はじめに 西に任天堂あり。京都に本社を構える世界的娯楽企業である。 東にナムコ(現在バンダイナムコホールディングス)あり。東京に本社を構える世界的娯楽企業である。 この二つの企業は、現在ゲーム業界で非常に大きな影響力を有している。同時に、まだ未成熟で小さかったゲーム業界を牽引し、今に至る歴史を支える重要なキーマンだ。 そんな二社であるが、かつて関係が最悪領域に到達し、裁判所を巻き込んだ大激突をしたことがあったことを把握している人はどれほどいるだろうか? この記事はそんな混乱の最中、何があったのかを詳しく解説するものである。 まずは二社、それぞれの歴史を大まかになぞっていこう。 任天堂とナムコは同じゲーム業界の企業ではあるが、誕生のベース自体はいささか異なっている。 任天堂は京都の老舗花札屋であるが中興の祖、三代目社長山内溥がおもちゃに手を出し名を馳せた。このおもちゃの延長線上として電子機器
はじめに ――3DO この言葉に反応できる者はオッサンゲーマーだろう。20代以下の若者は一度も聞いたことがないかもしれない。しかし、反応できるオッサンゲーマーでも正確に3DOがなんなのか、把握している者はさほど多くはないのではないか? 「ゲームに関わったことがない松下が、適当に出して大失敗したゲームハードだろ?」 くらいの理解でいる方が多いのではないだろうか。実はこの理解はいろいろと事実誤認を含んでいる。 実はこのハードを作るにあたって、多数のゲーマーと、ゲームとゲーム業界に詳しい人らが幾人も深く深く関わっている。そもそもの規格提唱者はゲーム業界に大きな影響を及ぼしたレジェンドなのである。そして松下自身もゲーム業界に以前から深く関わっていて、さらにいうならば3DOはゲームハードではない。 この奇妙奇天烈なハードについて解説を行うにあたり少しばかり時間を頂きたい。このハードが生まれ、そして敗
「たけしの挑戦状」を作った男,福津 浩氏が追い続けた新世界(前編)光栄「三國志」と襟川夫妻への思い 「ビデオゲームの語り部たち」:第29部 ライター:大陸新秩序 ライター:黒川文雄 カメラマン:愛甲武司 この連載「ビデオゲームの語り部たち」の第26部では,タイトーで「たけしの挑戦状」に関わり,その後アテナを立ち上げて「デザエモン」などを世に送り出した中村 栄氏に話を聞いた。 だが,「たけしの挑戦状」については,それ以前から,ある人物の話を聞いてみたいと思っていた。それが同作の開発スタッフである福津 浩氏だ。 福津氏はすでにゲーム開発から離れているのか,業界に古くからいる知人に聞いても,消息はようとして掴めなかったのだが,演劇集団「ヨーロッパ企画」が2020年に上演を予定していた舞台「たけしの挑戦状 ビヨンド」(関連記事)の関係者を通じて,コンタクトを取ることができた。 そんな事情もあって,
はじめに 桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~ が累計販売本数350万本を突破しました。おめでとうございます。 最新ニュースを掲載しました。 『桃鉄』と「日清焼そばU.F.O.」の異色コラボが実現! ~ 『桃鉄』 の累計販売本数は350万本を突破 ~https://t.co/AGox7AEIDw pic.twitter.com/8yPM7ozeRv — KONAMI 企業広報・IR (@Konami_PR_IR) March 22, 2022 この売上は驚異的なものです。日本において300万本以上売り上げたゲームソフトは、実は「任天堂/ポケモン関連」「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」「モンスターハンター」「妖怪ウォッチ」しかありません。とんでもない化け物IPたちに桃鉄が仲間入りした、ということになります(元から長年の歴史を組んだ化け物IPな気がしますが)。 さて、そんな桃鉄
NECと聞いても若い人は何の会社かわからないだろうが、オッサンゲーマーならPC98や、PCエンジンが思い浮かぶことだろう。 NECは正式名称を日本電気株式会社といい、実は日本を代表する大手電機メーカーだ。かつては家電も作っていたこともあり、冷蔵庫やエアコン、テレビなども独自ブランドで作っていた。 NECの一般的な認知度を急上昇させたのがパソコンだ。PC8000シリーズは大ヒットし、その後継機であるPC98シリーズは当時の16bitパソコンのシェア9割というトンデモナイ数字を叩き出している。そして世界半導体売上は世界一位。1980年代はあの巨人インテル(インテル入ってるの広告でおなじみの、パソコンCPUシェア7.5割の化け物企業)よりも売上が上だった。 そんなかつての巨大電機メーカーが、如何にしてゲーム業界と関わっていったか、その歴史の一端を解説しよう。 NECがゲームに関わったのは相応に古
「アーケードアーカイブス」版『パックランド』にて、とあるキャラクターの姿がオリジナル版から変化したとして注目を集めている。女性版パックマンともいえるキャラである「ミズ・パックマン」の姿が、違う女性キャラへと変化しているのだ。その背景には、彼女の出自に端を発する複雑な事情があると見られる。海外メディアPolygonなどが伝えている。 「アーケードアーカイブス」版『パックランド』 「アーケードアーカイブス」は、かつてリリースされたアーケードゲームをコンソール向けにダウンロード販売するサービスだ。株式会社ハムスターと日本一ソフトウェアが手がけ、オリジナル版の忠実な再現を目標としている。先日4月7日には、ナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント、以下バンダイナムコ)が1984年にローンチしたアクションゲーム『パックランド』が、「アーケードアーカイブス」よりPS4/Nintendo Switch
古川元亮氏に対する訴訟提起のおしらせ 株式会社ピクセル(以下「当社」)は、作曲家・古川元亮氏(以下「古川氏」)を被告として、主位的に債務不履行に基づく損害賠償請求、予備的に商法512条に基づく報酬請求として、金371万2,500円(※)の支払いを求め、訴訟を提起したことをご報告いたします。 [注] ※正規の開発費とは異なります。 提起した訴訟の概要 裁判所:仙台地方裁判所 原 告:株式会社ピクセル 被 告:古川元亮 提起日:令和4年2月16日 訴訟に至った経緯 令和元年(2019年)6月13日、古川氏発起人よるゲームA(仮称)の権利問題を発端として、古川氏発起人で開発中だったゲームB(仮称)の開発者が降板したことにより、困難な状況に陥っていると古川氏から電話で連絡があり、6月14日0:00前後に口頭でゲーム制作を請け負いました。 古川氏が開発費を直ちに準備できないとの理由から、ゲームの販売
We hoped you enjoyed Stray in the AI Showcase! As we don't want to compromise on quality, nor the team's well-being we now aim for early 2022. Thank you for understanding and we can’t wait to show you more next year! — STRAY (@HKdevblog) July 29, 2021 『Stray』は、プレイヤーが猫となり近未来のサイバーシティを探索する三人称視点のアクション・アドベンチャー。 舞台は、衰退したサイバーシティ。ここはネオンサインに照らされた路地やダークな雰囲気に包まれ、そこでさびれた裏通りを縫うように歩く「猫」が本作の主人公だ。猫になど見向きもしないアンドロイ
BEMANI特許(あるいはビートマニア特許)と俗称される特許がある。KONAMI(現・コナミアミューズメント)が1997年にリリースし、音楽ゲームブームの基礎となった「beatmania」の基本システムを請求、KONAMIがBEMANIブランドで展開する音楽ゲームビジネスの柱の一つとなっていた、日本国特許第2922509号のことだ。 この特許は1998年7月31日に出願、1999年4月に登録。日本の特許の権利期間は出願から最長で20年間と定められており、2018年7月31日をもって失効している。 BEMANI特許は音楽ゲーム分野の工業所有権(産業財産権とも。特許権、実用新案権、商標権、意匠権の総称)の代表格であり、これまでの約20年間にわたり、ゲームファン界隈の巷間でたびたび語り草となってきた。 しかし、本特許の権利範囲はしばしば誤解され、不十分な理解に基づいた語りが多く展開されてきた実情
80年代~90年代のパソコン黎明期、ゲームメーカー「マイクロキャビン」を創業し斬新なゲームを次々に世に送り出した大矢知直登氏。三重県を代表する起業家である彼の、波乱万丈な足跡を辿ってみた。 稼業は電気屋だった 大矢知の父親は脱サラして『大矢知デンキ』という電気屋を経営していた。小学生の頃から店番をやらされていた大矢知は「いろいろな電化製品が入ってくる電気屋って面白いな」と子供心に思った。 「大矢知家は代々商売をしてて、曾祖父は明治時代、造り酒屋をしてすごく儲けたらしいです。祖父は洋品屋をやってたし、親父は電気屋でした。みんな一代で廃業してしまったんですけどね(笑)。自分にもそういう血が流れてるのかな?って感じます」。 高校は鈴鹿高専に進んだ。電気屋だから高専に行かなければ、という漠然とした考えだった。 「受験で初めて高専に行った時は驚きました。建物も体育館も何もかも立派で、自動車のコースや
※この旧版になります。完全版は無料でnoteで公開中ですので、是非そちらの方をご覧下さい。 https://note.com/syosin_kai/n/nb97f2a0a193a ちょっとゲームの歴史をかじったことがある人なら聞いたことがあるだろう言葉『初心会』。 とにかくこの言葉へのイメージは最悪だ。「真っ黒組織」「ゲームヤクザ」「歴史の闇」「悪の秘密結社」etcetc。 そんな初心会だが、はたしてどれだけの人が正確に初心会とはなんなのか、どのような悪どいことをしてきたのか、そして最後はどういうふうに消えていったかを語ることができるだろうか? おそらく、ほとんどいないのではないだろうか。 この初心会について、私が調べたことをゲームの流通の歴史を絡めてまとめて書き出すぞ。これで君も初心会マスターだ! ちょっと長いけど勘弁な! まずは初心会そのものについての解説だ。 もともとの任天堂は花札屋
10年以上前のゲームでありながらもいまだにTASなどの研究が非常に盛んである『マリオカートWii』において、また新たなバグ挙動の研究成果が発表されている。今回の内容は本作のラップカウントシステムの仕様の穴を突くものとなっている。その手段とは、32768周逆走である。これによって、本来ゴールには3ラップする必要があるが2ラップになったり、「LAP 8/3」といったありえない表示がゲーム内で実現してしまうほか、2フレームというとんでもなく短いラップタイムが実機でも実現してしまう可能性があった。TASユーザーのMalleo氏が解説動画を投稿しており、本稿では主に動画内で解説されている内容に触れる。 今回『マリオカートWii』のラップカウントシステムが研究の対象となったのは、プレイヤーのラップ記録に使われているメモリが、現実的な範囲でアンダーフローを起こせる仕様であったことに起因する。オーバーフロ
俺のレトロ研究室 メンテナンス用 X68000・FM7・SFC・ニューファミコン・ドリキャスを保有してます。 今後の自分用メモも含めてメンテナンスをまとめ X68000実機ディスクより の開発日記が出て来ました。 開発者 様からの申し出あった場合は消します。 しかし 後生に残したくて、こちらに原文をアップをしておきます。 技術的な事も書いてあるので 読んでいて楽しいですが 非常に長いです。 覚悟して下さい ~~~~~~~~~~~~~原文~~~~~~~~~~~~~ ---------------------------------------------------------------- ! ! ! 君にもグラ2が作れる! かもしれない開発日記 by ちとら ! !
ホーム ニュース 古いゲームのソースコード保存を目的としたプロジェクトが進行中。消えゆく歴史的資料を発見し、アーカイブする学術団体 古いゲームのソースコード保存を目的としたプロジェクト「Video Game Source Project」(以下、 VGSP)が活動を進めている。プロジェクトを進めているのは、非営利組織The Video Game History Foundation。ビデオゲームの歴史を保存・記念・教育することを目的としており、ゲーム関連文献を集めた図書館の運営から歴史を講義するコンテンツの配信まで、幅広い活動をおこなっている。 そうしたプロジェクトのうちのひとつがVGSPだ。ゲームを研究する上で最善の方法は“生”の資料、すなわちソースコードを見ることである。VGSPではソースコードやアセット、さらに開発ツール・原画・ドキュメントなどを含めて包括的に収集しており、学術的価値
注意点 「CEDEC2020のPERACONが参加人数が多すぎて、提出物の質が低くなった」という問題については、書いてません。あくまで審査員の質についてだけを書いています。*1 記事を書くにあたって、審査員は匿名で書きたかったのですが、 審査員全員の名前が公開されていて、中途半端に匿名にしても無意味なこと。 根本的な問題では、反省はしてなさそう。 審査員にも責任があるべきといっていること。 なので、審査員の実名を出しました。ただ、悪い部分だけをピックアップすることはないように、できるだけ多くのデータを出し、客観的に判断するように心がけました。 はじめに CEDECというゲーム業界のカンファレンスで、PERACONというゲーム企画コンテストがあります。今年からはCESAというゲーム業界最大の団体の人材育成部会で引き取って、毎年人材を育成するという目的で行っていくことになったようですが、これか
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く