――以前に、インフルエンザの予防接種について独自の数理モデルで計算した結果、高齢者に接種を勧めるよりも小学校で集団接種を行うほうが感染防止に効果的だとわかったというお話を伺いました(「数理モデルで感染症を食い止める」)が、2018年の冬には大流行しました。 西浦 インフルエンザに関するワクチン接種政策は、昔から真っ二つに割れる傾向があります。ひとつは、インフルエンザに感染すると合併症を併発しやすいハイリスク層の重症化を防ぐという考え方。もうひとつが、感染そのものを防ぐという政策です。伝播しやすい人にワクチンを接種して「集団免疫」をつくってしまおうという考え方です。 インフルエンザを伝播しやすいのは子どもたちだということは周知の事実なので、集団免疫の対策をしようと思えば子どもたちに接種します。ハイリスク層なら基礎疾患を持つことの多い高齢者とか妊婦に接種することになります。 政策的にどちらが優