体内時計を「速める」「遅らせる」という正反対の働きを持つ2種類のたんぱく質が、細胞内でバランス良く働くことで約24時間周期が保たれることを、東京大学の深田吉孝教授らの研究チームがマウスの実験で明らかにした。 28日付の米科学誌セルに論文が掲載された。睡眠障害など体内時計に関わる病気の診断や治療に役立つ可能性があるという。 研究チームは、約24時間周期で増減を繰り返すCRY(クライ)というたんぱく質に作用する「FBXL3」「FBXL21」という構造の似た2種類のたんぱく質に着目。それぞれのたんぱく質を作れない遺伝子組み換えマウスを暗闇で生活させて調べたところ、CRY分解作用を持つFBXL3は体内時計を速め、CRYを蓄積させるFBXL21は時計を遅らせることが分かった。両方のたんぱく質ともない場合は、数週間後に行動リズムが完全に崩れた。