えるほどしかない――しかも,全てがほぼ秘密裏になされていた.ソビエト連邦は,1946年の国際捕鯨取締条約の加盟国だった.この条約では,各国が1年当たりに捕鯨できる数量が割り当てられていた.商業捕鯨が1986年に禁止されるまでに,ソ連は南半球でザトウクジラを累計2,710頭を捕獲したと報告していた.実際には,ソ連の船団はその18倍近くのクジラを捕らえていたうえに,ザトウクジラ以外のクジラも数千頭捕獲していた.これは,周到かつ大胆不敵な欺瞞だった:ソ連船団の船長たちは船を偽装し,科学データを改竄し,国際的な監視・取り締まり当

    アレックス・タバロック「ソ連捕鯨:20世紀屈指の環境犯罪」(2019年5月22日)
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