小学2年生の子どもに「ジャーナリストって何する人?」と訊かれた。子どもの質問はおそろしい。ハシゴを外されるとか背中から撃たれるとか、サラリーマン生活における不意打ちには慣れているつもりだったが、思いがけない方向から簡単には打ち返せないボールを投げてくる。 真っ先に浮かんだのは、「政府が悪いことをしていないか見張る仕事だよ」といういかにも教科書的な回答である。だが子どもは嘘を見抜く。いくら権力の監視役を自任していても、残念ながら会見で政治家を立ち往生させるような鋭い質問をする記者などほとんど見かけない。「そんな人、いないじゃん」と言われて終わりだろう。 あれこれ考えた挙句、こう説明した。「いろいろなところに行って、たくさんの人の話を聴いて、まだ誰も気がついていないことを発見するのが仕事だよ」 この定義が正解かどうかわからない。だがこの時、具体的なジャーナリストの名前が念頭にあったのは確かだ。