名古屋大学の荻朋男教授らは、二日酔いに関わる遺伝子が老化にも関与することを見つけた。アルコールを代謝する過程でできる有害物質「アルデヒド」の分解に関わる遺伝子で、働きが弱まるとDNAに傷が入りやすくなっていた。早期の老化を引き起こす早老症の治療法開発に役立つ可能性がある。アルコールに対する強さは複数の遺伝子の働きが左右する。なかでもアルコールが体の中で分解される過程で生じるアルデヒドは毒性があ
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療に使われている飲み薬「モルヌピラビル」が、新型コロナウイルスの突然変異に拍車をかけている可能性があるという論文が発表されました。この研究によれば、モルヌピラビルの投与によって生まれた派生株の中には他者への感染能力を持つものも確認されているとのことです。 Identification of a molnupiravir-associated mutational signature in SARS-CoV-2 sequencing databases | medRxiv https://doi.org/10.1101/2023.01.26.23284998 COVID drug drives viral mutations — and now some want to halt its use https://doi.org/10.1038/
コンディショニング 睡眠 脳 身近な病気 睡眠についての様々な研究が進む昨今だが、なぜ眠るのか? なぜ適正な睡眠時間に個人差があるのか? という謎については明らかになっていない。この“神経科学最大の謎”を解くために最前線で行われていることとは。 Share 教えてくれた人 柳沢正史教授/(やなぎさわ・まさし)筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)機構長・教授。生理活性物質オレキシンの発見と過眠症や不眠症の創薬への貢献によりこの2022年9月、国際的学術賞『ブレークスルー賞』を受賞。 睡眠と覚醒の“ししおどしモデル” 動物は何のために眠るのか? なぜ人によって適正な睡眠時間は異なるのか? 人生の3分の1は眠っているというのに明確な答えはまだ誰も知らない。実は睡眠とは“神経科学最大のブラックボックス”のひとつだからだ。睡眠研究の世界的トップランナー、筑波大学の柳沢正史教授に最先
体に悪いとも聞く人工甘味料は、砂糖と何が違うのか? ※写真はイメージです 運動は正直あんまりしてないし、ごはんもついつい食べすぎちゃうし、健康的な生活を送っているとはいえない。でも、でもね。コーラとかソーダを飲むときはシュガーフリーとかゼロカロリーの飲料を選んでいるんですよ......! ただ、なんか時々聞くじゃないっすか。「人工甘味料は健康に悪い」みたいなヤツ。あれ本当っすか!? どうなんすか!? あいつはダイエットの味方なんですか!? * * * ■口では同じだけど腸では違う!運動するのはめんどくさい。でも、痩せたい。カロリーは気になる。でも、満腹感を得たい。そんな僕らが気になっていること。それは、ノンシュガーやゼロカロリーの飲料は飲んでもいいのかどうか。 それらの多くに含まれている人工甘味料っていったいなんなの? 体に悪いって話も聞くけど、砂糖と何が違うの? 味覚のメカニズムに詳しい
近年、健康寿命を延ばすためには「歯の健康」が大切だと周知され、虫歯や歯周病の治療が重視されている。高齢になっても歯科治療やケアは欠かせないが、「骨粗しょう症」を抱えている人は注意する必要がある。小林歯科医院院長の小林友貴氏に聞いた。 「骨粗しょう症」は、骨の量が減って強度が低下し骨折しやすくなる病気で、高齢化が進む日本では1000万人以上の患者がいるといわれている。転倒をはじめ、手や肘をつく、くしゃみや咳といったちょっとした衝撃で骨折してしまうケースもある。背骨、手首、太ももの付け根の骨が折れやすく、骨折がきっかけで寝たきりになってしまう場合も少なくない。 治療は薬物療法が中心で、骨密度を高めて骨折の危険を減らす。病状に応じて、①骨吸収を抑制する薬(ビスホスホネート、抗RANKL<デノスマブ>、カルシトニン、SERMなど)、②骨の形成を促進する薬(ビタミンK2、副甲状腺ホルモン<テリパラチ
アルツハイマー病患者の周囲のアミロイド斑 (水色) の腫れは、認知症の症状の原因である可能性がある Yale University <アミロイド斑に伴う腫れがアルツハイマー病の真の原因である可能性を明らかにした......> 脳内でのアミロイド斑の形成はアルツハイマー病の特徴だ。脳内で生成されるタンパク質の一種「アミロイドベータ」の凝集を抑制する医薬の研究開発がすすめられているが、臨床試験ではまだはっきりとした成果が出ていない。 米イェール大学の研究チームは、アルツハイマー病のモデルマウスを用いて、アミロイド斑に伴う腫れがアルツハイマー病の真の原因である可能性を明らかにした。その研究成果は2022年11月30日付の学術雑誌「ネイチャー」で発表されている。 脳の神経細胞をつなぐ軸索に沿って球状の腫れが蓄積する これによると、アミロイド斑が形成されるごとに、アミロイド斑の近くで、脳の神経細胞を
新型コロナウイルス感染症の重症化に関与するCTLについて、研究成果を発表する兵庫医科大の研究チーム=西宮市武庫川町、兵庫医科大 兵庫医科大(西宮市)の研究グループなどは16日、新型コロナウイルス感染症の重症化に、リンパ球の一種である細胞傷害性T細胞(CTL)の機能不全が関係している可能性があるとの研究成果を発表した。併せて、コロナウイルスに感染した細胞を攻撃するCTLの種類と、そのCTLが標的とするウイルスの部位も特定した。これにより、コロナウイルスの変異にかかわらず、共通して効果を発揮するワクチン開発につながることが期待できるという。こうした成果は世界初といい、16日に英学術誌に掲載された。(勝浦美香) 免疫によってウイルスを排除する仕組みは2種類ある。「液性免疫」はワクチンによってできた抗体が結合し、ウイルスを囲い込むことで中和させる。もう一方の「細胞性免疫」は、ウイルスを認識するCT
事故により脊髄を損傷すると、足や下半身の麻痺により歩けなくなる場合があります。 しかし粘り強い研究の結果、それら脊髄損傷の患者たちに希望の光が差しています。 最近、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)に所属する神経科学者グレゴワール・コウティーヌ氏ら研究チームは、麻痺状態で歩けなかった患者たちの脊髄を辛抱強く電気で刺激しつづけることで、本来歩行に必要なかった神経を歩行用神経として利用できるようになったと発表しました。 これまで脊髄が断裂している状態ではいくら頑張っても歩けるようになりませんでしたが、継続的な電気刺激と激しいリハビリのお陰で、歩くための神経回路そのものが作り変えられていたのです。 しかしいったいどんな神経が、歩行用に転用されていたのでしょうか? 研究の詳細は、2022年11月9日付の科学誌『Nature』に掲載れています。 Scientists identify neu
体の外で人工的に髪の毛を作り出すことに、マウスの実験で成功したと、横浜国立大学の研究グループが発表しました。毛をマウスに移植すると、定着して生えかわるのも確認できたということで、脱毛症などの治療につながるのではないかと期待されています。 研究は横浜国立大学の福田淳二教授らのグループが行い、アメリカの科学雑誌「サイエンス・アドバンシズ」に発表しました。 グループは、マウスの胎児の皮膚から表面の部分になる細胞と、体の組織を支える部分になる細胞を取り出し、これらの細胞をつなぐ役割を担うたんぱく質などを低い濃度で混ぜて培養しました。 すると2日後には、表面になる細胞を支える部分になる細胞が囲むようになり、培養を始めてから10日後には「毛包」と呼ばれる髪の毛を作り出す部分を含んだ毛が生えてきたということです。 さらに、5ミリほどにまで伸びた毛をマウスの皮膚に移植すると定着し、その後、いったん抜けたも
「がんワクチンがあと数年で利用可能になる...」新型コロナワクチンと同様のアプローチで、とビオンテックの共同創業者が語る <新型コロナウイルスワクチンを開発したことで知られる独ベンチャーのビオンテックは、新型コロナウイルスワクチンの開発成果であるメッセンジャーRNA(mRNA)技術を応用したがんワクチンが2030年までに利用可能になるとの見通しを明らかにした......> 新型コロナウイルスワクチンを米ファイザーと共同開発したことで知られる独バイオ医薬ベンチャーのビオンテックは、新型コロナウイルスワクチンの開発成果であるメッセンジャーRNA(mRNA)技術を応用したがんワクチンが2030年までに利用可能になるとの見通しを明らかにした。ビオンテックの共同創業者であるウール・シャヒン博士とオズレム・テュレジ博士がBBC(英国放送協会)のテレビ番組「サンデー・ウィズ・ローラ・クンスバーグ」でイン
細菌と真菌は、口腔内で合体して、虫歯をうながす”悪の力”を増大させていたようです。 米ペンシルバニア大学(University of Pennsylvania)の研究チームは、小児患者における虫歯の原因菌を調べていたところ、顕微鏡下で偶然にも、2つの異なる微生物(細菌と真菌)が融合して、クラスターを形成していることを発見。 さらに、この結合体は、単独ではあり得ないような能力を発揮し、クラスターの勢力を広げながら、虫歯の進行を早めていたのです。 研究チームは、細菌と真菌の結合体を指して、超生物(superorganism)と呼んでいます。 一体、どんな”悪魔合体”をしていたのでしょうか? 研究の詳細は、2022年10月3日付で科学雑誌『PNAS』に掲載されました。
<認知症の治療薬の開発のため、さまざまな国や企業が投資してきた数千億円もの研究費と、16年の歳月が無駄になってしまうかもしれない> いま、医学会にこんな動揺が広がっている。きっかけは、7月22日に、米国の科学誌『サイエンス』にある記事が掲載されたことだ。医療ガバナンス研究所理事長で、内科医の上昌広さんがこう解説する。 「2006年に米国で発表されたアルツハイマー型認知症についての重要な論文が捏造ではないかという指摘をしたのです。この論文は治療薬開発の重要な前提のひとつです。それまでの研究が根底から覆ってしまう可能性が出てきました」 現在、国内に700万人ほどいる認知症患者のうち、約7割がアルツハイマー型だと推定されている。アルツハイマー型認知症は、脳の神経細胞が減っていくことで、脳が萎縮し、認知機能が衰えていく疾患だ。患者の脳にはアミロイドβとよばれるタンパク質が蓄積することが確認されてい
「ワクチン接種を受けずに発病した場合は、確実に死亡へ至る。確立した治療法はなく、予後は絶望的である」という狂犬病は、狂犬病ウイルスことリッサウイルスにより引き起こされます。たった5つの遺伝子しか持たない非常に単純な構造のリッサウイルスが、一体どのようにして免疫システムを圧倒し人を死に至らしめるのかについて、科学系YouTubeチャンネルのKurzgesagtが解説しました。 The Deadliest Virus on Earth - YouTube リッサウイルスは、古代ギリシャの狂気の女神・リッサにちなんだ名前で、分かっているだけでも4000年以上前から人類を悩ませてきました。 狂犬病にかかると、動物は怒り狂った獣へと変貌し、人間は水を恐れるゾンビのようになってしまいます。 しかし、リッサウイルスの最も大きな特徴は、人間の免疫システムを回避するのが信じられないほど巧妙な点にあります。
抗がん剤の治療を受けたあとで大腸がんが再発する仕組みを解明したと慶応大学の研究グループが発表しました。 新たながん細胞を生み出す「がん幹細胞」が抗がん剤を受けている間、眠った状態となって攻撃を逃れていたということで、この仕組みをもとに再発を防ぐ治療の開発が進むのではないかと期待されています。 この研究は、慶応大学の佐藤俊朗教授のグループが科学雑誌「ネイチャー」に発表しました。 研究グループは、大腸がん患者のがん組織をもとにかたまりとなった「ミニ大腸がん」を人工的に作ってマウスの背中に移植しました。 そして、がん幹細胞だけが光るようにして観察したところ、抗がん剤を投与しても、一部のがん幹細胞は大腸の表面にある「基底膜」に結び付いて眠った状態となって抗がん剤の攻撃を逃れ死滅しませんでした。 そして抗がん剤の投与が終わると、がん幹細胞は「基底膜」から離れて再び増殖を始めたということです。 研究グ
免疫細胞たちの「学校」は体中の細胞の展覧会でした。 米国のハーバード大学(Harvard University)で行われた研究によって、生まれたての免疫細胞(T細胞)たちが自分の体を攻撃しないように学ぶ「学校(胸腺)」において、皮膚・筋肉・肺・肝臓・腸などあらゆる体の細胞を真似る「模倣細胞」が展示されていることが発見されました。 未熟なT細胞たちは、この模倣細胞をリアルな教材として覚え込むことで、自己(味方)と非自己(敵)の区別する能力を獲得していたようです。 研究成果は免疫システムの根本にかかわるものであり、極めて重大な発見と言えます。 しかし学校となる胸腺では、いったいどんな仕組みで体中の模倣が行われていたのでしょうか? 研究内容の詳細は2022年6月16日に『Cell』にて掲載されました。
九州大学、ひきこもりの血液バイオマーカーを発見 ひきこもり者の識別も可能に 大学ジャーナルオンライン編集部 九州大学の研究チームは、九州大学病院が擁する世界で唯一の「ひきこもり研究外来」で解析を行い、ひきこもり者を特徴づける血中成分を報告した。 本研究チームでは、九州大学病院に世界初のひきこもりを専門とするひきこもり研究外来を立ち上げており、今回、ひきこもり者と健常者の血液メタボローム解析を行い比較検証することで、ひきこもり者に特徴的な血中成分(バイオマーカー)を探索した。その結果、ひきこもり者の血中では、健常者と比較してオルニチン、アシルカルニチンが高く、ビリルビン、アルギニンが低いことがわかった。また、男性のひきこもり者においては、血清アルギナーゼが有意に高いことを発見した。 これら血液データと臨床データをもとに、機械学習判別モデルを作成したところ、ひきこもり者と健常者の識別、ひきこも
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